デイリー・アップデート

2023年9月4日 (月)

[米国] 労働省によると、8月の非農業部門雇用者数は前月から18.7万人増加した。市場予想(17万人増)を上回った一方で、3か月連続で20万人を下回った。失業率は前月から0.3ポイント上昇して3.8%になった。しかし、6月のFOMC参加者見通しの2023年第4四半期の4.1%を下回った。また、平均時給は前年同月比+4.3%と前月から小幅に縮小した一方で、前月比は+0.2%となり、前月から0.2ポイント減速した。これらより、雇用環境の緩やかな軟化が確認された。

[中国] 不動産業界での研究分析を主業務とする中指研究院によると、8月の不動産市場は依然として低調で、7月に打ち出された緩和政策がまだ効果を上げていないとした。しかしながら、8月に入り、7月に政府が打ち出した戸数認定基準を緩和する政策を、主要都市が具体的にスタートさせ、優遇を享受できる範囲が広がったたこともあり、短期的には、市場は好転する見通しとした。一方、長期的には、いくつかの政策が同時に効果を上げていくとともに、不動産企業に対しより多くの資金支援を行う必要があるとしている。

[アルゼンチン] 8月13日実施の大統領予備選挙の確定結果が8月31日に公表され、上位3候補が僅か2.96pt差の範囲の中でひしめき合っていたことが判明した。だが、大統領予備選挙後に相次いで実施された各種最新世論調査結果では大統領予備選挙で予想外の善戦をしたリバタリアンの右派政治家ミレイ下院議員が「弾み」をつけて優位をさらに拡大していることが明らかになっている。他方、ミレイ氏の公約である通貨ペソ廃止と米ドル化構想への不透明感は増している。

[インド] 8月31日、インド中央統計局の発表によると、2023/24年度第1四半期(4~6月)の実質国内総生産(GDP)速報値は前年同期比+7.8%となり、2四半期連続で前期(同+6.1%)の伸びを上回った。前年同期(同+13.1%)が高かったにも関わらず高成長だった。支出別では、民間最終消費(同+6.0%、前期同+2.8%)、総固定資産形成(同+8.0%、前期同+8.9%)の拡大が全体を押し上げた。産業別(総付加価値ベース、GVA)では、輸送、ホテル、金融、不動産などのサービス業が急回復した。第3四半期以降は、モンスーンでの雨量が低水準となる上、エルニーニョ現象の影響を受け農産物の収穫が減少しその結果食品価格が高騰することが懸念される。

[ロシア] ロシアは9月3日、第2次大戦末期に対日参戦した旧ソ連の戦勝記念日を迎えた。ロシア極東のサハリンの州都ユジノサハリンスクでは、パレードや献花が行われ、メドベージェフ前大統領(安全保障会議副議長)らが参加した。メドベージェフ氏は、ウクライナへの支援を続ける日本について「軍事化の道を進んでいる」などと批判した。「日本は歴史の教訓を学び、第2次大戦の結果を完全に認めるとともに、第3次大戦を防ぐよう努めるべきだ」とも述べた。

[中国] 中国で国家機構改革の結果、新しく設立された中央科学技術委員会(以下、CSTC)の活動と非公開性について、香港紙SCMPが報じている(9月4日付)。CSTCは今年3月の全人代で設立が決められ、中国の科学技術政策を支配・統括する。新しく設立された他の組織が公式メディアなどで報道されたのに対し、CSTCの初会合は報道されず、7月に勉強会が開催されたことが確認されたのみである。匿名の関係者の話として、この秘密主義の背景には米国からの政策圧力やスパイ活動への懸念、CSTCと人民解放軍のつながりを目立たせないこと、また2015年に発表した「中国製造2025」が対中警戒を引き起こした教訓があるとしている。

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