デイリー・アップデート

2023年9月11日 (月)

[韓国/フィリピン] 9月7日、ASEANプラス3(日中韓)首脳会議が開催されたインドネシア・ジャカルタで、両国政府は自由貿易協定(FTA)に署名したと発表した。2024年上半期の発効を目指す。発効後最も恩恵を受けるのは韓国の自動車産業であり、同国自動車の関税率5%が即時撤廃される。フィリピンの新車市場は日本車が82.5%のシェア(2022年)で首位を誇るが、同市場の開拓につなげる。日本の乗用車の関税は20%と高いため価格競争で優位に立つことが考えられる。一方、フィリピンは主力のバナナの現行30%の関税が毎年6%ずつ引き下げられ5年以内に完全撤廃される。

[ロシア] 9月10日、統一地方選挙の開票が行われ、ほぼ各地で政権与党の優勢が伝えられた。首都モスクワでは、現職ソビャーニン市長の当選が確実と伝えられ、ロシアが昨年、併合したウクライナ東部と南部の4つの州でも地方議会と首長選が行われた。ロシアが選挙を強行して実効支配を誇示することになりそうである。

[タイ/中国] 9月2日、ランシット大学のセミナーで講演したタイのスティン国防相は、中国との間で懸案となっている潜水艦調達について、タイ海軍が中国製エンジンを受け入れられないと判断した場合、水上艦の購入や肥料の購入などを代替案として中国と協議すると発言した。中国船舶重工集団傘下のCSOC(China Shipbuilding & Offshore International Co.)は、自社製のS26T型潜水艦にドイツ製のMTU396ディーゼルエンジンを搭載してタイに引き渡す予定だったが、EUの対中武器輸出禁止によりドイツは中国へのエンジン供与を拒否し、中国側は中国製エンジンの搭載を打診するも、タイ側は難色を示していた。

[モロッコ] 現地時間9月8日夜11時過ぎに、マラケシュの南部70㎞辺りを震源とするマグニチュード(M)6.8の地震が発生。既に2122人の死者と2421人の負傷者が発表されているが、今後の発表で被害者数はさらに増えると予想される。マラケシュは古い建物も多くある町で、今回の地震で12世紀に建てられた旧市街のモスクのミナレットが崩壊した。モロッコ政府は3日間の服喪を発表。同国では、2004年にM6.4の地震が、1960年にM5.8の地震が発生したが、今回の地震は過去120年間に同国で発生した地震で最大規模のもの。

[米国/中国] 中国共産党が提起している潜在的脅威について焦点を当てて活動している下院中国特別委員会は9月11日にニューヨークでウォール街の米投資企業や米企業の経営トップらと台湾を巡る「ウォー・ゲーム(机上演習)」を実施するとともに、翌12日には米外交問題評議会(CFR)で公聴会を開催する。台湾を巡る緊張が高まる中、最近、下院中国特別委員会は米投資企業等と中国との経済関係に対する調査を益々強化しつつある。

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