2023年9月19日 (火)
[ドイツ] ドイツ連邦銀行は9月の『月報』で、ドイツ経済が2023年第3四半期に前期比マイナス成長になる可能性を示唆した。2022年末から2023年初めにかけてマイナス成長で、2023年Q2には前期比横ばいだった。国内製造業が不調で、個人消費が伸び悩むことで、経済成長が抑制される見通しだ。物価上昇率が鈍化傾向にある一方で、賃金は上昇しているものの、個人消費に対する下押し圧力が強いとみられている。
[アルゼンチン] 10月22日に投票が行われる大統領選挙第1回投票まで約1カ月となったが、8月13日に実施された大統領予備選挙でトップに立ったリバタリアンの右派政治家ミレイ下院議員は最近ブラジルのルーラ大統領と中国への批判を強めている。ミレイ氏が大統領に就任した場合、アルゼンチン・ブラジル2国間関係の悪化が懸念され、南米南部共同市場(メルコスール)と欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)締結に向けたリスク増大が懸念されるようになっている。
[中国] 9月15日、国家統計局は8月の主要経済指標を発表した。小売売上高、鉱工業生産は改善がみられた一方、固定資産投資は不振だった。8月の小売売上高は前年同月比+4.6%と7月の同+2.5%から拡大した。夏休みが本番となり国内旅行が増えたことが背景にある。8月の鉱工業生産は、同+4.5%と7月の同+3.7%を上回った。1~8月の固定資産投資は前年同期比+3.2%と1~7月の同+3.4%から鈍化した。民間投資の弱さが目立ったことに加え、不動産投資が引き続き低迷していることが響いた。
[中国/米国/ロシア] 中国の王毅外相は9月16-17日にかけ、マルタ共和国でサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)と会談を行い、「率直で実質的かつ建設的」な意思疎通を行ったと発表した。米メディアは10月初めに王毅氏が訪米する見通しと報じている。その後、王毅氏はロシアへ移動し、ラブロフ外相らと会談を行った。プーチン露大統領は、10月に中国で開催される「一帯一路」首脳会議へ参加する予定で、訪中の調整なども行われたとみられる。
[中国] 9月16日、国家統計局が発表した8月の鉱工業生産は、前年同期比で市場予想中央値+3.8%に対し+4.5%、小売売上高は同予想+3.3%に対し+4.6%であり、回復の兆しを示した。9月17日、中国マクロ経済フォーラムが開催され、「8月はアウトドア消費に回復がみられ、製造業では半年間に及ぶ在庫取り崩しを経て、小幅な在庫積み増し傾向がある」との見方が示された。短期的には経済が回復する兆しがあるものの、不働産業界の低迷や地方債務などが中国の長期的な成長に影響を与えると懸念する見方もある。
[米国/中国] 9月16~17日、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、マルタにて中国の王毅政治局員・外交部長と会談を行った。両者は二国間の課題のみならず、ウクライナ戦争、中台関係などを巡り討議した模様。会談後、王毅政治局員はモスクワを訪れ、ロシアのラブロフ外相との会談に臨んでいる。18日には、ブリンケン米国務長官が中国の韓正国家副主席とニューヨークにて会談し、米中間の懸案や潜在的な協力案件について議論した。米国側はいずれの会談においても台湾海峡の平和と安定の重要性に言及。11月のアジア太平洋経済協力(APEC)サミットにて米中首脳会談が実現できるか否かが注目されている。
[ウクライナ] 9月18日、ゼレンスキー大統領は米国に到着し、ニューヨークで19日から始まる国連総会の一般討論演説に臨むほか、21日にはワシントンでバイデン米大統領と会談する。一方、国連のグテーレス事務総長が国連総会で、ロシアのラブロフ外相とトルコのエルドアン大統領と会談する予定となっており、ウクライナ産穀物輸出合意について協議を行う予定である。
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