デイリー・アップデート

2023年9月15日 (金)

[欧州] 9月14日、欧州中央銀行(ECB)は理事会を開催、主要政策金利を0.25%引き上げることを決定した。利上げは10会合連続。主要政策金利は4.5%、限界貸出金利は4.75%、中銀預金金利は過去最高の4%になった。政策金利が、2%に適時回帰するために多大な貢献をする水準に到達したとして、今回の利上げ局面で、事実上最後の利上げになったとみられる。政策の焦点は、高い金利水準を維持する期間に移っている。

[米国/日本] 米通商代表部(USTR)は、ビアンキ次席代表が9月18日~21日に日本を訪問すると発表した。経済産業審議官、外務審議官等、日本政府関係者と会談し、現在交渉中のインド太平洋経済枠組み(IPEF)や日米協力案件について協議する予定。9月16日まで、バンコクにて第5回IPEF交渉会合が開催されており、11月のアジア太平洋経済協力(APEC)会合までに、米国はIPEF交渉を妥結に持ち込みたい考えで、今後の展開について日米協議が行われるとみられる。また、現在、米EU間で持続可能な鉄鋼貿易に関する交渉が最終段階に差し掛かっているとみられ、交渉の進捗についても日本側に情報共有される可能性もある。

[ブラジル] 左派ルーラ政権が2023年1月に発足してから8か月が経過する中、先般ルーラ大統領は内閣改造に着手し、ブラジル議会下院の中道右派連合「Centrao」を構成している右派政党の「進歩党」と「共和党」の下院議員を、それぞれスポーツ担当相と港湾・空港担当相に起用した。少数与党連合の今回の内閣改造で、右派政党から新閣僚を登用したことで「Centrao」の影響力増大やルーラ政権の立法アジェンダの推進に役立つなどの見方がされている。

[中国] 9月14日、中国人民銀行(中央銀行、PBoC)は、銀行預金準備率(RRR)を0.25%引き下げると発表した。9月15日から実施する。これにより総需要を押し上げ、経済成長の安定化を目指す。RRRが5%の銀行以外が対象。引き下げ後のRRRの加重平均は7.4%程度になり、5,000億元(687億1,000万ドル)の中長期流動性が供給されることになる。現在の緩和サイクルはまだ終了していないとみられ、PBoCは年末までに再度RRR の引き下げを実施すると推測される。

[米国/ロシア] 9月14日、米政府が150以上の個人や団体を対象とする新たな対ロシア制裁を発表した。ロシアの自動車メーカーや銅製造企業などの国内の大手企業がSDNリストに掲載され、制裁が適用されることになる。対象とされた企業は、米国法人との取引が禁止されるなどの制裁を受けるため、ロシア経済に対する追加打撃になると予想される。

[中国] 中国電力企業連合会に、水素エネルギー分科会が設立された。水素と発電システムの協調による新型エネルギーシステムの構築を目指す。会員企業間の交流プラットフォームを構築し、水素エネルギー業界の発展を促進する。中国の水素需要は年間約3,300万トン、世界最大の水素需要国で、今後グリーン水素製造の拡大が見込まれている。2022年3月、国家発展改革委員会などが「水素エネルギー産業発展の中長期計画」を発表し、2025年までに、燃料電池車5万台を生産し、グリーン水素の製造を年間10~20万トンにするなどの数値目標を設定している。

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