デイリー・アップデート

2023年9月14日 (木)

[米国/中国] バイデン政権は、米中関係の緊張緩和と安定化を目的として、2023年6月以降、ブリンケン米国務長官、イエレン米財務長官、レモンド米商務長官ら主要閣僚が相次いで訪中しているが、複数のバイデン政権関係者は、当初期待されたほどの成果がもたらされておらず、野党・共和党議員の一部からは批判が展開されていることを認めた。そうした中、超党派の米上院議員代表団と下院議員代表団の2つの米議会代表団が訪中する計画が浮上してきている。

[パキスタン/UAE] 9月8日、パキスタンの暫定商務大臣であるゴハル・エジャズ氏は、9月末にパキスタンを訪問するUAE政府と包括的経済連携協定(CEPA)に署名する予定であることを明らかにした。CEPAの署名がされれば、パキスタン・UAE両国間で関税が引き下げられ、パキスタンの貿易を大幅に増加させる可能性がある。UAEはパキスタンにとって中国、米国に次ぐ第3の貿易相手国であり、近年2国間貿易は拡大している(2022年前年比+24%)。

[米国] 労働省によると、8月の消費者物価指数は前年同月比+3.7%となり、7月の+3.2%から上昇率が2か月連続で拡大した。前月比は+0.6%となり、ここ2か月間の+0.2%から加速、2022年6月以来の高い伸び率になった。原油価格上昇を反映したガソリン価格が前月比+10.6%と上昇した影響が大きかった。食品・エネルギーを除くコア指数は前年同月比+4.3%となり、7月の+4.7%から上昇率を縮小させた。

[中国/欧州] 9月13日、フォンデアライエン欧州委員長は、「中国のEVに対する補助金の調査を開始し、公平な競争に反する不当な補助金がないかを調べる」との方針を表明した。また、「その販売価格は、高額な補助金によって人為的に低く抑えられており、市場をゆがめている」と述べた。一方、中国の業界関係者は、「価格優位性は、大規模生産と整ったサプライチェーンによるもので、政府補助金によるものではない。外資OEMが中国で生産する場合でも、中国のサプライチェーンを活用して収益を得ることが可能」と反論している。

[イスラエル] 9月12日、イスラエル保健省は、新型コロナウイルス感染症での入院患者が増加している傾向を考慮し、ユダヤ教の休暇シーズンの開始を前に、免疫不全などのリスクが高い一部の人々に対して、屋内の混み合った場所でのマスク着用を推奨する案内を出した。オミクロンから新たに派生した変異株(BA.2.86)の発生が世界中で確認されており(日本でも9月7日に確認された)、イスラエルのみならず、米国、欧州、アジアでも感染者が増加している。同省は、変異株に対応するワクチンの準備にも言及している。

[米国] 9月13日、ブリンケン国務長官はワシントンで、バイデン政権の外交政策について演説を行った。同長官は、米国は既存の同盟関係の深化を進め、同盟ネットワークの相互連携を図りながら、新たな有志連合を結成してグローバル課題に取り組んでいくと表明した。中国やロシアは、既存の国際秩序は西側諸国による強要の産物だと主張しているが、自由で豊かな国際社会の構築は、人類共通の目的であると反論。米国が国際関与を強化していくことは、自身の国益でもあると主張し、バイデン政権の外交姿勢を国内世論に対しても正当化してみせた。

[ロシア/北朝鮮] 9月13日、プーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記は、ロシア極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で会談した。約4年半ぶりにロシアを訪問した金総書記はロケットの技術と宇宙分野の開発に強い関心を示し、ロシアからのその技術供与の見返りに、ロシアへの武器・弾薬の支援などの用意について協議したと思われる。

[ロシア/北朝鮮] 北朝鮮の金正恩総書記がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談を行った件について、米CSISのビクター・チャ上級副所長は以下のようなコメントを発表している。「北朝鮮は米ロ関係が悪化しているときこそ、ロシアとの関係を強化する機会だと考えている。北朝鮮はロシアへの砲弾、弾薬を売却することにより、食料、燃料、医薬品や戦略的な兵器技術を獲得することができる。プーチンは北朝鮮がより高性能な大陸間弾道ミサイルを製造するのを助けることにより、朝鮮半島における米国の拡大抑止強化を複雑にすることを狙っている。日米韓はNATOやG7での具体的な協力を推進することになるだろう。」

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