デイリー・アップデート

2023年9月28日 (木)

[タイ] 9月27日、タイ中央銀行(BOT)は金融政策委員会(MPC)で政策金利(翌日物レポ金利)を0.25%引き上げ2.50%とし、即日実施した。予想外の利上げとなり、2022年8月以降、8会合連続で計200bps引き上げている。BOTは、今回で利上げサイクルを終了する可能性を示唆したものの、インドによるコメの輸出規制や今後生じうるエルニーニョ現象により食料品価格が高騰することを懸念しており、インフレが高進した場合はさらに利上げとなる可能性もある。

[米国] 商務省によると、8月の非国防資本財(除く航空機)受注は前月比+0.9%と、3か月ぶりにプラスに転じた。自動車や電算機類・電子部品、電気機器・家電などが増加した。また、非国防資本財(除く航空機)出荷は+0.7%となり、2か月ぶりに増加した。物価上昇の影響が含まれているものの、第3四半期の企業設備投資は底堅く推移しているようだ。ただし、足元での自動車業界のストライキの影響がどの程度広がるかが懸念される。

[米国] 10月1日から新会計年度(2024年会計年度/~2024年9月30日)がスタートするが、超保守派共和党下院議員らが大幅な歳出削減を要求して妥協を頑なに拒否しており、一連の新会計年度予算や短期間の暫定法案であるつなぎ予算(CR)決議案が9月30日夜までに成立しない場合、米連邦政府機関の一部は閉鎖に陥ることになる。9月27日に開催された下院共和党議員総会で、上院の超党派のCR決議案の下院本会議での採決を行わない方針を表明した。

[エジプト] 9月25日、エジプトの選挙当局は、12月10~12日に大統領選挙を前倒しで実施することを発表した。過半数票を獲得する候補者がいない場合の決選投票は、2024年1月8~10日に実施予定。既に数名が立候補を表明しているが、人権団体はここ数か月の間に野党候補の支持者など数十人がテロ関与や虚偽ニュース拡散容疑などで拘束されたとして批判の声を上げている。現職のシシ大統領はまだ立候補を表明していないが、再選を賭けて選挙に出馬し圧勝するものとみられている。エジプトの大統領任期は6年。

[米国] 9月27日、マッカーシー下院議長(共和党)は、上院にて現在検討されている、つなぎ予算(CR)案を下院で採決にかける予定はないと発言した。上院のCR案は、上院内では超党派の支持があり、下院でも採決にかければ少数党・民主党の票を得て可決できるとみられている。しかし、共和党下院右派の強硬な抵抗があるため、下院議長としては上院案を鵜呑みにはできないもよう。下院議長は9月29日、金曜日に共和党のCR案を採決にかける予定で、党内右派に配慮して国境警備強化などを予算案に盛り込んでいるが、下院通過の可否は不明。政府閉鎖の可能性は刻々と高まっているとの観測が米国内では広がっている。

[ロシア] 9月27日、暗号資産(仮想通貨)交換業大手バイナンスは、ロシアでの事業を同業のベンチャー企業CommExに売却すると発表した。売却額は非公表。売却には最大1年かかる見通しで、ロシアの既存顧客の資産は安全であることを訴えている。

[米国/太平洋島嶼国] 9月25~26日、米バイデン政権はホワイトハウスで米国・太平洋島嶼国首脳会合を開催した。前回の開催から1年足らずで、2回目の開催。米国は、気候変動対策と地域経済発展のために、2億ドルの追加資金拠出をすると約束した。また、米大統領はクック諸島、ニウエとそれぞれ外交関係を樹立し、大使館を開設するとし、バヌアツにも2024年に大使館の開設を目指すと述べた。中国と関係を強めているソロモン諸島のソガバレ首相は会合に参加せず、中国の援助のほうが「制限が少なく、より迅速で、わが国のニーズに合致している」と述べた。バヌアツの首脳もサミットを欠席した。

[中国] ドローン製造企業のDJI(大疆創新科技)が開発したハイエンドスマート運転システムが業界で話題となっている。上汽GM五菱傘下の宝駿汽車がこのシステムを搭載した車種(宝駿雲朶)を発売したが、価格を13万3,800元(270万円)とし、ハイエンドスマート車としては最も廉価な設定とした。DJIは、2019年から上汽GM五菱向けにシステムを納入しており、2022年9月には、初歩的な運転支援機能を装備した車種(宝駿KiWi EV DJI)が10万元(200万円)で発売され、その後、運転支援機能をコストセーブしながら高度化し、今回の廉価なハイエンドスマート車の発売に至った。

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