デイリー・アップデート

2023年9月6日 (水)

[フィリピン] 9月5日に統計庁(PSA)が発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+5.3%となり、前月の同+4.7%を上回った。2023年1月をピークに伸びは鈍化していたが、7か月ぶりに拡大した。台風の接近で国内の収穫が減ったことに加え、輸入先の禁輸措置による供給量の減少で主食のコメの価格が高騰したほか、OPECプラスが減産に動き国際原油価格が上昇したことが要因となった。インフレが再び加速したことで、中銀は追加利上げに動く可能性が高まった。

[中国] 9月5日、工業情報化部は、財政部などの機関と共同で、自動車業界の安定成長を目的とした「4つの統合的計画」を策定した。①メーカーの構造改革や技術革新による良質な製品の供給、②税優遇、燃料電池車の導入などによる新エネルギー車の消費促進、③ハイブリッド車や低炭素燃料などの技術開発やキャンピングカー、ピックアップトラックなど細分化された需要の掘り起こしによるガソリン車の消費安定、④輸出相手国の消費者に質の高い製品とアフターサービスを提供することによる輸出販売力の育成、から構成される。

[トルコ] 9月4日、トルコ統計局は、8月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比で58.9%に達したと発表した(前月比では+9.1%)。トルコのCPI上昇率は、2022年10月に85.5%を記録してから8か月連続で低下していたが、今年7月に反転して上昇し、8月も2か月連続の上昇となった。5月の選挙以降の通貨リラ下落に加え、7月の各種増税や燃料補助金の打ち切りなどが物価上昇に響いている。トルコ中央銀行は、インフレ抑制のため、6月から3か月連続で利上げを実施しており、今後も継続するとみられる。

[アルゼンチン] 9月4日、韓国を訪問していたアルゼンチンのカフィエロ外相は、韓国鉄鋼大手POSCOがアルゼンチン北西部でのリチウム開発プロジェクトに約17億米ドルの投資を実施する合意文書に署名した。アルゼンチンの北西部、チリとの国境に接しているカタマルカ州とサルタ州との州境のオンブレ・ムエルト塩湖近くの2万5,000ヘクタールの鉱区で開発が行われ、POSCOは2026年から年間10万トンのリチウム生産を行う計画である。

[ウズベキスタン] 8月25日、ミルジヨエフ大統領は、自身の長女サイーダ・ミルジヨエヴァ氏を大統領補佐官に任命した。同大統領は8月17日にウムルザコフ大統領府長官を解任し、大統領府から、長官・第一副長官・副長官のポストを廃止する大掛かりな組織改革を進めている。新しく着任した長女サイーダ氏は、今後大統領府のトップになるとみられる。

[中国] 9月1日、全人代常務委員会は、「中華人民共和国外国主権免除法」を可決した。2024年1月1日より施行される。国際法上、国家および国家財産は他国の管轄権から免除されるが、国家が他国の裁判権に服することを明示した場合や、国家と私人の商業取引などについて、主権免除原則を制限する法律は多くの国に存在し、中国政府は中国公民の利益を保護するために、国際慣行に則って同法を制定したと説明している。中国紙『環球時報』は、新型コロナウイルス感染症拡大に関する対中訴訟などへの抑制になるとし、また福島処理水放出に対し中国裁判所で裁くべきという声が中国国内で起こっていると記述している。

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