2023年10月3日 (火)
[欧州] EU統計局(Eurostat)によると、9月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+4.3%となり、2021年10月以来の低い伸び率になった。食品・エネルギーを除くコア指数は+4.5%となり、8月の+5.3%から伸び率を縮小させた。国別にみると、オランダの▲0.3%やベルギーの+0.7%など中期的な物価目標の2%を下回る国もあれば、スロバキアの+8.9%やクロアチアの+7.3%まで幅が広い。こうした状況で、金融政策の難易度がますます高まっている。
[中国] 9月30日、国家統計局は、景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)が8月の49.7から改善し、9月は50.2だったと発表した。景気の節目である50を6か月ぶりに上回った。電気自動車(EV)など好調な分野がけん引した。非製造業部門PMIは、8月の51.0から9月は51.7と伸びが拡大した。そのうち、サービス業は8月50.5から9月は50.9に拡大し、建設業は8月の53.8から9月は56.2に拡大した。だたし、建設業のこの水準は、過去と比較すると低水準となっており、不動産市場が低迷していることが反映されている。
[米国] 9月28日、国際エネルギー機関(IEA)は、パリで第1回重要鉱物・クリーン・エネルギー・サミットを開催し、講演したグランホルム米エネルギー長官は中国への直接の名指しは避けたものの中国と分かる形で「重要鉱物において、自らの政治的利益のために、市場支配力を武器として利用することに前向きな寡占的支配力を持つサプライヤーに我々は直面している」との見解を示した。同長官は、重要鉱物を巡り国際的なエネルギー安全保障は、極めて複雑かつ重要になると話した。
[ドイツ/中国] 10月1日、フランクフルトで「第3回中独ハイレベル財政・金融対話」が開催され、リントナー独財務相と何立峰中国副首相が参加した。4年ぶりに開催された同対話の後で発表された共同声明では、両国の市場アクセス拡大、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じての協力などが記載された。リントナー氏は中国との重大な懸案について公に言及することはなく、隔年開催の財政・金融対話を毎年の開催にしたいと述べた。ドイツ国内には、EUの中国EV政府補助金に関する調査について、中国の報復を懸念する声が聞かれる。
[台湾] 10月2日、台湾最大の製鉄会社である中国鋼鉄は、厚さ0.2mmの極薄電磁鋼板の開発に成功し、次世代無人航空機のモーターの構成部品に採用されたと発表した。また、このモーターを使用した無人航空機は、国防部の検証テストに合格したとも説明した。特殊な合金の配合と焼鈍処理という鋼材内部に発生した残留応力や硬化などを取り除くことにより、鋼材の結晶方向を最適化し、厚さわずか0.2mmの極薄電磁鋼板の開発に至ったというもの。無人航空機モーター用の鋼板は、EVモーター用と比較して難易度がはるかに高いといわれている。
[サウジアラビア/イラン] 10月2日、アジアナンバーワンのサッカークラブを決める「アジアチャンピオンズリーグ」の1試合(サウジのアルイティハドFC対イランのセパハンFC)がイランの会場で開催される予定だったが、試合会場の入り口に米軍に暗殺されたイラン革命防衛隊の故ソレイマニ司令官の胸像が設置されたことにサウジのチームが抗議し、試合は急遽中止となった。サウジ側は胸像の撤去を要請したが、イラン側が応じなかったとのこと。両国は2023年3月に国交正常化に合意し、ようやく9月からホーム・アウェイの対戦が可能となったばかりだった。
[米国] 10月2日、商務省国際貿易局(ITA)は、半導体警戒メカニズム(SAM)の仕組みを更新し、半導体、マイクロエレクトロニクス関連の諸企業に情報提供を呼び掛けた。SAMは、半導体サプライチェーンの混乱につながり得る製造拠点の問題や将来のリスクについて、関連企業から情報提供を受け、それに基づいて警告情報を共有する。インド太平洋経済枠組み(IPEF)のサプライチェーン分野においても、同様の情報共有の仕組みを立ち上げることで合意している。
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