デイリー・アップデート

2023年10月6日 (金)

[米国/メキシコ] 10月5日、バイデン政権はメキシコ国境沿いの「壁」建設を再開する方針を発表した。バイデン政権は環境関連を中心とした26の連邦規制適用を免除し、テキサス州南部における不法越境を抑制するための障壁建設を国土安全保障省が速やかに進める。トランプ前政権が不法移民対策として開始した国境の「壁」建設は、両国国境の23%まで進んだが、バイデン政権は効果が薄いとして中止していた。昨今の不法越境件数の増加に伴い、テキサス州等が不法移民を民主党州に移送したことで、バイデン政権とニューヨーク州の関係にも影響を及ぼしており、バイデン政権は公約撤回に追いやられた。

[米国/中国] 10月第2週目は、米議会は休会入りとなる。この休会を利用して、シューマー民主党上院議員とクレイポ上院議員(共和党)が率いる6人で構成される超党派の上院議員代表団が、中国、日本、韓国の東アジア3か国を歴訪すると、10月4日にシューマー氏が正式に発表した。同氏はその目的について、同地域における米国の経済面及び安全保障面での国益の推進を図ることであると説明しており、訪中時に習国家主席との会談を模索している。

[バングラデシュ] 10月4日、中央銀行は金融政策委員会の緊急会合を開き、政策金利(レポ金利)を0.75%pt引き上げ7.25%にしたと発表した。10月5日から適用された。インフレの抑制が狙い。中銀は2023年6月にも政策金利を0.50%pt引き上げていた。対ドルでの通貨タカが下落しており、輸入物価が押し上げられていることなどが、消費者物価指数(CPI/9月は前年同月比+9.63%)の上昇を導いているもよう。特に食料品の価格が上昇しており9月は同+12.37%だった。

[日本] 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、8月の現金給与総額(名目賃金)は前年同月比+1.1%と上昇した。20か月連続プラスで、上昇率は7月と同じだった。所定内給与(基本給)は+1.6%、所定外給与(残業代)は+1.0%と増加した一方で、特別に支払われた給与(ボーナスなど)は▲5.4%と7か月ぶりに減少した。物価変動を考慮した実質賃金は▲2.5%と、物価上昇に追い付かず17か月連続で減少した。

[中国] 接岸停泊中の船舶に対し岸側から送電する設備は沿岸電力と呼ばれ、船舶が接岸している間、ディーゼルエンジンによる発電の代わりに陸上の電力を使用するためのもので、船舶接岸中の大気汚染、騒音及び温室効果ガス排出の低減を目的としている。上海、広州、深セン、香港など大都市の港湾での排ガスは、大気汚染全体の20~40%を占めるとされ、当初中国の沿岸電力は、大気汚染防止対策として上海に近い揚子江内陸港湾で設置が始まっていたが、その後炭素削減の目的も加味され、中国沿海部で普及している。

[中国] 中国は海外で石炭火力発電所の新規建設は行わないとし、この2年間で約40件の火力発電所計画を中止したが、ほかの40件近くのプロジェクトは未定のままになっているとWSJ紙が報じている。背景には、再生可能エネルギーへの先行投資をためらう発展途上国の事情もあり、インドネシアのチレゴン火力発電所は、ニッケル加工に必要な電力供給のため、パキスタンのグワダルの発電所は、停滞している空港や病院建設プロジェクト稼働のためとしている。中国は、チレゴンのようなケースは産業複合体の一部であり、公約の対象となる独立したプロジェクトに含まれないとしている。

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