デイリー・アップデート

2023年10月12日 (木)

[米国/イラン] 10月7日に勃発したパレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃については米国内でも衝撃が広がっているが、米議会では、ハマスのイスラエル攻撃を、イランが支援していたのではとの疑惑が持たれている。2023年8月、バイデン政権はイラン政府とそれぞれ5人の捕虜の交換とともに、韓国国内で凍結していたイランの原油資金60億ドルをカタールのイランの口座に移行することでも合意したが、米議会で同資金の再凍結を求める声が広がっている。

[米国] FRBは10月11日、9月19~20日開催のFOMC議事要旨を公表した。それによると、過半数の参加者はあと1回の利上げが適切になるだろうという見方を示した一方で、一部は追加利上げが正当化されないという認識を明らかにしていた。現状について慎重に金融政策を進める位置にあること、物価上昇率が目標の2%に向かって低下していくと確信できるまで、政策金利を制約的な水準にとどめることなどについて、参加者全員が賛成していた。

[ロシア/中央アジア] プーチン大統領は10月12日から中央アジアのキルギスを訪問し、ジャパロフ大統領と首脳会談を行う予定。ウクライナ侵攻を巡る戦争犯罪容疑で国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出して以来、同大統領初の外遊となる。10月13日には、キルギスで開かれる旧ソビエト諸国でつくる独立国家共同体(CIS)の首脳会議に出席する予定。

[中国/オーストラリア] 2020年に中国で拘束された中国系オーストラリア人のチェン・レイ(成蕾)氏が、3年間の拘留から解放され、オーストラリアに帰国した。帰国後、同氏はアルバニージー首相と面談し、家族と再会した。中国がこの時期に同氏を解放したのは、11月に予定されているアルバニージー首相の訪中を成功させるため。中国側はオーストラリアに対し、鉄鋼製品への反ダンピングの完全撤廃、中国のCPTPP加盟への支援、中国からの投資拡大などを期待している。

[韓国/米国/日本] 10月10日、韓国LG化学は、トヨタとEV電池用正極材の供給契約の締結を発表した。契約金額は日本円換算で約3,150億円となり、米国でトヨタが建設中の電池工場への供給となる。LG化学は、2025年中の量産を目指し米テネシー州に電池材料工場を建設しており、トヨタへの供給量はEV換算で年間60万?70万台分に相当する。また今回の正極材の契約に先駆けて、10月5日、LG化学の子会社である電池大手LGエネルギーソリューションが、トヨタ米ケンタッキー工場向けにEV用リチウムイオン電池の供給契約を締結したと発表していた。

[米国] 10月7日のハマスによる攻撃は、米国政治においても党派間・党派内の外交姿勢の違いを浮き上がらせる形となっている。共和党では、トランプ前大統領を筆頭に、米国の対外関与を最低限に抑えるべきとの意見が主流となりつつあるが、今回の事態に関してイスラエル支持という点では一致。しかし、ウクライナ支援派であるペンス前副大統領、ヘイリー元国連大使は、今回の事態をもって孤立主義派への批判を行っている。民主党内もハマス攻撃を糾弾する点では一致しているが、党内左派は同時に速やかな停戦を呼び掛けており、党内摩擦を生んでいる。

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