デイリー・アップデート

2024年11月1日 (金)

[チリ] CFA協会とマーサーによる世界各国の年金制度のベンチマーク指標「グローバル年金指数」の2024年最新アップデートにおいて、チリの年金制度が世界第9位に上昇した。グローバル年金保障制度が加わったことで、将来の受給額の期待値が上昇したことが評価に影響した。なお、日本は世界第36位となっている。

[ボツワナ] 10月30日、5年に一度の総選挙が実施され、開票が続いている。モクウィツィ・マシシ大統領率いる与党「ボツワナ民主党(BDP)」が全61議席の過半を得るとみられていたが、最大野党「民主変革のための傘(UDC)」を含む野党3党が、事前予想を上回る健闘をしていると報じられている。BDPは、1966年の英国保護領からの独立以降、60年以上にわたり政権を維持してきた。しかし、今回の選挙での苦戦の背景には、国家収入の約1/3を占めるダイヤモンドの価格低下による経済への影響のほか、BDPを離党したイアン・カーマ前大統領が野党側の支持に回っていることなどがあげられる。最終的な投票結果は11月1日中に発表される予定。

[東南アジア] ASEAN自動車連盟(AAF)によると、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムにおける8月の自動車生産台数の合計が前年同月比▲11.3%の32万5,848台となり、4か月連続で前年を下回った。インドネシアとタイの生産台数は、それぞれ▲14.6%、▲20.6%と2桁の落ち込みとなり、13か月連続で前年割れとなった。この背景には内需の弱さが影響している。また、ベトナムも▲7.4%、3か月連続でマイナスとなった。一方、内需が堅調なマレーシアとフィリピンは、それぞれ+8.9%、+34.7%となり、好調を維持した。

[米国/ユーロ圏] 米商務省によると、9月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+2.1%だった。上昇率は8月(+2.3%)から縮小し、2021年2月(+1.8%)以来の低さだった。エネルギー(同▲8.1%)が下落した一方で、サービス(+3.7%)は高止まりした。また、EU統計局によると、10月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.0%となった。上昇率は9月(+7%)から拡大、2か月ぶりに2%台に戻った。

[中国] 商品市場は中国が11月4~8日に開く全人代常務委員会で財政刺激策を発表することに期待している。他方、中国は10月に国家主導で「中国資源リサイクルグループ(CRRG)」を設立。新会社には宝武鋼鉄・中国アルミ・五鉱集団などの大手国有企業が資本参加し、金属スクラップ・電子機器・EVバッテリー・風力/太陽光発電機器・プラスチックなどさまざまな種類の資源リサイクル分野でいくつかの専門子会社を設け、廃棄物を資源化する取り組みを強化する。これは環境目標達成の方法であるだけでなく、不安定な地政学情勢下で自給率を高めるものともなる。同社の具体的な取り組みの詳細や市場への影響は不明だが、中国の商品需要への影響は潜在的に大きい。

[米国] 世界最大の直接炭素回収プラントがテキサス州西部に建設中だ。STRATOSと名付けられたこのプロジェクトはヒューストンに本拠を置くオキシデンタル・ペトロリアム社が主導し、2025年半ばに商業運転を開始する予定だ。年間50万トンの二酸化炭素を大気から除去することを目指しており、バイデン政権のインフレ抑制法による税額控除や大手IT企業からの支援を受けている。例えば、マイクロソフト社はこの施設から50万トン相当の炭素クレジットを購入することをコミットしている。一方でこのプロジェクトについては専門家の間でも意見が分かれている。大気中の二酸化炭素濃度が低いため、除去プロセスには多大なエネルギーが必要との指摘で、この課題に対して今後エネルギー消費量の削減やクリーンなエネルギー源の利用を必要としていること。そして、経済的な影響や安全性に関する課題として、施設の建設と運営の費用が高額であることや、地下での二酸化炭素貯蔵の長期安定性や、地震活動のリスクに対するマネジメントなどが挙げられている。

[米国/中国] 米国最大のドローンメーカーであり、ウクライナにも製品を供給しているSkydioが、中国政府の制裁措置により、中国サプライヤーからバッテリーを入手できなくなったため、バイデン政権と協議を行い、代替のサプライヤーを急ぎ探しているとFT紙が報じている。中国は、米国が台湾への攻撃用無人機の売却を承認したことへの報復措置として、Skydioを含む複数の米国企業に制裁を科した。

[サウジアラビア] 10月29~31日にかけての3日間、サウジアラビアのリヤドにおいて未来投資会議(FII)が開催された。世界経済フォーラムが毎年行うダボス会議になぞらえて「砂漠のダボス」と呼ばれるこの会議は、2017年から毎年サウジで開催されており、今年で8回目の開催。世界中から7,000人以上の政府関係者や投資家らが集まり、開催期間中に280億ドル規模の投資契約などが結ばれるとみられている。人工知能(AI)やロボット工学、教育、エネルギー、医療など多岐にわたる問題に対処する投資に焦点があてられた。

[米国] 10月31日に北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの発射実験を行ったことに際して、バイデン政権はインド太平洋地域の安全保障を不安定にする行為として非難する声明を発表した。同日、ワシントンにて米韓外務・国防担当閣僚会合(2+2)が開催され、北朝鮮の脅威に対して抑止力を強化することを改めて確認をした。また、北朝鮮がミサイル、核兵器の能力を向上させていることに対して深い懸念を表明し、日本を含む3か国で連携していく方針を表明した。

[モルドバ] 10月31日、旧ソ連構成国モルドバで10月20日に実施された欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票について、同国の憲法裁判所は賛成多数となった結果を承認した。EU加盟が不可逆的な目標として憲法に明記される。同国は11月3日に親欧米の現職サンドゥ大統領と、親ロシア勢力の支持を受ける元検事総長ストヤノグロ氏との間で大統領選の決選投票が行われる予定。

[スロバキア] 10月30日、フィッツォ首相がロシアTV局の政治トーク番組に出演し、ウクライナ情勢に関して西側諸国の対ウクライナ軍事支援が戦争を長引かせている、対ロシア制裁は効果がないなど、EUの方向性に真っ向から対立する発言をした。

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