2024年11月5日 (火)
[原油] 11月3日、OPEC事務局はサウジアラビア、ロシア、イラク、UAE、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーンの8か国が2023年11月に開始した日量220万バレルの自主減産をさらに1か月延長し、2024年12月末までとすることを発表した。生産割当に対して超過生産を行った国は2025年9月までに完全履行する合意も改めて確認した。石油需要が当初予測を大きく下振れ、油価低迷が続いているためこの決定に驚きはない。トランプ再選ならイランとの関係がさらに悪化したり、中国に懲罰的関税を課したりして石油需給に影響する可能性があり、選挙結果を待つ意味合いもあろう。供給過剰・油価低迷が続けばさらに増産延期の可能性もあるが、減産が長引くと、生産割当違反や2025年からのUAEの生産割当引き上げなどにより、OPEC内で不公平感が高まる可能性もある。
[トルコ/アフリカ] 10月2~3日、ハーカン・フィダン・トルコ外相は紅海に面するジブチを訪問し、「第3回トルコ・アフリカ閣僚級レビュー会議」を開催した。アフリカ54か国中、アンゴラ、エジプトなど14か国が参加した。フィダン外相は、トルコとのアフリカとの経済的パートナーシップが年々強化されていることを強調し、南アフリカをはじめパレスチナを支持するアフリカ諸国への感謝の意を示した。また、2026年に「第4回トルコ・アフリカ・パートナーシップ・サミット」をアフリカで開催すると発表した。ジブチを含む「アフリカの角」地域では、エチオピアと、ソマリア・エジプト・エリトリアとの間で軍事的緊張が高まり、トルコが仲裁を試みてきたものの交渉は停滞が続いている。今回の会合もエチオピアとソマリアの外相は欠席した。
[米国] 労働省によると、10月の非農業部門雇用者数は前月比+1.2万人だった。市場予想(+10~11万人)を大幅に下回った。ハリケーンやストライキの影響に加えて、調査期間のタイミングや長さなども影響したとみられる。一方、失業率は4.1%と、前月から横ばいだった。平均時給は前年同月比+4.0%となり、9月(+3.9%)から上昇率をやや拡大させた。この結果を受けて、市場では、11月のFOMCでは0.25%の利下げが実施されると予想されている。
[中国] 10月31日に発表された中国国家統計局と中国物流購買連合会による10月の購買担当者指数(PMI)は、前月に転換点を迎えた後、改善した。製造業PMIは9月の49.8から10月に50.1へと上昇し、6か月ぶりに節目である50を上回った。また、11月1日に発表された財新伝媒による10月の製造業PMIも50.3で、前月から1.0pt上昇し、2か月ぶりに50を超えた。製造業の生産は急成長を見せており、今後さらなる加速を示唆している。今回の製造業の改善は、主に内需の増加によるもので、新規受注が上昇したことが反映された。
[米国] 11月5日に米国大統領選挙の投票が行われるが、前日11月4日に民主党のハリス副大統領はペンシルベニア州のアレンタウン、レディング、ピッツバーグ、フィラデルフィアで開催されたイベントに参加した。他方、共和党のトランプ前大統領は南部ノースカロライナ州、ペンシルベニア州、ミシガン州の「激戦州」3州を遊説した。史上稀に見る接戦となっているが、トランプ氏は政治集会で民主党が不正を行っていると主張しており、開票作業を巡り混乱が生じる可能性がある。
[米国] 米国最大のテクノロジー企業4社(アルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフト)の2024年の設備投資は2,000億ドルを超えるとみられており、2025年に向けての削減計画は今のところほとんどない。AI開発とデータセンターの設置が主な投資対象となるが、後者では電力消費量の急増が見込まれることもあって電力の確保に向けて原子力発電への投資を加速させている。しかし、その難しさも明らかになりつつある。マイクロソフトのスリーマイル島原子炉復活計画は前進しているが、メタはプロジェクトを開発しようとした土地では希少種の蜜蜂が見つかったことで計画の再考が必要とされている。アマゾンの計画も規制上のハードルが引き上げられている。ペンシルベニア州サスケハナ近郊の原子力発電所の隣に、新たなハイパースケールデータセンターが建設され、同発電所の電力の大部分が使用されることが計画されていたが、11月1日、米国の電力と天然ガスの送電網を監督する連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、アマゾンが発電所に直接接続することを可能にする既存のデータセンター電力契約の拡大を2対1で否決した。背景には、データセンターが巨大な発電所の電力の大部分を地域の他の電力網から転用することになるため、ほかの需要者への安定供給が脅かされたり(電圧低下や停電など)、コスト増加につながる可能性等の理由がある。AI需要鈍化も指摘されており、成長の起点になると期待されてきたがBig Tech株も頭打ちとなっているように、AIやデータセンターというパワーワードに対する評価に一服感が漂う。
[米国] 11月5日、米国は大統領選の投開票日を迎えた。米国東部時間の朝6時(日本時間5日、20時)からニューヨーク州などで大統領選の投票の受け付けが始まり、同日の東部時間18時(日本時間11月6日、朝8時)から順次、投票所が閉まり始める。すでに期日前投票で約8,100万票(2020年選挙の総票数の約51%に相当)が投じられている。5日以降も郵便投票を受け付ける州もあり、選挙戦が僅差である場合、結果の確定には時間を要する見込み。米メディア報道では、大統領選は拮抗、上院選は共和党有利、下院選も接戦との見立てが多い。
[モルドバ] 11月3日、旧ソ連のモルドバで大統領選の決選投票が行われ、親欧米の現職大統領サンドゥ氏(52)が勝利した。中央選挙管理委員会が発表した結果によると、得票率はサンドゥ氏が55.35%、親露派政党が支援した元検事総長のストイアノグロ氏(57)が44.65%だった。国内得票率では、ストイアノグロ氏がリードしていたが、サンドゥ氏の最終的な勝利に繋がったのは、過去最多の約32万票が投じられた在外投票だ。欧米志向の有権者が多く、8割以上がサンドゥ氏に投票したとみられる。
[日本/中国] 11月4日、秋葉剛男・国家安全保障局長と中国の王毅・政治局員兼外相は北京で会談を行い、日中ハイレベル政治対話メカニズムについて協議を行ったほか、福島原発処理水に関する日本産水産物の輸入再開について実施を加速させることで合意した。日本側の発表によれば、ペルーで開催されるAPEC首脳会合での石破首相と習近平国家主席の首脳会談や、北朝鮮兵のロシア派兵による地域情勢への影響などについても話し合われた。
[ミャンマー] 11月4日、ミャンマー軍政はミンアウンフライン国軍司令官(「暫定首相」)が6~7日に中国を訪問すると発表した。2021年2月のクーデター後、初の訪中となる。同日、中国は6~7日に李強首相が雲南省昆明市で第8回大メコン圏首脳会議を開催し、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムの首脳とアジア開発銀行総裁が出席すると発表した。
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