デイリー・アップデート

2024年11月28日 (木)

[セネガル] 11月27日、憲法評議会は11月17日に行われた国民議会選挙の結果を承認した。3月の大統領選で勝利し、政権交代を実現したバシル・ファイ大統領率いる与党PASTEFが165議席中130議席を獲得し、絶対安定多数を確保した。政権交代後も議会では前政権与党議員が多数を占め、現政権が進めようとする経済・社会改革等の法案成立が阻まれていたが、今回の大勝でPASTEFの政策実行能力が高まることになる。当面はファイ大統領の監査指示により明らかになった前政権時代の債務過少報告を受けて、新規融資の交渉が停滞している国際通貨基金(IMF)向けの対応を急ぐとみられる。

[韓国] 11月28日、韓国銀行(中央銀行)は、定例の金融通貨委員会を開き、政策金利を0.25%引き下げて年3.00%とした。2会合連続の利下げとなり、即日実施した。第3四半期の実質GDP成長率が前期比+0.1%となり景気後退をかろうじて回避したが、最近の経済活動を示す指標が低調であることを踏まえ、今後の景気後退を懸念し利下げを実施した。同時に、中銀は2025年の実質GDP成長率の見通しを1.9%とし、従来の2.1%から下方修正した。

[米国] 商務省によると、10月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+2.3%となった。上昇率は9月(+2.1%)から拡大し、物価が引き続き「でこぼこ道」を歩んでいることが示された。食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比+2.8%となり、これも9月(+2.7%)から小幅に拡大した。内訳をみると、財は▲1.0%と低下した一方で、サービスが+3.9%と上昇しており、サービスが物価のけん引役になっている。この結果を踏まえて、市場では12月の連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利下げが実施されると予想されている。

[米国] 11月27日、トランプ氏は、新設する大統領補佐官兼ウクライナ・ロシア担当特使に、第1期トランプ政権でペンス副大統領の国家安全保障問題担当副大統領補佐官に就任したキース・ケロッグ元米陸軍中将の起用を発表した。ケロッグ氏は、ロシア軍が支配しているウクライナ東部地域を凍結する一方、米国は対ウクライナ軍事支援を継続し、和平協定とウクライナのNATO加盟先送りをセットにするウクライナ和平構想を明らかにしている。

[中国] 中国国内で、社会に不満をもった人物による無差別攻撃や殺人事件が頻発していることに対し、中国指導部も懸念を強め対策を急ぐよう指示を出している。11月24日に浙江省を視察した中央政法委員会の誾柏秘書長は、紛争リスクの解決と社会の安定維持のため「専門業務と大衆路線の結合を堅持」すると述べた。また、ビッグデータによる事件処理のプラットフォーム構築と応用について、豊富なデータを徹底的に政治と法律のために活用し、データ識別、スクリーニング、分析、評価を強化し、あらゆる手段で潜在的リスクを発見して排除し、予防的措置と対応措置を採用し、テクノロジーが草の根の統治と法律業務により力を発揮できるようにすべきだと指摘した。

[ニュージーランド(NZ)] 11月27日、NZ準備銀(RBNZ)が政策金利を0.5%引き下げ4.25%とした。利下げは3会合連続。前回に続き下げ幅は通常の2倍だった。7~9月期のCPI上昇率は前年同期比+2.2%に鈍化し、目標レンジ(+1~3%)に収まった。同期の実質GDP成長率は前期比▲0.2%と停滞が続いている。RBNZは、インフレ率は目標レンジの中間値(+2%)に近づいており、経済状況が予測通りに推移すれば、来年初めに追加利下げを行うことができるとの見方を示した。

[米国] 11月26日、ブリンケン国務長官はイタリアで開催されたG7外相会議に参加し、その後、記者会見に臨んだ。ブリンケン氏は、これが自身にとって、国務長官として最後のG7関連会合への出席になると述べ、バイデン政権下でG7は連携を強化し、国際危機に対処することができたと、これまでの外交成果を振り返った。中国はロシアや北朝鮮に対する影響力を駆使して、紛争解決、緊張緩和に努めるべきだが、そうした行動が見られず、米国を含むインド太平洋諸国は抑止力強化を進めることになると発言した。米国が同盟外交に注力した結果、強い立場から中国に臨むことが可能になり、そうした成果を次期政権に手渡すことができるとも述べた。

[ロシア/カザフスタン] 11月27日、プーチン大統領はカザフスタンを訪問し、同国とのエネルギー分野の関係強化や農産物を巡る対立緩和について協議した。ロシアの農業規制当局は2024年10月からカザフスタン産の穀物、穀物製品、ヒマワリの種、トマトなどの植物検疫証明書の発行を停止すると発表し、輸入とそれら農産物の通過を事実上禁止していた。両国の貿易摩擦は市場関係者にとって懸念材料になる可能性がある。

[EU] 11月27日に欧州議会で行われた第2次フォン・デア・ライエン委員会承認投票の結果、賛成多数で12月1日の始動が決定した。しかし、1995年以来、議会による支持が最も低い新委員会の発足となる。

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