デイリー・アップデート

2024年11月26日 (火)

[チリ] 11月24日に11州で知事の決選投票が行われた。左派の与党連合がバルパライソ(最も人口の多い地域)を含む6つの州で勝利し、野党が5つの州で勝利した。国民からの変化を求める声が大きくなる一方で、野党も一枚岩ではなく、来年の大統領選は依然として流動的とみられている。

[ナイジェリア] 11月25日、統計局(NBS)は2024年第3四半期の実質GDP成長率を前年同期比で+3.46%と発表した。GDPの5割強を占めるサービス部門(特に通信、金融)は前年同期比で+5.19%増となり成長をけん引した。主要な外貨獲得源である原油部門も同+5.17%となり、1日当たりの平均原油生産量も前期の141万バレルから147万バレルに増加した。国産原油を利用する新設のダンゴテ製油所は年内に85%の稼働率達成を目標(最大製油容量は日量65万バレル)としており、同製油所から国内への燃料供給量が増加すれば石油輸入量が減少し、マクロ経済への好影響が期待される。

[スリランカ] 11月22日、国際通貨基金(IMF)は、スリランカに対し約3億3,300万ドルの融資を近々承認する見通しであることを発表した。今回の融資は、2023年3月に承認された「拡大信用供与(EFF)」の枠組みに基づく総額30億ドルの金融支援パッケージの一環であり、4回目となる。今後、理事会での承認を経て拠出される予定である。この融資を含めると、これまでの融資総額は約13億3,300万ドルに達することとなる。9月にスリランカの新大統領に選出されたディサナヤカ氏が、11月21日に就任した際の就任演説では、前政権が確保したIMF支援内容を継続する意向を明らかにしており、IMFは、現政権のIMFが求める改革に対する前向きな姿勢を評価している。

[ドイツ] Ifo経済研究所によると、11月の企業景況感指数(2015年=100)は85.7となり、10月から▲0.8ptの低下だった。企業景況感指数はならしてみれば、2021年半ばから緩やかに低下している。内訳をみると、足元の状況を表す現況指数は84.3(前月から▲1.4pt)へと2か月ぶりに低下し、先行きを表す期待指数は87.2と10月からおおむね横ばい(▲0.1pt)だった。国内では連立内閣が崩壊し、米大統領選のトランプ氏勝利によって関税引き上げが懸念されるようになり、企業の景況感が悪化した。

[中国/モロッコ] 中国の習近平国家主席は、南米で開催されたAPECとG20に参加した帰路、公式日程には含まれていなかったモロッコに急遽立ち寄った。モロッコのムーレイ・ハッサン皇太子に空港で出迎えられ、ムハンマド6世国王と会談を行った。モロッコはEUと米国の両市場に自由貿易でアクセスできる自動車製造の主要拠点であり、中国が自動車生産や電気自動車用バッテリー製造の産業リスク分散を図る上で、同国の重要性が高まっている。

[インド] 11月23日、マハラシュトラ州とジャルカンド州の議会選挙の結果が開票され、前者ではBJP率いる与党連合が圧勝し、後者では地域政党と国民会議派の連合が勝利した。夏の国政選挙後、4つの州議会選挙があったが、与党連合は2つの選挙で勝利しており、モディ首相にとって追い風となる結果を収めている。

[イラン] イラン外務省は11月29日に英国、ドイツ、フランスと同国の核問題を協議すると発表した。11月21日に国際原子力機関(IAEA)の理事会で、イランが同機関の査察に対して非協力的であるとするイラン非難決議が可決されたが(英・独・仏も賛成)、イラン原子力庁はその翌日、それに対抗するように濃縮ウランの生産能力拡大を発表した。イランに対して制裁のさらなる強化などで厳しく対応するとみられているトランプ大統領の就任も近づいており、イランの核問題に関する緊張が高まっている。

[米国] トランプ次期大統領は、国境管理強化と米国内の不法移民の本国強制送還を公約に掲げている。そうした中、農場での農産物の収穫等について不法移民の労働力に大きく依存している米農業団体からトランプ次期政権に対し、農業分野に対する不法移民の国外強制送還を適用除外とするよう求める要望が出され始めている。同団体は、トランプ次期政権の政策が実施された場合の、食料サプライ・チェーンの遮断のリスクについて指摘している。

[ドイツ/リトアニア] 11月25日早朝に、ライプチヒ(ドイツ)発・ビリニュス(リトアニア)着予定のDHL貨物機が墜落し、乗員4名のうちスペイン国籍のパイロット1名が死亡し、乗員3名(スペイン、リトアニア、ドイツ)が負傷した。ベーアボック外相(ドイツ)は、意図的な墜落事故・技術的な事故の両方の可能性を排除しないながらも、最近個人やインフラに対するハイブリッド攻撃が複数発生している現状を「我々が生きている時代を浮き彫りにしている」と警戒した。

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