2024年11月13日 (水)
[ベトナム] 不動産市場の回復の兆しがみられる一方で、第3四半期の不動産在庫水準は依然として高水準にとどまっている。特に、総資産の50%、場合によっては80%近くを在庫が占める企業も少なくない。不動産開発大手ノバランドでは、9月30日時点での在庫が前年末の138.9兆ドンから4%増加し、145兆ドン(約57億ドル)に達している。この在庫の大部分は建設中のプロジェクトによるものである。また、同社は在庫の約40%(約58兆ドン)を融資の担保として使用している。一方、9月30日時点での総資産は232兆ドンを超えているが、前年末比で4%減少しており、在庫が総資産の半分以上を占めている状況にある。
[ドイツ] 欧州経済センター(ZEW)によると、11月のドイツ景気期待指数は7.4となり、10月(13.1)から▲5.7ptとなった。向こう6か月程度先の景気見通しについて改善が減少した一方で、悪化が増加した。足元の状況を表す現況指数は、▲94.4、2020年5月以来の低水準になった。ドイツ経済の苦境がうかがわれる内容だった。また、米大統領選が調査期間に含まれたこともあって、トランプ氏勝利を織り込み、物価上昇についての指数は上方修正され、今後の物価上昇を見通す見方が増えた。
[米国] 11月12日からブリンケン国務長官は欧州、そして南米への外遊を開始した。ベルギーでは、NATOおよびEU関係者との会談を行い、その後、ペルー、ブラジルを訪れ、APEC(アジア太平洋経済協力)、G20の首脳会合に参加するバイデン大統領に随行する予定。NATO、EU関係者との会談では、2025年1月からトランプ政権が発足することを踏まえ、今後の環大西洋協力やウクライナ支援などについて協議を重ねるとみられる。なお、バイデン大統領は11月13日にトランプ次期大統領をホワイトハウスに招き、2025年1月20日の政権移行に向けた引継作業について話し合いを行う。
[米国] トランプ次期大統領は国境管理政策を所管する次期国土安全保障長官にサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事を起用する方針を固めた。トランプ氏は第1期トランプ政権で大統領上級顧問・スピーチライターとして国境管理強化策の立案・実施で大きな役割を担ったスティーブ・ミラーを大統領次席補佐官(政策担当)に指名し、国土安全保障省傘下の米国移民・税関捜査局(ICE)のトム・ホーマン元局長代行を「国境管理責任者(”border czar”)」として起用する方針。
[ウクライナ] 一部の欧米メディアによると、ウクライナでは大統領選挙の準備が始まっており、2025年5月25日が推定日として報じられている。情報筋によると、地方選挙本部は作業を開始し、候補者のリストを作成している。また、国内世論調査によると、現職のゼレンスキー大統領の人気は大幅に低下しており、彼の対抗馬として最も人気があるのは、元ウクライナ軍最高司令官のザルジニー氏で、現在は駐英大使を務めている。
[ドイツ] ドイツの3党連立政権が事実上崩壊し、議会信任投票とその後に続くであろう連邦議会解散総選挙の日程の不透明感が急浮上していたが、11月12日にシュタインマイヤー大統領が、主要政党が12月16日に議会信任投票を行うことで合意したことを発表した。2025年2月23日に解散総選挙が行われる見込み。
[韓国/米国/北朝鮮] 11月12日、韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相は記者会見で、米国のトランプ次期政権の対北朝鮮政策について尋ねられた際、「不確実な状況で、(韓国は)すべての可能性を考慮して協議する必要がある」と述べた上で、米国と北朝鮮の対話は、韓国の立場を反映し、韓国が主導する形で行われるのが望ましいと述べ、また、北朝鮮の非核化目標は変わっていないと強調した。ウクライナに対する武器支援については、最初に協議することになるとの見立てを示した。
[米国/イスラエル] 11月12日、トランプ次期米大統領は、元アーカンソー州知事のマイク・ハッカビー氏を駐イスラエル米国大使に指名することを自身のSNSで発表した。同氏はキリスト教福音派で、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区へのユダヤ人の入植を支持している人物(占領地への入植は国際法上は違法)。トランプ氏は、次期国連大使や国家安全保障問題担当大統領補佐官などにも親イスラエル傾向の強い人物を指名しており、次期トランプ政権は今よりもさらに親イスラエル的な性格が強まることが予想される。
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