デイリー・アップデート

2024年11月7日 (木)

[中国/サウジアラビア] 11月5日、中国財政省は、サウジアラビアの首都リヤドで11?17日に発行額は最大20億ドルとなる米ドル建て国債を発行すると発表した。金利や年限など具体的な発行条件は近々公表される。これは、2021年以来3年ぶりの米ドル建て国債の発行となる。この動きは、中国がサウジアラビアを投資拠点として重視する姿勢を示している。両国は経済協力の拡大を目指しており、中国の「一帯一路構想」などの戦略的イニシアティブをサウジアラビアの「ビジョン2030」計画と一致させている。

[日本] 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、9月の現金給与総額(名目賃金)は前年同月比+2.8%だった。上昇率は8月と同じであり、33か月連続のプラスとなった。内訳をみると、所定内給与(基本給、+2.6%)や特別に支払われた給与(ボーナスなど、+16.1%)が8月から上昇率を拡大させた一方で、所定外給与(残業代、▲0.4%)は2か月ぶりに減少に転じた。物価変動を調整した実質賃金は▲0.1%となり、2か月連続のマイナスになった。

[エチオピア] 11月7日、国際通貨基金(IMF)は同国向け融資審査に関する報告書において、7月に政府が実施した変動為替相場制への移行により、公式レートと並行レートの間のスプレッドは、導入前の96%から5%程度に縮小し、長年にわたるマクロ経済の歪みが是正された改革断行を評価した。ただし、国内の外貨供給は予想よりも遅く、市場の需要が満たされていないことから、中銀による追加政策措置が必要だとした。また、深刻な外貨不足に関しては、6月末時点の外貨準備高は14億ドルと輸入の0.7か月分に留まっていたが、IMFらによる財政支援と金輸出の好調を背景に8月には36億ドルに増加したと報告した。この国内の金生産に関して英国王立国際問題研究所は、紛争地域での金の違法採掘・密輸(情勢不安定なスーダンを経由してアラブ首長国連邦に輸出)の拡大を問題視している。

[米国] 11月5日投開票が行われた大統領選挙で勝利して次期大統領当選を決めたトランプ前大統領は、大統領選挙の帰趨を決する「激戦州」7州のうち、ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン、ノースカロライナ、ジョージアの5州で勝利し、未確定のアリゾナ、ネバダ両州でもハリス副大統領に対して優位を維持しており、「激戦州」7州すべてを制覇する見通しである。同時に実施された米連邦議会選挙の結果、共和党は上下両院の多数党の立場を確保する見通しとなった。

[中国/EU/COP29] 11月11日からアゼルバイジャンで始まる気候変動サミット(COP29)の議題に対し、中国が直前になって「一方的な貿易制限措置」に関する議論を含めるよう要請したと、ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。この動きは欧州連合(EU)が予定している二つの法律(二酸化炭素排出や森林破壊など、気候変動に多大な影響を与える商品の購入に対して課徴金を課す)に向けられたものとみられている。COP29の議題は全会一致で合意される必要があり、議論項目の新たな提出は交渉を長期化させ、参加国の目標を記載する決議案策定のために議論する時間を圧縮する可能性がある。EUは、貿易問題はWTO年次総会で議論するべきと主張してきている。

[米国/イスラエル] 11月5日の米大統領選挙でトランプ前大統領の当選がほぼ確実になる中、イスラエルのネタニヤフ首相は世界の政治家の中でもいち早くトランプ大統領の当選に対して「史上最大のカムバック」と祝辞を送った。さらに6日には、ネタニヤフ首相はトランプ大統領との電話会談を実施し、イランの脅威とイスラエルの安全保障に関して協議した。第1期トランプ政権は、在イスラエル米国大使館をエルサレムに移転したり、ゴラン高原におけるイスラエルの主権を認めたりするなど、極めてイスラエル寄りの政策を取った。

[米国] 11月5日に実施された米国大統領選においてトランプ前大統領の勝利が決まった。同時に実施された連邦議会選では、集計作業が進行中だが、共和党が上院にて多数党に復帰することが明らかになり、100議席中、最大55議席を占める可能性がある。下院選の帰趨は不明だが、こちらも共和党の優勢が伝えられている。共和党が上院を押さえることによって、トランプ次期政権は閣僚・連邦裁判事などの人事を容易に進めることが可能になった。11州で実施された州知事選では、党派の交代はなかった。

[米国/ロシア] 11月6日、ロシアのペスコフ大統領報道官は、米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことに関し「米ロ関係は歴史的に最も悪い水準にあり、これ以上悪化させることは事実上不可能だ」と表明し、今後の関係の行方は次期米政権次第となると述べた。トランプ氏はこれまで何度もウクライナでの戦争を早期に終わらせると発言してきたが、具体的な解決策をこれから発表するかどうか不明である。

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