デイリー・アップデート

2024年11月29日 (金)

[チャド/フランス] 11月29日、アブデラマン・クラマラ外相はフランスとの防衛協力協定を破棄すると発表した。チャドを訪問していたフランスのジャン=ノエル・バロ外相との会談の数時間後に発表された。クラマラ外相は「ニジェールや他の国のようにフランスとの断絶を意味するものではない」と発言している。ジハード主義者らによるテロに悩むチャドは、近年周辺国とともにロシアとの軍事協力関係を深めている。他方、フランスは2023年2月にマクロン大統領が発表した「軍事パートナーシップの新モデル」に基づきフランス軍のアフリカ諸国への派遣削減や再編成を進めている。チャドから撤退すれば、フランス軍のアフリカにおける常設軍事基地はコートジボワール、セネガル、ガボン、ジブチの4か国となる。

[インドネシア] 国家栄養庁は、栄養失調と貧困に対処することを目的とした大規模な社会福祉プログラム「無料食事イニシアチブ」を12月から開始すると発表した。このプログラムは、子ども、妊婦、授乳中の母親を含む国民に毎日食事を提供するものである。12月は試験的に地域を限定し、アチェ州サバン、南パプア州メラウケなどを対象とする。本格的な開始は2025年1月からとなり、2027年までに8,290万人に提供することを目指している。このプログラムにより、多くの雇用が創出されることが期待されており、推定で150万人分の雇用が創出される見込みである。

[日本] 経済産業省によると、10月の鉱工業生産指数は前月比+3.0%と、2か月連続で増加した。全15業種中、生産用機械や自動車工業など11業種で上昇した。基調判断は「一進一退」に据え置かれた。先行きの製造工業生産予測指数は11月に▲2.2%、12月に▲0.5%と見込まれており、生産は年内力強さを欠いたまま推移しそうだ。10月の小売業販売額は+0.1%と、2か月ぶりにプラスになった。しかし、9月(▲2.2%)の減少分を回復できていない。この基調判断も「一進一退」だった。

[レバノン/イスラエル] 11月26日にイスラエルとレバノンのシーア派組織ヒズボラが停戦に合意し、翌27日早朝から停戦が開始したが、既にイスラエル軍がヒズボラの武器庫に対する空爆を実施するなど、双方が相手側の停戦合意違反を主張している。また、60日以内にイスラエル軍がレバノン南部から徐々に撤退することになっているが、レバノン南部から避難していた人々が続々と帰還を始め、いまだ撤退を完了していないイスラエル軍が民間人に対して発砲する事態が発生している。イスラエル軍はレバノン南部地域に対して夜間外出禁止令を出した。

[ブラジル] 11月18~19日の両日、ブラジル・リオデジャネイロで開催されたG20首脳会合が、共同宣言を採択して成功裏に閉幕した。2025年のG20議長国は南アフリカに引き継がれるが、G20議長国は4年連続でグローバル・サウスの主要国が就任することになった。具体的には、2022年はインドネシア、2023年はインド、2024年はブラジル、そして、2025年は南アフリカがG20議長国となり、国際社会におけるグローバル・サウスの存在感の高まりを反映している。

[ジョージア] 旧ソ連のジョージア(グルジア)では、2024年10月に議会選で勝利した与党「ジョージアの夢」が、2028年までEU加盟に向けた欧州との交渉を凍結すると決定した。11月28日、コバヒゼ首相が明らかにした。コバヒゼ首相は、「一部のヨーロッパの政治家や官僚」がジョージアの議会選挙に干渉していたと非難し、「2028年までにEUからの予算助成金の受け取りを拒否する」と同首相も述べた。発表を受け、首都トビリシでは大規模な抗議デモが発生し、治安部隊との衝突に発展した。

[ルーマニア] 11月24日に行われた大統領選挙の結果、極右で親ロシア派のジョルジェスク候補(無所属)が得票率22.94%で首位となった。2位には得票率19.18%で、ルーマニア救国同盟(中道右派)のラスコニ氏がつけた。決選投票が12月8日に予定されているが、11月28日に憲法裁判所が中央選挙管理委員会に対し、全ての投票の再検証と再集計を命じることを全会一致で命じた。

[中国/台湾] 台湾の頼清徳総統は11月30日から台湾が外国関係を維持している12か国のうち3か国(マーシャル諸島、ツバル、パラオ)を訪問する予定で、その間、米国領のハワイに2泊、グアムに1泊し、台湾人協会のメンバーやシンクタンクとの非公式会議にも出席することになっている。米国や台湾の安全保障担当者らは、中国が頼氏の外遊や米国立ち寄りを理由に、今後数日間のうちに台湾周辺で軍事演習を行う可能性が高いと予測している。ロイターは、台湾海峡の冬の気象条件から、演習は今年行われた2回の軍事演習より範囲が限定されるのではという安全保障当局者の見方を紹介している。

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