デイリー・アップデート

2024年11月18日 (月)

[メキシコ] 2025年度予算案が議会に提出された。2025年の財政赤字は3.9%と、2024年から2.0%の減少が見込まれる。国営石油会社ペメックスには、72億米ドルが充てられ、同社は2025年の社債償還が可能になる。 また、GDP成長率は2~3%と想定されており、この結果、2025年の債務対GDP比率は51.2%となり、2024年度とほぼ同水準となった。

[マレーシア] 11月15日、中央銀行は、第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比+5.3%だったと発表した。第2四半期の+5.9%から減速したものの、堅調な成長を維持した。支出別では、投資は建設や機械設備への支出の増加、家計支出は好調な労働市場や政策支援によって支えられた。また、世界的な半導体関連の需要の回復などの恩恵により輸出が伸びた一方、資本財や中間財の需要の増加により輸入も加速した。産業別では、製造業をはじめ多くのセクターが成長を支えた。特に製造業では輸出志向型の生産が好調だった。一方、鉱業では石油・ガス部門のメンテナンスにより生産が縮小し、これが成長を一部相殺する要因となった。今後については、食料品や燃料補助金の撤廃に伴うインフレ上昇が個人消費を抑制し、成長率の低下が予想される。

[ユーロ圏] 11月15日、欧州委員会は、「秋季経済見通し」を発表した。ユーロ圏経済成長率は、2024年に前年比+0.8%、2025年に同+1.3%、2026年に同+1.6%と予想された。2024年の予想は前回から横ばいとなり、2025年以降は、個人消費と設備投資の反発によって成長ペースが加速する見通しになった。物価上昇率が縮小する一方で、雇用環境は堅調で、賃金の継続的な上昇により実質賃金の回復が継続。その一方、物価高騰の記憶は鮮明なことから、追加的な所得を消費に回すことには消極的な点が懸念された。

[中国] 中国財政部と国家財務局は11月15日に共同声明を発表。12月1日付でアルミ・銅・バイオ燃料原料の輸出税還付を終了し、一部精製油・太陽光発電・電池・一部鉱物に対する輸出税の還付率を13%から9%に引き下げる。これを受けて同日、アルミ・大豆油先物、使用済み食用油(UCO)の価格や関連株は急伸した。中国の輸出税還付政策は中国製品の国際市場での影響力を高めるために導入されてきたが、貿易摩擦は強まっている。米国のトランプ次期政権下で予想される関税引き上げを前に世界市場への影響力を示し、貿易交渉のレバレッジに使う可能性があると指摘されている。

[米国] トランプ次期大統領は次期内務長官に化石燃料の主要選出州である中西部ノースダコタ州のバーガム知事を指名するとともに、第2期トランプ政権で新設される国家エネルギー会議議長にも同氏を起用することを発表した。また、次期エネルギー長官には、水圧破砕掘削法により化石燃料の開発を積極的に支持する一方、気候危機や再生可能エネルギー源への移行に対して否定的見解を公然と表明してきたLiberty Energy社のライトCEOを起用した。

[ウクライナ/ロシア] ロシア軍は11月17日、ウクライナの首都キーウを含む各地に大規模なミサイル攻撃を行った。この攻撃で少なくとも5人が死亡した。ゼレンスキー大統領は「ロシア軍は90機のドローンと120発のミサイルを使用した」と自身のSNSに投稿した。ウクライナのエネルギー相によると、各地の発電・送電施設が攻撃され、その結果、オデーサなどで停電が発生したもよう。

[EU] 11月4日から12日にかけて行われた欧州議会による第2次フォンデアライエン委員会の委員候補の公聴会で、政党グループ間の政治的駆け引きが行われ、11月27日に予定されている次期委員会の欧州議会による承認投票の結果が不透明な状況になった。

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