2024年11月22日 (金)
[タイ] 11月19日、ペートンタン首相が議長を務める経済刺激委員会が開催され、景気刺激策である現金給付の第2弾として、2025年1月末の旧正月までに高齢者約400万人を対象に1万バーツ(約289ドル)を支給することを決定した。さらに、他の受給資格者には、2025年4~6月にデジタルウォレットシステムが準備でき次第、支給される見通しである。第1弾では、9月末に低所得層や障害者1,450万人を対象に1万バーツを銀行振り込みで配布した。
[アルゼンチン] 既存の440億米ドルのIMFからの融資プログラムについて、追加融資を含む新た交渉が進んでいる。国際通貨基金(IMF)もミレイ政権の安定化プログラムを賞賛しており、現在の政策の継続を期待している。新たな資金は、資本規制解除に向けた第一歩になるとみられている。
[南アフリカ] 11月21日、準備銀行(SARB)は金融政策委員会(MPC)において政策金利を+8.0%から+7.75%に引き下げると決定した。前回9月のMPCでの25bpsの引き下げに続き、2会合連続の利下げとなった。レセチャ・クガニャゴSARB総裁は、直近10月のインフレ率が+2.8%と、中銀の目標レンジの下限となる+3.0%を下回る水準となり、短期的にはインフレは十分抑制されている点を利下げの理由とした。しかし、同氏は世界的に金利が再び上昇する可能性があり、リスクの見通しについては慎重なアプローチが必要との認識を示した。利下げの発表後、通貨ランドは対ドル18.0425ランドで取引され、前日の終値より+0.4%高くなった。
[重要鉱物] 中国は防衛やハイテク製造に不可欠な「軍民両用物資」について、広範なより厳しい輸出規制を課す準備を進めていると報じられている。規制対象として挙げられている原材料には、タングステン、マグネシウム、チタン、アルミニウム合金、グラファイトなどがあり、いずれの産業分野にとっても極めて重要なものだ。最近の研究によると、ガリウムとゲルマニウムの輸出が全面禁止されると、米国に34億ドルの費用がかかる可能性があると指摘されている。米国地質調査所(USGS)では、その影響についてリスク評価を行っている。こうした規制は他方で新たなサプライチェーンを生む可能性を高める。米国や欧州でも重要鉱物の供給源を探し続けており、その文脈において、日本の南鳥島沖の海底鉱床も注目されている。2025年度末までに大規模な採取を開始し、早期に商用化への道筋をつけたい、と関係者はコメントしている。もちろん、もっとも重要な費用面での課題は残されている。
[ドイツ] 2025年2月に行われる見込みの連邦議会選挙を前に、与党SPDの首相候補に関する議論が続いている。世論調査による満足度が低迷しているショルツ首相に対し、ピストリウス国防相への支持が高いが、ショルツ首相は11月19日のインタビューで、自身をSPD首相候補として選挙に臨むと発言。ピストリウス国防相もショルツ首相が候補として適任という見解を発表した。
[イスラエル] 11月21日、国際刑事裁判所(ICC)は、イスラエルのネタニヤフ首相と今月初めに解任されたガラント前国防相、そしてハマスの軍事部門カッサーム旅団のデイフ司令官(7月にイスラエルが殺害したと発表)に対して、戦争犯罪などの理由で逮捕状を発行した。イスラエル首相官邸は「反ユダヤ主義的決定」であり、「嫌悪感をもって拒否する」と声明を発表。これにより、ICCに加盟する124の国や地域を訪問した際に3人は身柄を拘束される可能性がある。米国や中国、ロシア、イスラエルなどはICCに加盟していない。
[米国] 11月21日、トランプ次期大統領により次期司法長官に指名されたゲイツ前下院議員は、上院での指名承認が困難と判断して同指名を辞退した。ゲイツ氏は自らのSNS上にトランプ政権の司法省は大統領就任第1日目に配置、準備されていなければならないと辞退理由を説明した。トランプ氏はゲイツ氏に代わる次期司法長官に、元フロリダ州司法長官のボンディ氏を指名した。同氏もトランプ氏に忠誠を尽くしてきた人物として知られている。
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