2024年11月11日 (月)
[日本] 財務省「国際収支統計」によると、2024年度上半期の経常収支は15兆8,248億円の黒字だった。経常黒字は前年同期比+12.3%と増加、年度半期ベースで過去最高を更新した。内訳をみると、貿易赤字(2兆4,148億円)が拡大した一方で、サービス収支(▲1兆9,748億円)と第二次所得収支(▲1兆9,085億円)は赤字を継続させたものの、赤字額を縮小させた。第一次所得収支(22兆1,229億円)の黒字額は+13.3%と増加した。
[アイルランド] アイルランド下院で連立与党を構成する統一アイルランド党は、アップルへの課税により政府が得る収入の一部を住宅購入支援制度の延長と拡大に充てることをコミットした。世界的に高齢化や人口減といった話題が目立つなかで、アイルランドでは当面人口増加が見込まれていることから、住宅不足が懸念されている。同党は140億ユーロの臨時収入のうち100億ユーロを住宅計画に充てるとしており、その中には住宅購入を支援するHTB制度を2030年まで延長することや1件当たりの控除額を3万ユーロから4万ユーロに増額することなどが含まれている。党としては今後2030年までに30万戸以上の住宅開発に400億ユーロを投じるとしている。
[中国] 中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会が11月4~8日に開催され、総額10兆元(約210兆円)を地方政府の財務リスク軽減に充当する方針を打ち出した。地方政府の負債限度を6兆元増額し、4兆元の地方政府特別債券を新たに発行する。しかし、同措置は投資から消費主導の経済への転換を促す構造改革には踏み込んでおらず、家計の将来への不安が払拭されず消費拡大につながらないとの見方が多い。消費が低調なため、インフレが低水準になっている。中国国家統計局が11月9日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で+0.3%となり、9月から0.1ポイント減速している。また、10月の工業品卸売物価指数(PPI)も、前年同月比で▲2.9%となり、9月から0.1ポイント下落幅が拡大し、マイナスは25カ月連続となっている。
[台湾/中国/米国] 11月9日、米商務省は半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)に対し、中国の企業に対する7ナノメートル以下の最先端の半導体の出荷停止を命じた。11月11日から実施される。米当局の発表より前に、TSMCが中国メーカーに対して同内容を事前に通告したと複数のメディアが報じていた。TSMCの売上高全体への影響は最小限にとどまる見通しという。10月末には、米当局の制裁によりTSMC製の半導体は使えないはずのHuawei製品に、同社半導体が使用されていることが報じられ問題となっていた。
[サウジアラビア/イラン] 11月10日、サウジアラビアのルワイリー軍参謀総長率いる軍の使節団がテヘランを訪問し、防衛外交の推進と二国間協力の拡大に関して、イラン側のカウンターパートとの協議を実施した。イラン側は、来年の海軍軍事演習にサウジ海軍の参加(もしくはオブザーバー参加)を求めたとのこと。また、サウジのムハンマド皇太子兼首相とイランのペゼシュキアン大統領との電話会談も実施された。両国は長年地域でライバル関係にあるが、2023年3月に中国の仲介で国交を回復し、以降関係改善を進めている。
[米国] 11月5日に投開票が行われた米国大統領選挙でトランプ前大統領が勝利したが、未確定であった南西部アリゾナ州についても9日にトランプ氏の勝利が確定し、「激戦州」7州すべてをトランプ氏が制覇するとともに、獲得大統領選挙人数は勝利に必要な過半数270人を大きく上回る312人に達した(ハリス氏226人)。一般投票獲得数についてもトランプ氏は7455万票余り(得票率50.4%)に達しており、ハリス氏の7088万票(同47.9%)を367万票上回る力強い勝利となった。
[米国/ロシア] トランプ次期米大統領は11月7日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争をエスカレートさせないようアドバイスした。また、欧州における米軍の大規模なプレゼンスをプーチン氏にあらためて指摘した。両人はその他、ヨーロッパの平和について話し合い、ウクライナ戦争の早期終結に向けて今後も協議を続ける意向を示した。
[ドイツ] 11月6日に3党連立政権が事実上崩壊したことから、ショルツ首相は2025年1月15日に議会で信任投票を行い、3月末頃の解散総選挙の見通しに言及していたが、11月10日のTV局とのインタビューで早期の信任投票実施に言及した。ただし、野党側の法案支持を条件としており、不安定な情勢が続いている。
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