デイリー・アップデート

2025年3月25日 (火)

[ブラジル] 議会は2025年度予算を承認した。通常、予算案は前年末までに承認されるが、ルーラ政権と議会の対立が、承認を遅らせていた。予算ではプライマリーバランスの黒字を150億レアル(26億6,000万ドル)に上方修正しているが、600億レアルを超える議会の裁量的歳出枠を認めており、プライマリーバランスの赤字をゼロ(GDPの0.25%のバッファーあり)とする財政目標の達成は、依然として不確実性が高い。

[ケニア] 3月24日、S&Pグローバルは、国際通貨基金(IMF)によるケニア向け財政支援プログラムが中止されたことにより、同国向けの世界銀行やアラブ首長国連邦(UAE)からの融資に遅れが生じる可能性があるとの声明を発した。ブルームバーグ紙はIMFが求める財政再建の目標をケニア政府が達成しなかったことによりプログラムが中止されたと報じたが、ジョン・ムバディ財相はこれを否定。IMFに対して新しいプログラムの要請を行ったと述べた。2月に財務省が発表した2025年度の財政赤字は対GDP比で4.9%となり、2024年11月にIMFが予測した4.3%の赤字からさらに悪化する見込み。

[中国] 3月21日に発表された中国国家統計局のデータによれば、2月の都市部における若年層(16~24歳、学生を除く)の失業率は16.9%と、1月の16.1%から上昇し、2か月連続で上昇となった。また、25~29歳の失業率も6.9%から7.3%へ、30~59歳の層でも4.0%から4.3%へと悪化している。なお、これらの失業率は職探しを断念した者や農村部の労働状況を反映していない。政府はこうした失業問題の深刻化を受け、米国からの関税圧力が強まる中で内需喚起を重視しつつ、財政・金融両面でより強力な経済対策を講じる方針を示している。

[日本] 3月25日、日本銀行は1月の金融政策決定会合(1月23~24日)の議事要旨を公表した。1月会合では0.5%程度への利上げを決定した。大方の委員は、これまで「展望レポート」で示してきた見通しにおおむね沿って推移していると評価した。個人消費は、緩やかな増加基調にあるという認識で一致、生鮮食品などの食料品価格の上昇や家計マインドへの悪影響などが懸念された。また、物価については、原材料価格や人件費、物流費などの価格転嫁も見られるとの声もあった。

[バングラデシュ(バングラ)/米国] 3月17日、米国のガバード国家情報長官がインドを訪問中、同国のメディアのインタビューにおいて、バングラの状況について「ヒンドゥー教徒、仏教徒、キリスト教徒など宗教的少数派への長年にわたる不幸な迫害や殺害はトランプ政権の懸念事項だ」と語った。イスラム過激派によるテロはイスラムの思想に根差していると述べ、バングラとの結びつきを示唆するような言動に及んだ。バングラの暫定政権は、同長官の発言は根拠がないとして反発した。

[米国/イエメン] 3月24日付のThe Atlantic誌の記事で、3月15日の米軍のイエメン攻撃に関してトランプ政権高官が協議するオンラインチャットグループに、誤って同誌の記者が追加されたため、米軍の軍事作戦に関する詳細を同誌記者が事前に知るに至った経緯が紹介された。トランプ大統領は記者の質問に対して「その件については知らない」と答えたが、米国家安全保障会議はこのような漏洩があったことを認めており、加えて政権高官が民間のチャットアプリで軍の機密情報をやり取りしたことなどが問題視されている。

[デンマーク] デンマーク議会のヤルロフ国防委員長は防衛力強化のために米国製F35を選択したことを後悔していると述べた。4月1日以降、現在のF16からF35へ徐々にシフトさせていく計画となっているが、高コストでデンマークの防衛費の重荷となっているという。しかし、財政面ではなく、グリーンランドを巡る米国との緊張感の高まりが後悔の原因とみられる。トランプ大統領はグリーンランドについて武力行使を否定していない現状で、もし米国が技術的なサポートやスペアパーツの供給を停止することでデンマーク保有のF-35を無力化できるという懸念が浮上してきている。その代替として、ユーロファイタータイフーン、ダッソーラファール、サーブグリペンなど欧州製戦闘機の購入を検討しているとされ、防衛産業でも欧州への回帰が生じる可能性も浮上してくる。

[中国] 3月24日、李強首相は2021年に施行された「反外国制裁法」の実施を強化するための規定に署名した。同規定は22条から成り、反外国制裁法の具体的な対抗措置や手続きを定めている。同法に基づき差押えや凍結の対象となる財産に知的財産権も含まれることが明記されたほか、禁止・制限される「(中国に対する差別的な)取引、協力等に関する活動」に、教育や文化、観光などの分野も含まれた。他方で、同法の対象となるような活動を行った場合でも中国政府の同意があれば認められるという規定もあり、ルビオ米国務長官との外交交渉や、EU・中国包括的投資協定の復活に道を開く可能性がある。

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