デイリー・アップデート

2025年3月7日 (金)

[南スーダン] 3月5~6日にかけて、最大野党SPLM-IOを率いるリエク・マシャール第一副大統領の側近らが相次いで治安当局に拘束された。当局はその理由についてマシャール氏を支援する武装組織「ホワイト・アーミー」が政府の軍事施設を攻撃したためとしている。2011年にスーダンから独立した南スーダンは、独立以降大統領職を務めているサルヴァ・キール大統領派とマシャール氏派との間の闘争により大規模な内戦が発生。2018年に2度目の和平合意が行われたが、隣国スーダンでの内戦長期化の影響もあり治安の回復が遅れている。他方で、キール大統領の健康不安説が噂されている。キール氏は2月の内閣改造で同氏に近いボル・メル氏を、5人の副大統領のうちの一人として昇進させたことから、2026年の総選挙に向けマシャール陣営を一掃しておきたいとの見方がある。

[北米] 3月6日、トランプ政権は、メキシコ、カナダからの輸入品に対して賦課している25%追加関税を一部免除することを明らかにした。米墨加協定(USMCA)の下、対米輸出の際に関税の免除が認められている製品については、4月2日まで、追加関税の対象外となる。トランプ政権は、5日に、自動車、自動車部品に対する免除措置を公表していたが、除外対象をさらに拡大する形となった。

[マレーシア] 3月6日、中央銀行は政策金利(オーバーナイト・ポリシー・レート、OPR)を3.0%に据え置くことを決定した。政策金利は2023年5月に0.25pt引き上げられて以降、据え置きになっている。中央銀行は国内経済について、成長スピードはやや鈍化しているものの、引き続き安定した状態だと評価している。さらに、国内の需要に支えられて、2025年の経済活動も堅調に推移すると予測している。一方、インフレに関しては注意が必要としている。1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+1.7%だったが、政府が石油への補助金を削減するため、2025年後半にはCPIが3%以上になる可能性が高い。

[ユーロ圏] 欧州中央銀行(ECB)は6日に理事会を開催し、政策金利を0.25%引き下げることを決定した。中銀預金金利は2.5%、主要政策金利は2.65%、限界貸出金利は2.9%になった。中銀預金金利は2024年6月以降、合計1.5%引き下げられた。金融政策はより制約的でなくなりつつあるとして、引き続きデータ依存で会合ごとのアプローチをとる姿勢を示した。ラガルドECB総裁は、「より漸進的なアプローチに移行している」と指摘した。

[EU/ガス] 欧州の天然ガス価格指標であるオランダTTF先物が今年(2025年)初めて40ユーロ/MWh(約12.7ドル/mmbtu)を下回ってきた。産業競争力維持が喫緊の課題となる中、米国とロシアの接近で、EUの防衛力強化の優先度も高まり、ガス関連政策見直しの議論が浮上している。EUが2022年に設定した2027年までのロシア産ガス脱却計画のロードマップの発表は無期限延期。EUが定めるガス貯蔵義務は2027年まで2年延長するが、負担低減のため数か月ごとの中間目標緩和の要望が増加。ウクライナ経由のロシア産ガス供給を失い不満を抱えるスロバキアはEUに、ウクライナに自国領土を通るパイプライン再開を求めるよう訴え、3月6日のEU臨時首脳会議の声明草案には、「ガス輸送問題の実行可能な解決策を見出す努力」の文言が加えられた。

[アルゼンチン/米国] トランプ米大統領は、鉄鋼とアルミニウムへの関税を3月12日には予定通り開始するとみられ、アルゼンチンとの貿易にも大きな影響が想定される。農産物にも今後追加関税が課せられる可能性があり、米国との自由貿易協定締結を目指すミレイ大統領にとっても打撃となる。アルゼンチンの鉄鋼とアルミニウムの米国への輸出は、年間貿易額で約6億米ドルに相当し、米国との貿易黒字は2億2,800万米ドルにのぼっている。

[オーストラリア] 2024年10~12月期の実質GDP成長率は前期比+0.6%、前年同期比+1.3%だった。前期(前期比+0.3%、前年同期比+0.8%)から加速し、前期比では2年ぶりの高水準となった。景気は底入れし、インフレも沈静化しつつある。中銀は2月に4年3か月ぶりに利下げに踏み切った。経済は緩やかな回復を続けると予想される。総選挙が5月17日までに行われる予定。アルバニージー首相の支持率は低迷しており、野党優勢との見方が有力。

[シリア] 3月6日、地中海沿岸部のラタキア県ジャブレにおいて、シリア政権の治安部隊と旧アサド政権支持派の武装集団との武力衝突が発生し、少なくとも15人の治安部隊員が殺害された。この衝突で、アサド支持派の戦闘員28人が殺害されたとの報道もある。シリアの地中海沿岸部は、アサド前大統領と同じアラウィー派が多く住みロシア軍基地も存在する地域。攻撃の直後に、アサド政権時代の軍司令官が、シリア新政府に対抗すべく「沿岸盾連帯」と呼ばれる抵抗グループが結成されたと語るビデオを公開した。

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