デイリー・アップデート

2025年3月17日 (月)

[米国/南アフリカ] 3月15日、マルコ・ルビオ米国務長官は自身のSNS・X上で、「エブラヒム・ラスール駐米南アフリカ大使は人種問題をあおる政治家だ。彼は米国にとってもはや歓迎されない」と投稿した。第二期トランプ政権発足以降、トランプ大統領やルビオ長官は、「南ア政府が白人の人権を侵害している」と非難を強め、二国間援助の停止を発表しているが、今回駐米大使の国外追放という強硬措置が取られた形だ。今回のルビオ氏の発言は、ラスール大使が、米国の白人有権者が5割を切ろうとする中で、トランプ氏は米国の白人の被害者意識を演出しようしている旨の発言をセミナーで行ったことへの報復とみられる。

[中南米] 中南米主要国の労働市場の多くが、2024年に健全なパフォーマンスを示している。失業率は、チリを除き、パンデミック前の水準かそれ以下となっている。一方で、実質賃金は昨年の景気が後退したアルゼンチンを除けば、プラスを維持している。しかし、最低賃金政策など各国の状況は異なっており、労働市場がひっ迫していても、必ずしも経済状況が好調な訳ではない。

[米国] 米国で販売される生鮮農産物の輸入比率は増加しており、米国農務省のデータによると、2023年は果物の約60%、野菜の約40%を輸入している。野菜のうち75%は中国、メキシコ、カナダから輸入している。マンゴー、ライム、アボカドやラズベリー、きゅうりやトマトなどは主にメキシコから。冷凍された魚は中国、カナダからはロブスターや豚肉などが輸入されている。価格が上昇基調なところに関税が加わる。大規模小売りはコストを吸収できるかもしれないが、小規模商店でそれは難しい。値上がりの影響を抑えたい消費者は代替を探すことになりそうだ。新鮮な果物の代わりに缶詰が注目されたり、輸入野菜の価格が上がることで相対的に地元野菜に注目が集まったりするだろうとみられている。

[米国] ミシガン大学の「消費者調査」によると、3月の消費者信頼感指数は57.9となり、2022年11月以来の低水準になった。前月から▲6.8ptと、消費者マインドは大幅に低下した。関税引き上げなどから消費者は物価上昇を懸念しており、それが消費者マインドの悪化として表れた。また、1年先の期待インフレ率は4.9%(+0.6pt)と2022年以来の高水準になった。5年先は3.9%(+0.4pt)へと上昇し、1993年2月以来、32年ぶりの高水準だった。先行きの物価上昇への懸念が募っている。

[米国] 3月14日、米上院は、つなぎ予算(CR)案を可決し、連邦政府閉鎖の事態は回避された。11日に下院を通過した同予算案を上院が可決するためには、多数党である共和党のみならず、野党・民主党からの賛成票が必要であるため、その帰趨(きすう)が注視されていた。民主党からは10票が賛成に回り、トランプ大統領による署名を経て、成立した。これによって、基本的には前年度水準の支出が年度末(9月末)まで継続される。今後、議会共和党は、自党だけで減税拡充などを実現するべく、年末までに党内調整を進める。

[ロシア/米国] 米国によるロシア制裁が数週間以内に緩和されるとの憶測が飛び交う中、投資家らはロシア政府に関連する資産を買いに走っている。ヘッジファンドやブローカーたちは、ロシアの資産の取引方法を検討しており、制裁を緩和すれば、ロシア企業の債券や通貨ルーブルなどが急激に上昇する可能性があるととらえている。

[欧州/ロシア] スターマー首相が主導する形で3月15日に開催された29の国と機関のトップらによるオンライン会合で、対ウクライナ軍事支援を継続し、ロシアへの圧力強化、プーチンの軍事力弱体化によって、プーチンを交渉のテーブルにつかせることで合意した。有志連合に関しても、作戦段階に移行することを発表。3月20日に軍事会議が開催される予定。

[EU/中国] 3月16日付のフィナンシャルタイムズ紙は、EUは、中国とEUの外交関係樹立50周年を記念する首脳会談に習近平国家主席を招待したものの、中国側は習氏ではなく李強首相が参加する意向を伝えてきたと報じている。EU・中国の首脳会談は、ブリュッセルと北京で交互に開催されており、北京で開催する場合は国家主席が、ブリュッセルで開催する場合は首相が参加するのが慣例ではあるが、2025年は50周年という節目であり、不確実性が増す国際情勢の中での中欧関係の重要性に鑑みて、EUは習氏を招待したとしている。

[米国/イエメン] 3月15日夜から16日早朝にかけて、米軍はイエメンのフーシ派支配地域の軍事拠点などに対して計47回以上の空爆を実施した。16日夜にもホデイダ港などにおける空爆を実施し、2日間の攻撃で女性や子供を含む少なくとも53人が死亡し、約100人が負傷した。米軍は、フーシ派の能力を大幅に低下させることが目的とし、攻撃が数日間にわたる可能性を示唆している。フーシ派は11日に、イスラエルがガザへの人道支援物資の搬入を阻止していることを理由に、紅海を航行する船舶に対する攻撃を再開すると発表していた。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

21人が「いいね!」と言っています。
<  2025年3月  
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31