デイリー・アップデート

2025年3月18日 (火)

[コンゴ民主共和国(DRC)/ルワンダ/EU] 3月17日、DRC東部を実効支配するルワンダ系反政府勢力「M23」は3月18日に予定されていたアンゴラでのDRC政府との直接対話をキャンセルしたと報じられている。これは3月17日にEUがM23の主要メンバー向けの経済制裁を発表したことによるもの。M23を支援するルワンダは、EUがDRC寄りだと非難しており、同日ルワンダ政府はEUの経済制裁の議論を主導してきた旧宗主国のベルギーとの国交断絶も発表した。EUによる経済制裁は2月の外相会議でも決議が行われたが、ルクセンブルクのベッテル外相が「当事者間の交渉中に制裁を課すべきではない」と反対していた。今回の外相会合にベッテル外相は欠席しており、全会一致で可決された。

[EU] 欧州委員会は3月19日に「鉄鋼・金属行動計画」を公表予定。先に発表した「クリーン産業ディール」の一環で、エネルギー多消費産業のエネルギーコスト低減策・炭素国境調整(CBAM)修正・セーフガード措置が盛り込まれる見通し。鉄鋼には既にセーフガード措置が導入されているが、アルミについても輸入制限を視野にセーフガード調査を実施。中国が発端となった世界的な過剰生産で欧州のアルミ業界は既にシェアを失ったが、トランプ関税でメタルが欧州に転用されると状況がさらに悪化するとの危機感がある。スクラップ輸出関税導入も検討するもよう。

[中国] 3月17日、国家統計局が発表した1~2月の主要経済指標によると、中国経済は年初に予想を上回る好調なスタートを切った。財政出動による景気刺激策が主因とみられる。小売売上高は前年同期比+4.0%の8兆3,731億元(約172兆円)となり、2期連続で伸びが拡大した。消費財の買い替え補助策が寄与した。鉱工業生産は+5.9%と堅調だったものの、12月の+6.2%からは鈍化した。そのうち、自動車製造業は+12.0%、新エネルギー車(NEV)は+47.7%と高い伸びを示した。固定資産投資(農村を除く)は前年同期比+4.1%の5兆2,619億元となり、2024年通年の+3.2%から加速した。不動産開発投資は▲9.8%の1兆720億元となり、減少率は2024年通年から0.8ポイント縮小した。2月の全国都市部調査失業率は5.4%となり、前月から+0.2ポイント上昇したものの、年間目標の5.5%以内に収まった。

[米国] 商務省によると、2月の小売売上高は前月比+0.2%と、市場予想(+0.6%)を下回った。年末商戦や関税引き上げ前の駆け込み需要などの反動から5か月ぶりに減少に転じた1月(▲1.2%)から、プラスに戻った。自動車・ガソリン・建材などを除く小売売上高は+1.0%と、1月(▲1.0%)からプラスに転じ、市場予想(+0.3%)を上回った。飲食店(▲1.5%)が減少するなど、足元の小売売上高には減速の兆しが見えるものの、総じて見ればまだ底堅さを保っている。

[ベラルーシ] 3月17日、ベラルーシの裁判所が、同国で拘束されていた日本人の中西雅敏さんに対し、スパイ活動罪で懲役7年の判決を言い渡した。ベラルーシ治安部隊は2024年9月、国境地域や軍事施設を監視していたとして日本人男性の身柄を拘束したと発表していた。

[インド] 3月17日、モディ首相はトランプ米大統領が所有するソーシャルメディア・プラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」でアカウントを開設した。モディ首相は、トランプ大統領のアメリカ・ファースト主義は自身の信条とも一致すると述べ、同大統領との信頼関係を強調した。最初の投稿は、トランプ政権第1期目にトランプ大統領が訪印した際に撮られた両首脳がともに映っている写真だった。

[シリア] 3月13日、シリアのシャラア暫定大統領は、5年間の移行期間を規定する憲法宣言に署名した。アサド旧政権下の憲法は、既にシャラア氏によって廃止されている。宣言では、国家元首はイスラム教徒でなければならないとされ、イスラム法が立法の主要な源泉として規定されている。旧政権下の議会も既に解散されており、新たな「人民議会」は、3分の2が大統領によって選出した委員会によって選出され、3分の1が大統領自身によって任命されることになる。憲法裁判所の判事を任命する権限も大統領にあるとされる。

[米国/イラン] 3月17日、トランプ大統領はSNS発信を通じて、今後、イエメンのフーシ派による攻撃は、イランの攻撃であると認識し、イランの責任を厳しく問うと述べた。トランプ政権は、15日からフーシ派に対して軍事攻撃を加えており、連日の空爆などによってフーシ派幹部を殺害したと発表している。ウォルツ大統領補佐官は、米軍によるフーシ派攻撃はイランに対するメッセージであり、イエメンにおけるイラン関連施設等への攻撃も今後はあり得ると示唆。3月にトランプ大統領は、イランのハメネイ最高指導者に対して核交渉を求める内容の書簡を送っている。

[エルサルバドル/米国] トランプ大統領は、ベネズエラのギャング「トレン・デ・アラグア」とみなされる238人をエルサルバドルに強制送致した。アラグアの列車という意味のこの集団はアラグア州の刑務所で結成され、出所後に勢力を拡大したとみられている。トランプ大統領はギャングが米国への侵略を試みていると主張し、1798年の「外国の敵に関する法律」に基づいて今回の強制送致が実施された。彼らはエルサルバドルのテロ収容センター(CECOT)に収容されるが、管理が非常に厳しいことで知られており、1日のうち30分だけ運動と宗教活動が認められているだけだという。この送致は連邦裁判所の一時差し止め命令にもかかわらず行われている。また、送致された人物がギャングメンバーなのかなどの確認も不十分、戦時法の適用をするなど手続きも不十分と批判されている。なお、エルサルバドル政府とはこの収容について600万ドルを支払う協定が締結されている。

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