デイリー・アップデート

2025年3月4日 (火)

[メキシコ] 2024年第4四半期の外国直接投資(FDI)は6億7,600万米ドルにとどまり、1985年以降で最低額となった。また2024年の年間でも、利益の再投資や同一グループ企業内での移動などを除く新規FDIは2024年には32億米ドルにとどまり、1990年以降で最低水準となった。米国との関係や、司法制度改革などの不透明性の高まりが投資の減少につながっている。

[ガボン] 3月3日、オリギ・ンゲマ暫定大統領は、4月12日に実施される大統領選への立候補を表明した。同氏は2023年8月のクーデターを主導し、親子2代にわたり56年間政権に居座ったボンゴ家を失脚させた後、民政移管を約束し、暫定軍事政権を発足させた。2024年11月の国民投票で軍人の立候補資格が認められたことにより、ンゲマ氏の大統領選出馬が噂されていたが、その通りとなった形だ。アリ・ボンゴ前大統領の親衛隊長を務めていたンゲマ氏はボンゴ家と深いつながりがある。2020年には米国のNGO「組織犯罪腐敗報道プロジェクト(OCCRP)」から、ボンゴ家とンゲマ氏が公金を横領して米国の不動産を購入したとの疑いをかけられている。

[ユーロ圏] EU統計局(Eurostat)によると、2月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.4%となり、1月(+2.5%)から上昇率を縮小させた。縮小は5か月ぶり。内訳を見ると、3か月連続でプラスだったエネルギーが+0.2%まで縮小し、サービスも+3.7%と1月(+3.9%)から縮小、2か月連続で4%を下回った。ただし、物価の基調を表す食料品とエネルギーを除く指数は+2.6%となり、1月(+2.7%)から小幅鈍化とにとどまった。

[米国] 農務省は2月末の年次展望会議で、2025会計年度の農産物貿易見通しを輸入2,195億ドル(前年比+6.5%)、輸出1,705億ドル(▲2.2%)と予想。貿易赤字は過去最高の490億ドルを見込む。これで3年連続の赤字となり、第1次トランプ政権下の2019-20年の小幅な赤字を除くと、米国農産物の貿易赤字は1960年以前に遡るが、前年度の318億ドルから赤字は大きく拡大する。輸入増加の大半はアボカド・オレンジジュース・コーヒーやカカオ等「horticultural products」で、砂糖・鶏卵も輸入額を押し上げる。輸出減少は油糧種子と穀物で、競合激化や単価下落も影響。主要輸出先はカナダ・メキシコ・中国・EU。トランプ大統領は自身のSNSで「4月2日から外国産品に関税を課すので農家は国内消費用に増産を」と発信したが、人口増と多様化で消費される食品の量も種類も増えている。

[インド] 2月28日、モディ首相は、訪印中の欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン欧州委員長との会談で、年内にEUとの自由貿易協定(FTA)を締結することで合意した。トランプ米政権が次々と関税強化措置を打ち出す中、EUとのFTAが実現すれば、双方の貿易の多角化・拡大が期待される。23/24年度におけるインドの輸出先として、EUは米国(全輸出に占める割合17.7%)とほぼ同水準の17.4%(オランダ5.1%など)を占め、主要な輸出先となっている。

[米国] 米国でも最も景気の良いと言われているテキサス州だが、いま子供たちの間で「はしか」が流行している。報道によると、テキサス州西部では感染した子供1人が亡くなっており、9つの郡では124人の感染が確認され、うち18人は入院が必要な深刻な状態となっていると報じられている。感染力の強いこの病気は米国では2000年までに根絶されたと考えられていた。しかし、パンデミック後のワクチンに対する懐疑的な意見が増えたことで未接種の子供が増加していることが影響しているとの指摘もある。また、ニューメキシコ州、ペンシルベニア州などでも感染が確認されており、他地域へ拡大していると見られている。子供を病気にさらす「はしかパーティー」を開催し、免疫獲得を目指す親もいるとされるが、当局は最善で安全な方法ではないと警告を続けている。保健福祉長官のRFKジュニアはワクチンに懐疑的と言われているが、承認公聴会では麻疹ワクチンとポリオワクチンの接種は支持しており、3月2日に改めてワクチン接種を支持し、終息させることが最優先事項と述べている。

[米国] 3月3日、トランプ大統領は、カナダとメキシコからの輸入品に対する追加関税を4日より賦課する、と発言した。米国に流入する不法越境者、違法薬物を問題視し、トランプ政権は2月4日からカナダとメキシコの輸入品に25%の追加関税(カナダ産エネルギーに対しては10%)を課す旨発表していたところ、暫定合意に基づき、実施が30日間延期されていた。1か月前は、自動車産業への除外措置をトランプ政権は約束していた模様だが、今次の関税賦課に際しては、政権関係者から同様の発言はない。また、中国からの輸入品に対する、さらなる10%関税も4日より実施される。

[オーストリア] 2024年9月の議会選挙後、2025年1月と2月に連立交渉が決裂したことから政情不安が高まっていたが、2月27日に国民党、社会民主党、NEOSの3党が政策に関する合意を発表。3月2日に行われたNEOS党員による承認投票で94%以上が賛成票を投じたことから、3月3日に国民党のシュトッカー党首を首相とする新政権が発足した。

[EU/中国] 3月3日、欧州検察庁(EPPO)は年次報告書(2024年版)を発表し、付加価値税(VAT)詐欺がEUの財政にとって最大の犯罪損失源になっていると指摘した。2024年に行われた2,666件の調査の結果、犯罪行為によってEUは248億ユーロの損失を被ったと推定され、その53%にあたる約131億5,000万ユーロはVATの不正な脱税によるものだった。電子部品や自動車部品などがVATの不正行為により輸入されている。また、EUでは150ユーロ以下の小包は関税が免除されているが、2024年には低価格商品46億点がEUに輸入され(91%が中国から)、この免税措置を利用した不正が増えている。

[インドネシア] 2月28日、プラボウォ政権は政府系投資機関「ダヤ・アナガタ・ヌサンタラ(ダナンタラ)」を発足させた。国営石油会社プルタミナ、国営電力公社PLN、国営通信テルコム・インドネシア、国営鉱物資源会社MIND ID、国営銀行3行(マンディリ銀行、BRI、BNI)の7社が傘下に入る。ロサン投資・下流化相がCEO、ドニー国営企業副大臣がCOO、トヒル国営企業相が監査役会会長を務める。国営企業の配当金や資産を原資として国家戦略プロジェクトへの投資を進める方針であり、初年度は200億ドル規模の投資を計画している。

[ロシア/日本] 3月3日、ロシア外務省は、岩屋毅外相や中込正志駐ウクライナ大使ら日本の官民計9人について、ロシアへの入国を無期限で禁止すると発表した。2025年1月、ウクライナ侵略に関連して日本が、ロシアに科した制裁への報復だとしている。

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