デイリー・アップデート

2025年3月13日 (木)

[南アフリカ] 3月12日、イノック・ゴドングワナ財相は2025/26年度(25年4月~26年3月)予算案を発表した。当初予算案は2月23日に発表される予定だったが、同氏が検討していた2%の付加価値税(VAT)増税に関して連立政権内で意見が折り合わず、3週間遅れでの発表となった。ゴドングワナ財相はVATについて、2025年に+0.5%、2026年に+0.5%引き上げ、計1%の増税を提案した。この増税を受けて25/26年度の財政赤字はGDP比で4.6%と、24/25年度の同5.0%から改善するとの見通しを示した。しかし、連立政権内第2党の「民主同盟(DA)」は増税に反対しており、この予算案が4月の年度初めまでに国会で賛成多数で可決されるかに注目が集まっている。

[ブラジル] 2月のインフレ率は、1月の前月比+0.16%から同+1.31%に加速した。前年比では、前月の+4.56%から+5.06%に上昇している。インフレ率の加速は1月の電気料金の一時的な割引の反動であり、見た目ほどの上昇ではないが、サービスインフレの強さや、食品インフレの高止まりがみられる。ブラジルレアルは、2023年12月の安値から8%ほど戻してはいるものの、2024年半ばよりはまだ7%ほど安く、今後も通貨安の輸入価格転嫁が進めばインフレ率の上振れも懸念される。

[米国] 労働省によると、2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.8%となった。上昇率は1月(+3.0%)や市場予想(+2.9%)を下回り、5か月ぶりに縮小した。引き続き鶏卵などをはじめ食品(+2.6%)の上昇が目立った。また、サービス(+4.1%)が物価のけん引役になっている。食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比+3.1%となり、15か月連続で3%台を維持、物価の基調の高止まりを示している。市場では、追加利下げが6月に実施されるという見方が広がっている。

[フィリピン] 3月10日に中央銀行が発表したデータによると、2024年の海外直接投資(FDI)純流入額は前年同期比+0.06%の89億3,000万ドルとなり、3年ぶりに前年を上回ったものの、伸びはわずかだった。2021年4月に施行された企業復興税優遇法(CREATE)は、外資誘致を目的として法人税率の引き下げなどを実施した。国内市場向け企業にとっては有利な仕組みだったが、輸出型製造業に対する優遇措置は縮小されるものであった。その結果、一部の企業の税負担は増加しており、投資を躊躇(ちゅうちょ)する企業の姿勢も見られるという。

[中国/米国] 中国商務部と複数の関連当局が3月11日にウォルマート社の幹部を呼び出し、米国の関税引き上げによるコストの増額分を中国のサプライヤーに負担するよう求めたとの報告について調査した、と複数のメディアが報じている。中国当局は、関税によるコスト増を中国のサプライヤーに負担するよう求めることは認めないとして、同社がそのような行為を続ける場合には、中国政府はさらなる措置を取る可能性があると警告したとしている。

[米国] 米環境保護庁(EPA)は、2009年に発表した「温室効果ガスが公衆衛生に危険を及ぼす」という見解を正式に再検討する。この見解は、米国の気候変動対策の基盤となる重要な決定で、温室効果ガスが地球温暖化を引き起こし、それが公衆衛生や福祉に悪影響を及ぼすと結論付けていた。ゼルディンEPA長官は「Ends the 'Green New Deal'」と題する論評をウォールストリートジャーナルに寄せているが、その中では絶滅危惧種の発見や炭素の社会的コストといった経済のあらゆるセクターの活動を制限してきた規制を再考する方針を示している。

[欧州] 欧州委員会が3月12日に、「米国の不当な鉄鋼・アルミニウム関税に報復措置で対応」することを発表した。まず、現在、一時適用が停止され、その適用停止期限が3月31日に予定されている対米国関税を停止延長しないことで自動的に復活する。また、3月12日から2週間かけて欧州委員会が加盟国や利害関係者と協議を行い、新たな関税措置を4月半ばに提案する予定。

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