デイリー・アップデート

2025年3月28日 (金)

[モザンビーク] 3月26日、北部の天然ガス開発プロジェクトを主導する仏資源大手トタル・エナジーズは、2021年に同プロジェクト関連施設周辺の警備にあたっていたモザンビーク国防・治安部隊(FDS)による民間人に対する人権侵害の疑いに関して、モザンビーク検察庁が調査を開始したことを歓迎するとの声明を出した。2024年来、米Politico紙などがトタル社もこの人権侵害を容認していた疑いがあるとして非難していた。反政府武装勢力の襲撃により2021年に「不可抗力」が宣言され、開発が中断されている同プロジェクトだが、3月13日に米輸出入銀行(EXIM)が47億ドルの融資を承認。年内に再開されるとの見方が広まっている。

[日本] 総務省によると、3月の東京都区部の消費者物価指数は前年同月比+2.9%だった。上昇率は2月(+2.8%)から拡大したものの、直近ピークの1月(+3.4%)を下回っている。ただし、電気・ガス料金負担軽減支援事業によって、消費者物価指数は▲0.3pt押し下げられている。引き続き、食料や光熱・水道など生活必需品の価格上昇が目立っており、物価高の痛みが残っている。

[メキシコ] 中央銀行は、政策金利を50bp引き下げ9.00%とすることを決定した。成長懸念がインフレ懸念を急速に上回ってきており、ペソの大幅かつ急激な下落がない限り、中銀は今後数か月間、この緩和ペースを維持するとみられる。会合後の声明も、前回よりもハト派的なニュアンスが含まれており、米国の関税引き上げによりメキシコ経済が2025年第1四半期に再び弱さを示すと予想されている。

[ロシア] 西側諸国のロシア石炭業界に対する制裁とアジアでの販売減少などの理由により、国内の石炭産業は現在、危機的状況にある。ロシアのエネルギー省によると、年間総生産量が4,000万トンに及ぶロシアの石炭産業における企業27社が破産寸前の状態にあると警告している。特に主要産炭地であるシベリアのケメロヴォ州が深刻な危機に見舞われ、炭鉱の閉鎖と鉱山労働者への給与未払いが発生しているようである。

[米国/イラン] 3月27日、イランのアラグチ外相は国営イラン通信(IRNA)に対して、トランプ米大統領がイランに送った核協議を始めるよう促す書簡に対して、イラン側の見解を詳述した書簡を、オマーンを通して米国へ送付したと語った。トランプ氏が送付した書簡は非公開だが、リークされた情報によると、イランに対する核計画の完全解体と核濃縮の完全停止、フーシ派やヒズボラへの支援停止などを2か月以内に要求する内容だったとのこと。アラグチ外相は間接交渉に応じる用意があるとしている。

[インド] 政府は、製造業振興策として導入された「PLI(生産連動型奨励制度)」について、制度を当初の期限通りに終了させる方針であり(分野により異なるが、期限は5年が標準)、対象分野の拡大や補助金対象期間の延長は行わない意向を示している。その背景には、当初期待された成果が十分に得られていないことに加え、補助金の支給遅延、過度な官僚主義、煩雑な審査手続きなど、制度運用上の非効率性が指摘されている。ただし、これは製造業振興そのものを放棄するものではなく、より実効性の高い代替策を模索するための措置となる。PLIは2020年に開始され、携帯電話、電子部品、特殊鋼、白物家電、医薬品、食品加工など、14分野が対象となっている。政府は総額1兆9,700億ルピーを予算として確保し、2024年11月時点で、そのうち約1兆6,100億ルピー(約2兆8,000億円)の投資を実現したと発表している。

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