デイリー・アップデート

2025年3月24日 (月)

[インド] 3月22日、インド政府は、4月1日よりタマネギの輸出関税20%を撤廃すると発表した。2023年12月以降に講じられた輸出制限により、国内市場への供給が安定したことが判断の背景にある。政府は2023年12月8日から2024年5月3日まで約5か月間にわたり輸出を禁止し、その後、2024年9月13日より20%の輸出関税を導入してきた。こうした措置の結果に加え、乾期に収穫されるラビ作のタマネギの出来が良好であることから、卸売・小売価格ともに低下傾向にある。農業・農民福祉省によると、2025年のラビ作タマネギの生産量は2,270万トンと、前年の1,920万トンから約18%の増加が見込まれている。

[エチオピア/G20] 3月21日、財務省は「G20共通枠組み」の下で設立された「公的債権者委員会(OCC)」との間で債務再編に関する原則合意(AIP)に達したと発表した。詳細は明らかになっていないが、2028年までにエチオピア政府は未払い債務84億ドルのうち、35億ドルを削減し、25億ドルの債務救済措置を受けるもよう。今回の合意に基づき、中国をはじめ二国間での債務返済に関する協議・協定署名を進めるほか、並行して約10億ドルの国債を有する商業債権者団体との交渉も継続する必要がある。

[米国] ニューメキシコ州は山林火災のリスクが高いが、民間企業の調査では、不動産所有者の保険未加入割合が23.3%となっているという。また、米国経済分析局が公表しているPCEデフレターによると、自然災害の増加を受けて住宅保険料は前年比で10%以上値上がりしていることもあって、保険更新の拒否も増加していると伝えられている。ニューメキシコ州の保険未加入割合が高い原因として、地元の大学教授は、貧困を理由のひとつとして挙げており、全米で3番目に貧困率が高い地域だと指摘している。こうした事態を受けて、ニューメキシコ州は2025年に入り、州営の火災保険プログラムの設立を提案するなど対策を急いでいる。

[トルコ] 3月23日、トルコ最大野党共和人民党(CHP)に所属するイスタンブール市長のイマーモール氏が汚職容疑で逮捕された。同氏は次の大統領選挙で有力な対抗馬になるとみられていた人物。これに先立って3月19日に、汚職とテロほう助の容疑で同氏は拘束されており、同時に同じCHP系の政治家やジャーナリストなど106人も当局に拘束されていた。イマーモール氏はすべての容疑を否定している。同氏の逮捕に反発する野党支持者などがイスタンブール市庁舎前などでデモを実施。各地のデモで343人が拘束されている。

[米国] 連邦住宅金融庁(FHFA)が、政府支援企業であるファニーメイ、フレディマックの経営幹部の解任を進めた件について、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、トランプ政権による両機関民営化の動きが背景にあると報道した。さらに、民営化に伴い、追加投資を受け入れ、それを米国政府が新設する国家ファンドの原資に充てるとの構想もあることを報じた。トランプ大統領は2月に国家ファンドの創設を検討するよう、財務長官と商務長官に指示しており、3か月以内に検討結果が大統領に報告される予定となっている。

[欧州] フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が3月4日に発表したReArm Europeの名称が、事実上Readiness 2030に変更された。防衛基盤強化の優先分野の一つであるドローンなどが気候変動対策(監視)にも活用されるとみられる。また、欧州自由貿易連合(EFTA)や欧州経済領域(EEA)に加え、EU非加盟国のノルウェーやイギリス、EUと安全保障・防衛パートナーシップを締結している日本や韓国なども参加することが可能とみられる。

[中国] 3月22日付の香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、中国の科学者が深海の海底ケーブルを切断できる装置を開発した件について報じている。2月24日に中国語誌「機械工程師(Mechanical Engineer)」に胡浩龍氏率いるチームが発表した査読付き論文によると、新しい装置は既存の海底通信インフラの最大運用範囲の倍にあたる水深4,000メートルまでの海底ケーブルを切断することができる。この装置は民間によるケーブル引き揚げ作業や海底採掘用のツールとして開発されたが、その多目的利用の可能性は、他国の警戒を引き起こす可能性がある。

[ロシア] 中央銀行は3月21日の理事会で、主要政策金利を21%に据え置くことを決定した。据え置きは3会合連続となった。インフレ圧力は低下傾向にあるものの依然高止まりしていることから、今後さらなる利上げの可能性もあるとの見方を示した。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

21人が「いいね!」と言っています。
<  2025年3月  
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31