デイリー・アップデート

2025年3月5日 (水)

[インドネシア] 3月3日、中央統計局が発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比▲0.09%となり、前月の同+0.76%からマイナスに転じ、2000年3月以来約25年ぶりでマイナスとなった。政府の目標である+1.5~3.5%の下限を2か月連続で下回った。しかし、中央統計局は、購買力の低下が原因ではなく、政府が付加価値税(VAT)の引き上げに伴い実施した電気料金の割引が主な要因であり、さらにコメやトマト、赤トウガラシの価格下落も影響したと説明した。

[日本] 内閣府の推計によると、2024年第4四半期(Q4)のGDPギャップは+0.3%となり、Q3(▲0.2%)から2023年Q2以来、6四半期ぶりにプラス(前回のプラス時期は2023年Q1~Q2)に転じた。GDPギャップがプラスということは、経済全体の需給バランスで、需要超過の状態にあることを意味する。また、日本経済が「デフレではない状態」になった2017年Q1~2019年Q3もプラスだった。いわゆる「デフレ脱却の4条件」の1つにGDPギャップがあげられているため、これがおおむねプラスで定着するかが注目される。

[南アフリカ] 3月4日、統計局(STATS SA)は2024年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を+0.6%と発表した。第3四半期の▲0.1%からプラスに転じた。第4四半期は農林水産部門が+17.2%と、前期の▲19.7%から大幅に回復し、最大の寄与度となった(0.4%pt)。これは畑作物・畜産物の生産増によるもの。また、GDPの約3割を占める「金融・不動産・ビジネス」は8期連続の成長となった。他方で、製造業は鉄鋼や自動車生産の落ち込みにより▲0.6%となったほか、鉱業もマンガン、鉄鉱石等の生産減により▲0.2%となった。長年にわたり経済活動に影響を与えてきた計画停電については、複数の火力発電所の故障により1月末に300日ぶりに実施されたが、復旧が進み2月27日以降は実施されていない。

[エジプト/アラブ諸国] 3月4日、エジプトのカイロでアラブ連盟首脳会議が開催され、パレスチナ自治区ガザの復興案に関するアラブ側の提案が出された。同案では、ガザの復興は5年間にわたる3段階のプロセスによって行われ、その間パレスチナ人のガザ外への移住は実施されない。2月にトランプ米大統領が、「米国がガザを所有し、中東のリビエラ(一大リゾート地)にする」、「ガザに住むパレスチナ人はエジプトやヨルダンが引き受ける」と発言したことに対してアラブ側が反発し、トランプ氏の提案に対する対案を出すのが今回の会議の目的だった。

[米国] 3月3日、米通商代表部(USTR)は、2025年大統領通商政策アジェンダ(+2024年年次報告書)を発表した。USTRは、議会に対して、政権の通商政策課題とこれまでの取り組みについて毎年報告することとなっており、今回はトランプ政権下で初の通商政策報告だった。グローバル化推進主義者によって米国製造業は空洞化し、イノベーションが滞り、国家安全保障が損なわれる事態に陥ったとの認識を示し、関税を通商政策の中心に据え、活用することで、米国の活力を取り戻せると説いている。また、世界貿易機関(WTO)にも言及し、期待された役割を果たしておらず、改革が必要と指摘している。

[ミャンマー/ロシア] 3月3日からミンアウンフライン国軍司令官がロシアを訪問し、4日にプーチン大統領と会談した。同国軍司令官は2021年1月のクーデター後、2022年9月までに3回ロシアを訪問しており、2022年9月にウラジオストクを訪問した際、プーチン大統領と会談している。プーチン大統領は、2024年に両国間の貿易額が40%増えたことを指摘し、二国間関係の進展と今後のさらなる発展を強調した。ミンアウンフライン司令官はロシアが供与した軍事装備の質を称賛し、ウクライナ戦争についてロシアへの支持を表明した。両首脳は経済や投資、エネルギー、軍事面での協力強化で一致した。

[欧州] 3月6日に予定されているEU特別首脳会合を前に、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が「ReArm Europe」と名付けられた防衛産業の強化と軍事能力向上のための5つの措置から構成されるパッケージを発表した。この措置により、合計8,000億ユーロ規模の投資が見込まれる。

[中国] 3月5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)で、李強首相は政治活動報告を行い、今年の経済成長率目標について「5%前後」を維持する方針を示した。その他の主な指標は以下の通り。財政赤字率は4%前後の5.66兆元(昨年比1ポイント、+1.6兆元)、超長期特別国債1.3兆元(同比+3,000億元)、大手国有商業銀行向け特別融資5,000億元(新規)、地方政府向け特別債券4.4兆元(同比+5000億元)。消費者物価上昇率、都市部調査失業率、新規雇用の目標は2024年と変わらず、それぞれ3%前後、5.5%前後、1,200万人以上で設定された。

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