2025年3月31日 (月)
[ガーナ] 3月28日、中銀(BOG)は、金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を100bp引き上げ28.0%とした。利上げは2023年7月以来1年8か月ぶり。2月に就任したジョンソン・アシアマ総裁は、直近2月のインフレ率は23.1%と依然として高く、またトランプ米政権下での報復関税が世界的なインフレ上昇をもたらす可能性があるため、ディスインフレプロセスを軌道に乗せるべく利上げを行ったと述べた。同氏はまた、主要輸出品の金とカカオ豆の輸出増により2025年1~2月は貿易黒字を維持しており、2025年通年の実質GDP成長率は2024年の4.0%を上回る、5.6%との見通しを示した。
[アルゼンチン] 1月の経済活動指数は12月から0.6%増加し、市場予想の0.2%を上回った。前年同月比では、6.5%の成長となり、小売売上高、金融、製造業の拡大がけん引した。経済は確実に上向きの兆候がみられているが、今後の課題としては、資本規制の解除に移ってくる。現在IMF(国際通貨基金)と新たなプログラムについて交渉を行っており、その規模は200億ドルになると発表されている。中央銀行の資本を増強することで、資本規制解除の素地を作ることを目指す。
[米国] 商務省によると、2月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+2.5%と、上昇率は1月と同じだった。2024年12月(+2.6%)からやや縮小している。また、食料品とエネルギーを除くコア指数は+2.8%であり、1月(+2.7%)から小幅に拡大した。一方で、前月比の上昇率は+0.4%であり、コア指数はここ3か月連続で加速している。物価の基調はまだ高く、目標の2%までには距離を残している。
[中国] 3月31日、中国国家統計局は、製造業購買担当者指数(PMI)が3月に50.5となり、前月比で0.3pt上昇したと発表した。この結果、PMIは景気の好不況を分ける境界線である50を2か月連続で超えた。一定の回復傾向が見受けられる。各項目を見ると、生産指数は前月比0.1pt上昇して52.6となり、先行指標である新規受注も0.7pt上昇して51.8となった。しかし、輸出向け受注は0.4pt上昇の49.0となったが、依然として50を下回る水準が続いている。これには、他国との貿易摩擦の影響が考えられる。また、雇用指数は0.4pt悪化し、48.2となった。
[米国] 株価下落の影響で、逆資産効果によって消費が低迷するのではないかと懸念されている。投資ポートフォリオの増加を目にすると、実際の収入が変動していなくても、消費を続ける自信が生まれる。反対に、株式市場での利益損失は、帳簿上の残高が減少しているのを見て、人々の支出を抑制してしまう可能性がある。実際、米国の小売売上の回復は遅れている。こうした動きは米国経済にとっては重要かつ独特なものだとの主張がある。他方で、不動産の価値も消費動向に大きな役割を果たしているとの主張も目にする。不動産価格の上昇が、ほとんどの米国人住宅所有者にとって資産効果を定着させており、安定した仕事と住宅価格の上昇が消費へ直接的な影響を与え、分散化されたポートフォリオを持つ多くの投資家にとっての横ばい程度の株価よりも、効果的だという。
[中国/香港/米国] 香港のCKハチソンが、パナマ運河の二つの港湾を含む43港を、米ブラックロックが率いるコンソーシアムに売却する件について、中国政府からの圧力を受け、4月2日に予定していた契約締結を見送る方針だと各紙が報じている。中国政府は自国の国有企業に対し、ハチソンとの新規契約を結ぶことを禁止したと報じられているほか、3月29日に中国国家市場監督管理総局はウェブサイトで、この取引が独占禁止法に違反していないか調査を行っているとコメントした。
[ミャンマー] 3月28日、中部マンダレー付近を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生した。マンダレーは国内第2の都市で人口密集地であり、今回の地震で最も深刻な被害を受けた。マンダレーから270キロ南にあるネピドーでも、国際空港の管制塔が倒壊するなどの被害が報じられている。30日、ミンアウンフライン国軍司令官は、死者は約1,700人、負傷者は約3,400人に上ったと発表した。また、同司令官は国際社会に支援を要請。中国、ロシア、インド、タイからの支援が始まり、日本も調査チームを派遣すると発表した。米国のトランプ大統領も支援を行う意向を表明した。タイでもバンコクなどで地震が派生し、30日時点で死者17人、行方不明者が77人と報告された。
[シリア] 3月29日、シャラア暫定大統領は23人の大臣を任命し新たな暫定政府を発足させた。暫定政府には、シャイバニ外相やアブ・カスラ国防相らは前暫定政権から留任されたが、少数派のキリスト教徒や、アサド前大統領と同じアラウィー派の人物も閣僚に起用することで、国内融和や包括的で穏健な統治をアピールしたい考え。首相は置かず、シャラア大統領が行政部門を率いる。社会問題・労働相にはキリスト教徒の女性も登用された。
[ロシア] 3月26日、ロシアの主要な砂糖、肉、油脂製品生産企業であるルサグロ(Rusagro)の創業者兼元取締役会長バディム・モシュコビッチ氏(57)が、大規模な詐欺と職権乱用の疑いでロシアの当局に拘束された。同氏は、まず2か月の公判前拘留となり、有罪となれば、最高10年の懲役刑が科される。ルサグロの株価はモスクワ証券取引所で大幅な下落を記録した。
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