デイリー・アップデート

2025年3月3日 (月)

[インドネシア/石炭] 政府は3月1日付で、石炭輸出の際にベンチマークとして基準石炭価格(HBA)の使用を義務付ける。これまで、同国独自指標のHBAはロイヤリティの計算に使われる一方、国際取引にはICI石炭価格指数など外部指標が使われ、両者には乖離が生じていた。この乖離はロイヤリティ収入逸失や不透明性を招いているとの認識から、生産コストをより正確に反映するHBAを義務化して自国産石炭に対する価格決定権を奪取し、国家収入を最大化する狙い。しかし中国・インドなど主要輸入国が自国石炭生産も増やすなか、HBAが市場価格より高ければ競争力を失う。ロイヤリティ支払いと輸出収入を1年間国内に保持する規制により、キャッシュフロー悪化の懸念もある。

[ギニアビサウ/ロシア] 2月26日、ウマロ・エンバロ大統領はロシアを公式訪問し、プーチン大統領と会談を行った。同会談に参加していたロシア・アルミニウム大手ルスアル社のオレグ・デリパスカCEOは、ギニアビサウでの鉄道・港湾開発のほか、石油・ガス、ボーキサイト、リン鉱石の探査に関心を示したと報じられている。2020年に大統領に就任したエンバロ氏の任期は2025年2月27日満期を迎えたが、同年11月に延期された大統領選まで同氏が大統領職を務めると主張。これに対して野党は違憲だとして全国規模の抗議デモを実施すると発表した。過去2回、エンバロ政権に対するクーデター未遂事件が発生しただけに、ロシアへの経済的利益の提供と引き換えに安全保障強化を今回の会談で図ったとみられる。

[インド] 2月28日、2024年10~12月期の実質GDP成長率が前年同期比+6.2%だったと発表した。支出別では、政府支出が+8.3%、民間消費が+6.9%、輸出が+10.4%と成長をけん引した。民間消費は祭事期に回復したが、高額商品の消費は控えめな傾向があった。輸出は特にサービス輸出の伸びが目立ち、通信分野がけん引した。産業別では、製造業が+3.5%と回復し、鉱業もプラスに転じた。今後、インド準備銀行の利下げと政府の製造業向け支援や減税などの施策が経済を支えるとみられる。政府は、2024/25年度の実質GDP成長率を従来の6.4%から6.5%に上方修正した。

[米国] 商務省によると、1月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+2.5%となった。上昇率は2024年12月(+2.6%)から縮小した。食品とエネルギーを除くコア指数も前年同月比+2.6%となり、同年12月(+2.9%)から縮小した。一方、1月の実質個人消費支出(PCE)は前月比▲0.5%と約4年ぶりの減少率を記録した。2024年の年末商戦が底堅かった反動とともに、寒波やカリフォルニア州の山火事などの影響もあったとみられている。

[米国/イスラエル/パレスチナ] 1月19日に発効したイスラエルとハマスの間での停戦・人質交換合意の第1段階が3月初めで終了した。第2段階に関する協議は進んでおらず、米国のウィトコフ中東特使は、イスラム教徒にとって重要なラマダンが終わり、ユダヤ教徒にとって重要な過越祭が終わるまでの42日間の第1段階延長案を提案したが、イスラエルはこれを受け入れハマスはこれを拒否した。イスラエル首相府は、ハマスが提案を拒否したことを理由に、ガザへの人道支援物資搬入を停止すると発表した。

[米国] 3月1日、トランプ大統領は、国内での木材生産を増やすための大統領令に署名した。森林からの伐採を増やすために許認可プロセスを簡素化し、木材供給拡大を目指す。また、商務長官に対しては、1962年貿易拡大法第232条に基づき、木材輸入が国家安全保障に与える影響を調査するように指示した。結果によっては追加関税が課される可能性がある。なお、政府筋によれば、重太コストの削減とともに森林管理の強化や動物生息地の改善効果を期待しているという。米国向けの木材輸出金額が多い国は2024年のデータからはカナダ、中国、ドイツとなっている。スウェーデンやフィンランドなどの北欧諸国からも高品質木材が輸出されている。

[欧州] 3月2日に16か国の首脳・外相、ルッテNATO事務総長、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、コスタEU大統領が参加したロンドンサミット後の記者会見で、スターマー英首相が、ウクライナの平和を保障するための”有志連合”を構築することで合意したことを発表した。一方、マクロン仏大統領は、第一段階を「空、海、エネルギーインフラの停戦」、第2段階のヨーロッパの軍派遣で構成される英仏の停戦案を発表した。

[中国/ロシア] 2月28日、中国を訪問したロシアのショイグ安全保障会議書記は、習近平国家主席、王毅外相とそれぞれ会談した。習近平国家主席は、双方があらゆるレベルで緊密な意思疎通を維持し、プーチン大統領と自身との間で得られた合意を完全に実施して協力を深めていくと強調した。ショイグ氏は、プーチン大統領は習氏との誠実な友情と緊密な関係を非常に重視しており、中ロ関係はかつてないほどの高水準にあると発言した。王毅外相との会談では、ウクライナ情勢やアジア太平洋地域、中東、アフガニスタンなどについても意見交換が行われた。

[ミャンマー/ロシア] 2月28日、 ロシア大統領府はミャンマーのミンアウンフライン国軍司令官がロシアを公式訪問し、3月4日にプーチン大統領と会談すると発表した。同国軍司令官は2021年1月のクーデター後、2022年9月までに3回ロシアを訪問しており、同年9月にウラジオストクを訪問した際、プーチン大統領と会談している。

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