2025年3月27日 (木)
[ブラジル/日本] ルーラ大統領が国賓として訪日し、石破首相らと会談を行った。今回の訪問では、米中貿易戦争の中で、アジア諸国との商業的パートナーシップの拡大を目指される中、二国間貿易を170億ドル以上に引き上げる目標が掲げられたことや、エンブラエル社のジェット機契約などの成果もみられた。一方、牛肉市場の開拓やエタノール輸出について、進展はみられたものの、確約までは至らず今後の課題も残った。
[米国/南アフリカ] 3月25日、トランプ大統領はレオ・ブレント・ボゼル3世氏を駐南アフリカ米国大使に指名した。同氏は保守系メディア監視団体「メディア・リサーチ・センター」の創設者兼代表を務める69歳。熱烈なトランプ氏およびイスラエル支持者として知られている。米国としては、パレスチナ問題においてイスラエルを批判する南アフリカの声を弱めたい意図があるとみられる。トランプ第二期政権下では、駐米南アフリカ大使を「人種差別をあおる政治家」だとして国外追放するなど両国間の関係は急速に悪化している。
[米国] ダラス連邦準備銀行が2025年第1四半期のエネルギー調査を発表。米国シェール生産の中心地に拠点を持つエネルギー企業の景況感は悪化し、不確実性指数は急上昇。2025年末の価格予想の回答平均はWT原油が1バレル68ドル、天然ガス(Henry Hub)は3.78ドル/mmbtuだったが、探査生産企業(E&P)が新規掘削に必要なWTI価格は平均65ドル。自由回答では、トランプ新政権下で不確実性が増大し事業計画が困難であること、油価50ドルと増産は両立しないこと、関税により油井管などのコストが跳ね上がったことなど、不安や不満を訴えるコメントが多数挙がっている。
[ミャンマー] 2024/25年度(2024年4月?2025年3月)の貿易額は、330億ドルを目標としているが、2025年3月12日時点での累計では257億9,000万ドルとなり、年間目標の78%だったと、国家輸出戦略民間輸出促進委員会が明らかにした。年度の終了が目前に迫る中、政府関係者は、関連省庁、民間団体、輸出企業に対し、輸出拡大のための連携強化を求めている。特に、輸出を倍増させる取り組みの加速が求められている。
[米国] 商務省によると、2月の非国防資本財(除く航空機)受注は前月比▲0.3%と、1月(+0.9%)から4か月ぶりに減少した。これは市場予想(+0.2%)に反したものであったが、ならしれてみれば2024年下半期から緩やかに増加している。また、非国防資本財(除く航空機)出荷は+0.9%と、1月(▲0.2%)から反転し、2か月ぶりに増加した。これらには、関税引き上げ前の駆け込み需要もあるとみられている。
[米国/UAE] 3月25日のUAE国営エミレーツ通信社の報道によると、トランプ米大統領とムハンマドUAE大統領の電話会談が行われ、ガザでの停戦について話し合われたとのこと。イスラエルとハマスの間で1月に発効した停戦合意は3月初めに第1段階が終了しており、3月18日からイスラエル軍はガザ攻撃を再開し、再開後すでに730人のパレスチナ人が死亡している。ムハンマドUAE大統領はまた、イスラエルが3月2日以降停止しているガザへの援助物資の搬入の再開と二国家解決への支持も求めたとのこと。
[米国] 3月26日、トランプ大統領は輸入自動車・自動車部品に対して25%関税を賦課する決定を下した。関税の徴収は4月3日より開始される。米墨加協定(USMCA)の下で関税が免除されている完成車については、非米国原産部分のみが関税対象となる。また、当面、USMCA適格の自動車部品は無関税で輸入することができる。通商拡大法232条に基づく措置で、輸入品が国家安全保障を損ねると商務省が判断した場合、大統領は輸入抑制のための対策を講じることができる。通常、232条関税の適用には商務省による調査が必要だが、今回の決定は、2019年に実施した調査結果を基に判断されている。
[韓国] 3月26日、ソウル高裁は、2021年の大統領選に出馬した際に虚偽の陳述を行い、公職選挙法に違反した罪で有罪判決を受けていた「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に対し、一審判決を破棄し無罪を言い渡した。もし一審判決が確定していれば、今後10年間被選挙権を失うことになり、尹錫悦大統領が弾劾された場合に行われる大統領選への出馬を断念する可能性があったが、今回の無罪判決により、大統領選出馬に向けて弾みがついた形となった。
[ベトナム/米国] 3月25日、ベトナム財務省は自動車やLNGを含む11品目について最恵国待遇(MFN)税率の引き下げを提案したと発表した。米国をはじめとする貿易パートナー国との貿易均衡やインフレの抑制につながると説明している(ベトナムは米国とは自由貿易協定を締結していないので、MFNの税率が適用されている)。また、ベトナム政府は、スペースXのスターリンク衛星インターネットサービス進出を許可した。これらはいずれも、米国との関係に配慮した措置とみられる。
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