デイリー・アップデート

2024年7月30日 (火)

[ベトナム] 7月29日、統計総局(GSO)は主要経済指標を発表した。いずれも景気の堅調さが鮮明となる結果だった。7月の鉱工業生産指数は、前年同月比(以下同)+11.2%と、前月の+12.4%から鈍化したものの2桁台の伸びが3か月連続で続いた。7月の輸出額は+19.1%の359億2,000万ドルとなり、単月の輸出額では、過去最高額だった。主力の電子・電子部品、電話・同部品の輸出がけん引した。7月の小売売上高は、+9.4%の528兆3,000億ドン(約208億8,800万ドル)と、単月では2024年で最も高い伸びとなった。7月の消費者物価指数(CPI)は+4.36%と前月+4.34%からやや加速した。

[日本] 総務省「労働力調査」によると、6月の完全失業率は2.5%と、2~5月(2.6%)から小幅に低下したものの、おおむね横ばい圏を推移している。また、厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、6月の有効求人倍率は1.23倍となり、5月から▲0.01ptと低下した。2022年11月~2023年1月(1.35倍)を直近ピークに低下している。47都道府県全ての有効求人倍率が1倍を上回っていることなどから、雇用環境はまだ堅調に推移しているものの、変化の兆しも見えている。

[エチオピア] 7月29日、国際通貨基金(IMF)は理事会を開催し、エチオピアの財政支援向けに総額34億ドルを供与する拡大クレジットファシリティ(ECF)のアレンジメントを承認した。同時に10億ドルの即時供与も決定された。支援パッケージは4年間となる。2023年12月にデフォルトに陥り、債務再編交渉を進める同国にとって今回のIMFによる新規融資の合意は、経済改革における大きな進展とみられる。IMFによる融資の条件となっていた二重為替レートの是正については、IMF理事会開催の前日に政府が変動相場制への移行を発表。先週時点で1ドル=57ブル前後で取引されていた公定レート(エチオピア商業銀行発表)は、発表後には1ドル=約75ブルに下落した。

[ベネズエラ] ベネズエラ国家選挙管理委員会(CNE)は、月曜(7月19日)深夜、マドゥロ大統領が51%の得票率で勝利したと発表したが、野党はこの勝利に異議を唱え、野党候補であるゴンザレス氏が70%の票を獲得したと主張している。この結果に対し、首都カラカスで暴動が発生し、負傷者が出ていると伝えられている。また、欧米だけではなく政治経済社会各方面で関係の深いブラジル、チリ、ペルー、コロンビア、アルゼンチンなどラテンアメリカ諸国も、この選挙結果に対する疑念を示している。一方でロシア、中国、キューバ、ホンデュラス、ボリビアは、マドゥロ大統領の当選を祝うコメントを発出している。日本政府によるコメントは本日(7月20日)正午現在では確認できていない。

[EU/ハンガリー/スロバキア] 6月にウクライナ政府が、ロシアの石油会社Lukoil社がドルジバパイプラインで輸送する石油のウクライナ国内の通過禁止措置を発表したことを受け、7月初めにハンガリーとスロバキアの同パイプライン経由での石油受け入れが停止された。ハンガリーとスロバキアは欧州委員会に対して、法的措置を念頭に置いた協議を行うことを要請した。

[マレーシア/ラオス/ロシア] ロシアのラブロフ外相がASEAN外相会議関連会合に出席するためラオスを訪問した後、7月27日から28日までマレーシアを訪問し、プトラジャヤでアンワル首相やハサン外相と会談した。アンワル首相はBRICSの議長国であるロシアに加盟申請書を送り、加盟国もしくはパートナー国になりたい意向を伝えたとの声明を発出した。東南アジアではタイとマレーシアがBRICSへの加盟意思を表明している。

[イスラエル/パレスチナ] イスラエルとハマスの停戦・人質解放交渉を進めるべく、7月28日にイスラエル、米国、カタール、エジプトの交渉担当官がイタリアのローマに集まり、イスラエルの新たな交渉案に関する協議を開始した。イスラエルが新たに要求しているのは、ハマス戦闘員をガザ北部に移動させない監視メカニズムの設置、停戦の第1段階でイスラエル軍がガザとエジプトの国境地帯に残ること、そして生存する人質リストの提出であるが、これらのイスラエル側の新たな要求をハマス側が飲むのは非常に難しいとみられている。

[米国/日本] 7月28日、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官は、上川外相、木原防衛相との日米安保協議委員会(2+2)、日米拡大抑止閣僚会合に臨んだ。米国は、在日米軍を統合軍司令部へと再構成し、作戦指揮権限を持たせることを明らかにした。会合後の記者会見にて、ブリンケン国務長官は、日米同盟の本質が防衛的なものであることを強調し、オースティン国防長官からは、今次の同盟関係強化は中国の脅威に対応したものではなく、日米がより密接に連携するための措置であると説明があった。東京では日米豪印の外相会合も開催され、米側は海洋安保や先端技術面での協力関係を強調した。

[米国] 民主党内から撤退圧力が強まる中、7月21日にバイデン大統領が再出馬からの撤退を表明するとともに、自らの後継候補にハリス副大統領を指名したが、ハリス氏は民主党内の支持を速やかに固めて民主党大統領候補指名獲得を確実にし、選挙キャンペーン開始後1週間足らずで2億ドルもの政治資金を確保した。ハリス陣営の広報担当者は、調達した政治資金全体の66%は2024年大統領選挙で初めて政治献金を行う有権者であったことを明らかにしている。

[中国/ロシア/米国] 米国による制裁でロシアと中国の間の決済に支障が生じており、中国の銀行がロシアからの人民元建て送金の約80%を差し戻し始めた。顧客は仲介業者のサービスに頼り、取引や送金に対して追加の手数料を課す必要があり、取引にかかるコストが増加する。

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