デイリー・アップデート

2024年7月23日 (火)

[モーリシャス/アラブ首長国連邦(UAE)] 7月22日、両国は、ドバイで包括的経済連携協定(CEPA)に署名した。この協定によりモーリシャスはUAEからの輸入において99%の品目の関税を撤廃し、UAEはモーリシャスからの輸入の97%の関税を撤廃することになる。UAEはインド、トルコなど6か国とのCEPAを発効済みで、約20の国と署名・交渉中だが、アフリカの国とのCEPAの締結は今回が初となる。UAE高官は、モーリシャスは「アフリカへのゲートウェイ」だと強調するとともに、モーリシャスが2030年までに再生可能エネルギー比率を60%に高める計画に関しても、同分野に強みを有するUAE企業が協力できるとの姿勢を示した。

[中国] 7月22日、中国人民銀行(中央銀行)は、短期政策金利である7日物リバースレポ金利と銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げた。これらの金利を引き下げることにより、景気底上げを狙う。中銀は、7日物リバースレポ金利を0.1pt引き下げて1.7%とした後に、企業融資のためのベンチマークである1年物LPRを0.1pt引き下げて3.35%とした。これは2023年8月以来、初の引き下げとなった。同様に、住宅ローン金利に影響を与える5年物も0.1pt引き下げて3.85%とした。不動産市場の低迷が長期化している上、消費が弱いため、最近は主な貸出金利を引き下げている。8月には1年物中期貸出ファシリティ(MLF)金利の引き下げも予想される。しかし、この程度の小幅な引き下げでは経済活動に大きな影響を与えないだろうとの見方が多い。

[米国] 環境保護庁は、気候変動対応プロジェクトに、30州で合計43億ドルの助成金を交付する。この助成金は議会民主党が承認したインフレ抑制法に基づいて支給される。ペンシルベニアでは、セメントやアスファルトなどの材料からの温室効果ガス排出を削減するプロジェクトに、合計で3億9,600万ドルが支払われる。カリフォルニアでは、ロサンゼルス港とロングビーチ港の運輸・貨物の脱炭素化に約5億ドルが投じられる。ネブラスカ州環境エネルギー局当局者は、気候に配慮した農業を促進し、家畜からの農業廃棄物を削減するために3億700万ドルを受け取る予定であると述べている。メリーランドからコネチカットまでの州間高速道路95号線沿いには、電気自動車のインフラ強化に向けて約2.5億ドルが充てられる。また、寒冷気候用ヒートポンプと給湯器の導入加速のために、合計4億5000万ドルが支給されることになっている。

[中国/EU] 欧州委員会は、中国企業が欧州市場にバイオ燃料をダンピングして不当な価格で輸出していることが判明したとして、域内生産者の損害をなくすために、中国産バイオ燃料に対し12.8%~36.4%の暫定関税をかけるべきだと提案した。関税は8月に発効する可能性が高いが、EUの反ダンピング調査は2025年2月まで継続される。使用済み食用油を原料とするバイオディーゼルの欧州基準価格は、2024年1~7月の平均で1トンあたり1,300ドルであり、2022年同時期から40%近く下落した。中国のEUへのバイオ燃料輸出は2022年に約55万トンだったのが、翌2023年、100万トンに増加した。

[バングラデシュ] 政府は公務員の採用枠のうち3割を独立戦争に参加した退役軍人の子と孫に割り当てる制度(クオータ制)を2018年に廃止する決定を行ったが、本年(2024年)6月に高裁が同決定を違法とする判決を言い渡したことから、学生らによる抗議活動が発生。7月に入ってから抗議デモと治安部隊との衝突が激化し、22日までに147人が死亡する事態に至った。政府は全国でインターネット通信を遮断し、夜間外出禁止令を発令、軍隊を配備した。7月21日、最高裁はクオータ制の枠を5%に縮小する判決を言い渡したが、抗議デモを主導する学生団体は政府の責任者の辞任等を求めている。翌22日、ハシナ首相は演説を行い、夜間外出禁止令を継続する意向を表明した。

[米国/アジア] 国務省は、7月24日から8月3日まで、ブリンケン国務長官がアジア諸国を歴訪すると発表した。国務長官はベトナム、ラオス、日本、フィリピン、シンガポール、モンゴルを訪れ、各国、そしてインド太平洋地域に対する米国の外交コミットメントを強調する。日本では、日米外務・国防閣僚による安保協議(2+2)、拡大抑止をめぐる閣僚会合、日米豪印外相会議、日米韓防衛相会議などが開催される予定。ラオスでは、ASEAN関連会合に臨むに際して、米中外相会談も開催される可能性を国務省は示唆するも、北朝鮮関係者との接触については否定した。

[米国] 7月22日、民主党全国委員会(DNC)は、8月19日からシカゴで開催される民主党全国党大会開催前にバーチャル投票を実施し、同党の正副大統領候補を正式指名する計画案を公表し、7月24日のDNC党大会規約委員会の委員らが協議する予定。ハリソンDNC委員長は記者団向け電話会議で、8月7日までに大統領候補を指名することを明言した。共和党主導のオハイオ州議会が大統領選挙の投票用紙に候補記載の期限を8月7日に改正したことへの対応となる。

[ウクライナ] 7月22日、ウクライナ政府は、計234億ドル(約3.7兆円)の対外債務の再編案について、民間投資家の代表団と基本合意したと発表した。今回の合意で、債務不履行(デフォルト)は回避できる見通し。政府の声明によると、ウクライナの発行済み外債の37%を減免し、元本の返済期限である満期も2029年以降に延長される。

[EU] 7月22日に開かれたEU外相会合で、ハンガリー政府が「平和ミッション」とするウクライナ情勢を巡ったEU加盟国間の分裂がさらに加速した。ボレルEU上級代表は、ハンガリーの非協調的な独自外交に、「何らかの公式な結果をもたらす」と発言。さらに、欧州議会では、ハンガリーのEU議長国としての資格はく奪する動きもみられる。

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