2024年7月31日 (水)
[ユーロ圏] EU統計局(Eurostat)によると、ユーロ圏の2024年Q2の実質GDP成長率は前期比+0.3%(年率換算+1.0%)だった。Q1(+0.3%、年率+1.1%)と、おおむね同じ伸び率と言える。ユーロ圏経済は2023年の足踏み状態からようやく持ち直しつつあるものの、力強さを欠いている。サービス業の回復がけん引する一方で、製造業の停滞が目立っているからだ。また、国別にみると、ドイツが▲0.1%となり、Q1(+0.2%)からマイナス成長に転じた。2022年から前期比プラス・マイナスを繰り返しており、ほぼ横ばい圏での動きが続いている。
[ギニア] 7月30日、暫定政権は現憲法で定められている大統領の任期6年から5年に短縮し、3選を禁じ、候補者は80歳以下とする新憲法の草案を発表した。2021年に軍部によるクーデターでアルファ・コンデ大統領(86歳)を追放し、政権を掌握したママディ・ドゥンブヤ暫定大統領は西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)との合意のもと、2024年12月までに民主的な選挙を実施することを約束していた。今回の草案の発表は選挙実施に向けた意思表明であると共に、コンデ大統領の立候補排除を狙いとしているとみられる。しかし3月にアマドゥ・ウリ・バー暫定政府首相は選挙の実施は2025年にもつれこむとも仄めかしており、民政復帰のプロセスは依然不透明な状況が続く。
[米国] 現職バイデン大統領が大統領選からの撤退を表明し、後継候補に指名されたハリス副大統領が民主党大統領候補の立場を事実上固めたが、民主党の大統領候補が代わることで影響が出ているのが、大統領候補テレビ討論会である。バイデン陣営とトランプ陣営の間では、6月27日のCNN主催のテレビ討論会のほかに9月10日のABC News主催のテレビ討論会が合意されていたが、バイデン氏の撤退により、NBC NewsやCBS Newsとも追加のテレビ討論会の開催のために調整を開始した。
[パキスタン] 7月29日、中央銀行であるパキスタン国立銀行(SBP)の金融政策委員会(MPC)は、インフレが低下傾向にあるため、政策金利を100bpt引き下げ19.5%にした。前回6月のMPCに続き2回連続の引き下げとなった。前回のMPCは、政策金利を150bpt引き下げ20.5%にした。これは、過去4年間で初の金利引き下げであった。SBPは、金融政策のスタンスは中期的なインフレ目標である5?7%に向かっているとの見解を示した。しかし、2023年5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+38%と歴史的にも高い水準だったが、その後CPIは低下し2024年6月は+12.6%だったものの、同目標には遠く及ばない。
[インドネシア] 7月29日、ジョコ大統領が新首都ヌサンタラで初めて公務を行った。今後、ジャカルタとヌサンタラを行き来して公務を行うとみられる。8月17日の独立記念式典はジャカルタとヌサンタラで行うことが予定されており、式典後、大統領や閣僚を含む数千人の公務員の移住が計画されている。ジョコ大統領は新首都の中央行政地区を視察し、「大統領宮殿等の主要な建物の建設の最終段階のプロセスを確認しに来た」、「すべての施設で建設作業は続いている」、「新首都開発は10~20年にわたる事業だ」と述べた。新首都への移転は2045年に完了することが予定されている。ジャカルタからヌサンタラへの公式な移転は大統領令の公布によって発効するが、そのタイミングは明らかになっておらず、プラボウォ次期大統領が就任する10月以降になる可能性もある。
[イスラエル/レバノン] 7月30日夜に、イスラエルがレバノンの首都ベイルート南部のヒズボラ勢力地域に対する空爆を実施。人口密集地に対する空爆で、少なくとも女性1人と子供2人が殺害され、85人が負傷した。イスラエルは、7月27日にゴラン高原で12人の子供が殺害された攻撃(イスラエルはヒズボラが実行犯と断定しているがヒズボラは関与を否定)に対する報復として、ヒズボラの軍事活動を統括するシュクル上級司令官を殺害したと発表した。同氏の生死は不明。今後ヒズボラからイスラエルへの報復攻撃が予想される。
[英国/レバノン] 7月30日にラミー英外相は、ゴラン高原へのロケット弾による攻撃でエスカレーションのリスクが高まったとして、イギリス国民に対して、レバノンへの渡航を控えること、またレバノン国内にいる場合には退避を促した。ラミー外相は、紛争がエスカレートした場合は全員を即刻非難させることは保証できないとして、民間のフライトが運航しているうちにレバノンを離れるべきと発言した。
[中国] 7月30日、中国共産党中央政治局会議が開催され、下半期の経済政策について話し合われた。「積極的な財政政策と慎重な金融政策」による漸進的な政策を打ち出していくという方針に変わりはないが、もしも年間成長目標の達成が困難な状況になれば、特別国債や超長期国債の増発が行われる可能性があるとの見方もある。また、内需の拡大は消費の拡大に焦点を当てるべきとの文言も含まれたが、具体的な政策は挙げられていない。既に政府が打ち出している、市場で在庫となっている住宅を地方政府が購入して手頃な価格の保証性住宅として利用できるようにするという政策については、積極的に支援していくとしている。
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