デイリー・アップデート

2024年7月10日 (水)

[中国] 7月9日、広州期貨交易所(GFEX)は、上海で開かれている「Shanghai Platinum Week 2024」2日目の基調講演で、プラチナ・パラジウム先物の上場計画を発表した。新商品は人民元建てで取引される中国初のプラチナ・パラジウムのデリバティブで、米CMEの四半期契約とは異なる12か月の限月制を取り、現物決済の場合はインゴットだけでなく産業ユーザーが主に用いるスポンジ(粉末状の純金属)の形状でも受渡可能。スポンジで決済できる白金族先物は世界初となる。GFEXは、中国のエネルギー転換と脱炭素化の取り組みに不可欠な中国の白金族市場の発展に寄与すると述べている。GFEXは2021年に設立され、2022年にシリコン先物、2023年にリチウム先物を上場している。

[モザンビーク] 7月8日、国際通貨基金(IMF)理事会は拡大クレジットファシリティ(ECF)による融資のレビューと4条協議を終了し、約6,000万ドルの即時供与を承認した。IMFは、同国の2024年の実質GDP成長率は+4.3%と見込まれる一方で、公的債務は対GDP比で97.5%に拡大する予測であることから、政府は財政再建の努力を継続する必要があるとした。また、インフレ率は2024年通年で+3.6%に低下する予測であり、非鉱業部門の成長が弱いことから金融政策スタンスを徐々に緩和していくことが適切であるとした。同国の政策金利は5月に15.0%に引き下げられ、プライムレートも6月の22.0%から7月は21.2%に低下したが、依然として高水準が続いている。

[中国] 7月10日、国家統計局が発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+0.2%と、5か月連続でプラスとなったが、前月の+0.3%から鈍化した。不動産市場の低迷や過剰生産などにより、内需が弱含んでいるため物価上昇が低位にとどまっている。同時に発表された6月の工業品卸売物価指数(PPI)は前年同月比▲0.8%と、21か月連続のマイナスとなったが、前月の▲1.4%から下落幅が縮小した。PPIのうち、消費耐久財の出荷価格が前年同月比▲2.1%(前月は▲1.8%)、前月比▲0.7%(同▲0.3%)となり、大幅に下落した。主因は過剰生産による自動車価格の急落であった。

[日本] 日本銀行「企業物価指数」によると、国内企業物価指数は前年比+2.9%だった。上昇率は2023年12月~2024年1月(+0.3%)を直近ボトムにしており、5月(+2.6%)から一段と拡大した。内訳をみると、電気・ガス代の補助金が半減した影響などから、電気・都市ガス・水道は+0.1%と、5月(▲7.2%)からプラスに転じた。また、輸入物価指数の円ベースは+9.5%と5か月連続のプラスだった一方で、契約通貨ベースは+0.3%と、2023年3月(+0.1%)以来のプラスに転じた。円安とともに海外の原材料コストの上昇が今後のコストプッシュ圧力になる可能性がある。

[イスラエル/レバノン] 7月9日、レバノン国境近くのシリア領内で、イスラエルによるものとみられる攻撃で、直撃を受けた車両に乗っていたヒズボラ戦闘員2人が死亡した。うち1人は、過去にヒズボラ指導者ナスラッラー師のボディーガードだった人物。これに対する報復として、ヒズボラはゴラン高原に対し約40発のロケット弾を発射し、イスラエル人の民間人2人が死亡した。これに対し、さらにイスラエル側からレバノン南部への攻撃が行われた。2023年10月以降に始まったイスラエルとヒズボラの攻撃の応酬が、ここ1~2か月で激化している。

[米国/NATO] 7月9日、ワシントンで開催された、北大西洋条約機構(NATO)創設75周年を記念する式典にてバイデン大統領が演説を行った。NATOの同盟体制は時代の変化に適応し、かつてなく強固になっていると発言し、対ウクライナ支援の継続を訴え、米国市民もNATOの重要性を理解していると述べた。記念式典に先立って、ワシントン市内で講演を行ったサリバン大統領補佐官(国家安保担当)は、バイデン政権の安全保障政策の成果を強調し、NATO首脳会議を機に、ウクライナ支援、人工知能(AI)技術、偽情報対策、サイバーセキュリティに関する新たな取り組みが発表される予定と発言した。

[米国] 7月8日、共和党全国委員会(RNC)の政策綱領委員会は同党の公約である2024年政策綱領案を賛成84票、反対14票の賛成多数で採択した。7月15日から開催される共和党全国党大会で、RNCの委員らの採決により承認される手続きとなる。政策綱領案ではトランプ前大統領の主張が色濃く反映されているのが特徴であり、米国第一主義に基づく経済政策の実施、国境管理・不法移民対策の強化、中国に対する最恵国待遇(MFN)の撤回等が規定されている。

[ロシア/ウクライナ] 7月9日、国連安全保障理事会は、ウクライナの首都キーウの小児病院などを標的としたウクライナ各地でのロシア軍によるミサイル攻撃を受け、緊急会合を開いた。ウクライナや日米英などがロシアを相次いで非難する中、ロシアのネベンジャ国連大使は「ウクライナの防空ミサイルによるものだ」と反論した。ウクライナ当局は、キーウなどウクライナ各地に向けた7月8日のロシアの大規模なミサイル攻撃による死者が46人に達したと発表した。負傷者は190人となった。

[ハンガリー] オルバン首相が7月5日にロシア、7月8日に中国を訪問した。同氏はこれら2か国への訪問を「平和ミッション」と位置付けているが、ボレル上級代表などEU機関上層部は、オルバン氏はEU議長であってもEUを代表しておらず、またEUの外交権限は付与されていないと反発している。

[中国/米国] ブルームバーグ紙は、米マイクロソフト社が中国で働く従業員に対し、9月から仕事でのiPhoneの使用を義務付ける予定と報じている。この措置は、同社のハッカー対策強化の取り組みの一環であり、全従業員が同社のMicrosoft Authenticatorやidentity Passといったアプリを使用できるようにすることを目的としている。中国ではGoogle Playが利用できないため、これらのアプリが使用可能となるよう、iPhone15を支給するとしている。5月には、同社は人工知能に関わる中国で働く従業員700~800人に対し、中国国外への転勤を命じたとの報道もあった。

[インド/ロシア] インドのモディ首相が7月8日から9日までロシアを公式訪問し、モスクワでプーチン大統領と会談した。同首相のロシア訪問は約5年ぶりで、2022年2月からのロシアのウクライナ侵略以降で初めて。共同声明では、2030年までに両国の貿易額を1,000億ドルまで拡大する目標を掲げ、インドからロシアへの輸出を増やす必要性を明記した。軍事協力を推進し、兵器の部品等の共同生産の促進で合意した。ウクライナ侵攻については、対話と外交による平和的解決が必要だとした。モディ首相は7月8日にロシアのミサイルがキーウの小児病院に着弾したことを念頭に、「無実の子どもが死ぬことは心が痛む」と述べた。

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