デイリー・アップデート

2024年7月3日 (水)

[バングラデシュ] 政府は、ほぼすべてのセクターに対して輸出補助金をさらに削減し、財政への圧力を軽減するとともに、2026年11月に後発途上国(LDC)から卒業した後に、政府支援なしの輸出を目指している。2024年2月から6月にかけて、政府は輸出収益に対する現金支給を初めて削減し、その範囲を1~15%内に設定した。以前の最高率は20%であった。2024年6月30日、バングラデシュ銀行は、2024/25会計年度(2024年7月から2025年6月)からは、輸出補助金を0.3~10%の範囲で設定した。この変更は、世界貿易機関(WTO)が現金インセンティブを輸出補助金とみなしているためである。

[ケニア] 増税を含む「2024財政法案」とウィリアム・ルト大統領に対する抗議デモが続いている。7月2日に首都ナイロビや第二都市モンバサ等で起きた若者らによるデモでは、治安部隊が催涙ガスを使用するなどして死傷者が出たと報じられている。7月1日、ケニア国家人権委員会はこれまでのデモで少なくとも39人が死亡し、361人が負傷したと発表した。ルト大統領は同財政法案の撤回を発表し、国民との対話を提案している。また、増税を実施しない場合は歳出削減と新たな借入が必要になるとケニアの厳しい財政状況を国民に説明し、理解を求めているが、これに対しても反発が起きている。抗議活動は今後も続くとみられ、大手格付け機関による評価の見直しの可能性も含め、経済への影響が懸念される。

[オランダ] 2023年11月の選挙以来、223日の空白期間を経て7月2日にショーフ政権が発足した。シューフ首相は元キャリア官僚で無所属だが、極右自由党のウィルダース党首の指名であることから、極右政党の影響を強く受ける政権運営が予想される。

[中国/台湾] 7月2日夜、台湾の金門島周辺で漁をしていた台湾の漁船が、中国海警船によって臨検調査を受け、漁船から助けを求められた台湾海巡署の船が抗議するも、海警船3隻によって拿捕され、中国側に連行されたと台湾当局が発表した。2月に金門島周辺で中国の船が転覆し中国人2名が死亡してから、中国は台湾が設定する禁止水域への進入を繰り返している。台湾船の拿捕は、中国側による台湾への圧力強化の一環とみられる。

[トルコ/シリア] トルコ中部の町で、シリア人の男が7歳のシリア人の女の子に公衆トイレで性的暴行を行った疑いで逮捕されたというニュースがSNSで拡散され、怒ったトルコ人がシリア人の経営する店を襲撃し車などに放火する騒ぎとなった。騒動は県を超えて広がっており、トルコの内相はシリア人に対する暴力行為でトルコ人474人を拘束したと発表した。2011年のシリア内戦以降、大勢のシリア人がトルコに流入し、現在約360万人のシリア人がトルコに居住している。近年のトルコ経済悪化とともにシリア人難民に対する反感・憎悪も高まっている。

[アルゼンチン/ブラジル] 7月1日にアルゼンチンの大統領報道官は、ミレイ大統領が2023年12月の大統領就任後初めて隣国ブラジルを今週末訪問すると発表したが、ブラジル訪問中にルーラ大統領との首脳会談は実施せず、ルーラ氏の政敵であるボルソナロ前大統領と会談することが決定している。南米の二大主要国の首脳が対立を深める中、二国間関係の改善に向けた動きが停滞することのみならず、地域協力の推進等の分野でも支障が出ている。

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