デイリー・アップデート

2024年7月24日 (水)

[ナイジェリア] 7月23日、中央銀行(CBN)は金融政策委員会を開催し、政策金利を+26.25%から+26.75%に引き上げると発表した。利上げは12会合連続となった。直近のインフレ率は食品とエネルギー価格の上昇により+34.19%と、19か月連続の上昇が続いていることから、さらなる金融引き締めに踏み切ったとしている。インフレの急伸と高金利は国民生活に大きな影響をもたらしており、SNS上では生活に困窮し、政府に不満を持つ若者らが中心となって8月1日から全国規模のデモを行うとの予告が広まっている中、ボラ・ティヌブ大統領はデモの取りやめを国民に呼びかけている。

[ベネズエラ] 大統領選挙が迫る中、同国のインフレ率はここ数年で最低水準にある。しかし、労働者らは給与が物価に追いついていないと不満を訴えている。この日曜日(21日)、大統領再選を目指すベネズエラのマドゥロ大統領は、6月のインフレ率が1%だったことが示されると、「正しい政策でインフレを減速させた」と主張した。信用の拡張を制限し、為替レートを固定させ、公共支出を抑制したことで、かつて年率13万%といわれていたハイパーインフレは過去1年間に50%へと低下した。しかし、購買力は大きく棄損しており、回復の見込みが見えてこないことで、野党候補ゴンザレス氏への支持は高い。マドゥロ大統領が敗北したとしても政権移行が行われないのではないか、との悲観的な見方もある。

[インド] 7月23日、シタラマン財務相は、2024/25年度(2024年4月~2025年3月)の国家予算案を発表した。歳出総額は前年度比+7.0%の48兆2,051億ルピー(約90兆円)とされ、そのうち、公共インフラを中心とした資本支出は+11.0%の11兆1,111億ルピーとされた。4~6月の下院総選挙を経て、モディ政権は3期目に入ったが、総選挙では予想外にも単独過半数を失ったため、その主因であった雇用創出の失敗を意識し、農業や雇用を重視する姿勢を示した。税収については、経済成長に伴う法人税やGSTの増加のほか、インド準備銀行の「埋蔵金」活用、つまり中銀からの配当の移転により歳入増となり、財政赤字の対GDP比が4.9%(2月時点の暫定予算5.1%から縮小)と前年度の実績値である5.6%から縮小することを見込んでいる。

[日本] 日本銀行「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」によると、6月の加重中央値は前年比+1.4%だった。上昇率は5月(+1.3%)から拡大した。2023年10月(+2.2%)に比較可能な2001年以降で過去最高を付けた後、2024年4月(+1.1%)まで縮小した後、2か月連続で拡大した。また、最頻値は+1.6%と、5月(+1.5%)から小幅に拡大した。物価の基調は春を底に再び強まりつつあるようだ。ただし、日銀が想定していたコストプッシュ型の物価上昇から賃金・物価の好循環への転換には、時間がかかりそうだ。

[米国] 11月5日の米国大統領選挙の投票日まで約100日となったが、再選キャンペーンからの撤退を表明したバイデン大統領から後継指名を受けたハリス副大統領は、自らの副大統領候補を選ぶことが喫緊の課題となっている。ハリス氏はカリフォルニア州出身で女性かつ非白人であるため、副大統領候補には「激戦州」の白人男性の政治家を指名するのではないかと憶測されており、ペンシルベニア州のシャピロ知事やノースカロライナ州のクーパー知事らが候補者として取り沙汰されている。

[ロシア/日本] 7月23日、ロシア外務省は、ウクライナ侵攻に対する日本の対ロシア制裁への対抗措置として、トヨタ自動車の豊田章男会長や楽天グループの三木谷浩史会長兼社長ら日本人13人を無期限で入国禁止にすると発表した。ロシアは以前、2022年5月に岸田文雄首相らを入国禁止にしている。

[欧州/米国] バイデン米大統領の大統領選挙への出馬撤回に関し、大統領選はアメリカ国民の判断によるものとして、欧州各国の首脳は干渉を回避している。ショルツ首相などは、バイデン大統領の功績を称賛し、撤退の判断を尊重するコメントを出した。一方、ボレルEU上級代表などからは、民主党からの候補への期待を寄せる発言があった。

[ミャンマー] 7月22日、軍政は、ミンアウンフライン国軍司令官が暫定大統領の代行を兼務すると発表した。これに先立ち、7月19日にミンスエ暫定大統領は7月30日まで病気療養に入ったと発表されていた。非常事態宣言の期限が7月31日に到来する直前のタイミングでの発表となる。非常事態宣言を延長するか解除するかの決定は国防治安評議会が行うが、大統領は同評議会の招集権限を持ち、議長も務める。

[米国] 7月23日、財務省は、対米外国投資委員会(CFIUS)の2023年活動報告書を発表した。CFIUSとは、省庁横断型の委員会で、国家安全保障の観点から対米投資を審査する。2023年の簡易届出が109件、正式届出は233件で、いずれも任意の申請であり、昨年値を下回った。大統領権限で投資停止を命じた案件は、昨年同様なかった。正式届出を行った投資企業を国籍別に見ると、中国33件、アラブ首長国連邦22件、英国19件、シンガポール19件、カナダ16件が上位5か国で、日本企業は15件だった。産業分野としては、専門・科学・技術サービスの投資案件が多い。

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