デイリー・アップデート

2024年7月19日 (金)

[南アフリカ] 7月18日、南アフリカ準備銀行(SARB)は金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を8.25%で維持すると決定した。据え置きは2023年5月の利上げ以来、7会合連続となった。レセチャ・ガニャゴ総裁は、直近5月のインフレ率は+5.2%であり、2025年のインフレ期待は+5.0%と、中銀の目標値である+4.5%を上回っていることを据え置きの主な理由とした。しかし通貨ランドは中銀の通年の見通しである1ドル=18.35ランドを上回る状況(7月18日時点で1ドル=18.18ランド)であることから、中期的にはインフレ率は目標値に近づいていくとの見通しを示した。次回9月のMPCで利下げが行われるとの観測が広がっている。

[ASEAN+3] 7月16日、シンガポールにある国際調査機関の東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓から成るASEAN+3(マクロ経済調査事務局(AMRO))は、好調な輸出、堅調な国内需要、観光の継続的な回復が寄与し、同地域の2024年、2025年の経済成長率はそれぞれ+4.4%(4月時点は+4.5%)、+4.3%(同+4.2%)と堅調に推移する見通しを示した。観光は地域のほとんどの経済においてパンデミック前の水準に近づき、世界的な半導体の回復はASEAN+3にとって追い風となっている。一方、2025年の同地域の経済見通しが米国大統領選挙の結果によって大きく影響を受ける可能性があると指摘した。

[ユーロ圏] 欧州中央銀行(ECB)は7月18日の理事会で、政策金利を据え置くことを決定した。6月に0.25%引き下げたものの、7月は様子見になった。直近の経済指標は、前回示した中期見通しをおおむね裏付けるものだったと評価、5月の物価上昇の拡大は一時的な要因によるものであり、6月以降は安定していると分析した。ただし、サービス価格が高止まりするなど、国内の物価上昇圧力が依然として強いことに警戒感を見せ、9月の理事会でもデータ依存と、会合ごとに政策金利を決定する姿勢を引き続き示した。

[ペルー] 2019~24年の過去5年間で6人の大統領が交代するなど政治的な不安定さが続くが、支持率がわずか5%と低迷するボルアルテ大統領は、2026年までの任期を全うする意向を示している。そんな中、カスティージョ氏、トレド氏、フジモリ氏などの元大統領が次期大統領選の出馬を表明。裁判で係争中の候補者もおり、出馬の可否が不透明なケースも考えられる上、有力な候補者もおらず、不安定さは続く。

[イスラエル/パレスチナ] 7月18日、イスラエルの国会は、賛成68票、反対9票の圧倒的多数で、パレスチナ国家樹立に反対する決議を可決した。決議の中で、パレスチナ国家の樹立はイスラエルの存続に対する脅威であると指摘している。5月以降にもスペインやノルウェーなどパレスチナを国家承認する国が増える中で、国連や国際社会の多くの国が求めるパレスチナとイスラエルの2つの国が共存する「2国家解決案」を明確に拒否した形。パレスチナ自治政府は同決議を非難、国連や諸外国は同決議に失望を表明している。

[米国] コストコが25年間保存可能な食品が入った「黙示録バケツ」を販売。「Readywise Emergency Food Bucket」と名付けられたこの商品は79.99ドルで販売されており、商品説明には「生き延びることだけが目的ではありません。目的は、困難な時期に平常心、快適さ、さらには楽しみを維持することです」と書かれている。150食分の食事が詰められており、パスタ、トマトバジルスープ、チーズマカロニ、アップルシナモンシリアルなど多岐に渡っている。フリーズドライ食品が多く含まれているので、水の準備は別に必要だ。保存食としてだけではなくキャンプで利用するといった声や、こうした商品を売り出すコストコは混乱が起こることを知っているのではないか、との陰謀論めいた話題も集めている。

[ウクライナ] ウクライナ政府は債務200億ドルの再編を巡る海外の債券保有者グループとの公式協議を始めた。同国は2022年2月のロシアによる侵攻の直後、外貨建ての債券について返済を2年間凍結することで債権者と合意したが、この凍結期間は2024年8月に終了する。合意に至らない場合、デフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある。債権者側は20%のヘアカットには応じる姿勢を示しているが、ウクライナ政府は最大60%のヘアカットにつながる提案をしている。

[フランス] 7月18日の国民議会で、現職で中道連合「アンサンブル」に所属するヤエル・ブロン=ピヴェ議長が再選された。中道右派の共和党所属議員が支持したことが理由とみられるが、共和党とアンサンブルの連立政権発足は困難とみられる。

[中国] 中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が7月18日にコミュニケ(声明)を発表して閉幕した。コミュニケは大まかな方針を示すのみで、具体的な政策は今後発表されるコミュニケ全文と月末の政治局会議の内容を見る必要があるが、国家統制重視の経済成長と、開放を同時に強調している点は従来打ち出されてきた方針の延長である。2029年までに改革の任務を完成させると明記した。経済成長について5%前後の目標を今年度も、おそらく来年度も維持すると思わせる書きぶりになっている。人民解放軍の将校2名が新たに失脚したことが明らかになった。秦剛元外相は中央委員を解任されたものの(自ら辞任を申し出たとの扱い)共産党員のままであり、温情的措置となった。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

20人が「いいね!」と言っています。
<  2024年7月  >
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31