デイリー・アップデート

2024年7月9日 (火)

[南アフリカ] 7月8日、ラマポーザ大統領は、電力公社Eskomによる計画停電が100日以上実施されていないことを称賛しながらも、電力改革は道半ばであり、気を抜くべきではないと国民に述べた。2023年は330日以上計画停電が実施され、製造業をはじめ経済に大きな打撃を与えたが、Eskomによると既存の発電施設のメンテナンスの改善や新設の石炭火力発電所(800MW)の系統接続により電力供給の見通しは今後も明るいとしている。他方で同国は、依然として総発電容量の約8割を石炭火力に依存し、英国やフランスを上回る温室効果ガスを排出していることから、ラマクゴパ・電力エネルギー大臣は「再生可能エネルギーをこれまで以上に積極的に導入する」と表明している。

[タイ/韓国] 7月8日、韓国貿易省およびタイ商務省は、両国間で自由貿易協定(FTA)交渉を開始すると発表した。7月9~11日に第1回会合をタイで開催する。両国は、ASEAN・韓国自由貿易協定(AKFTA)と地域的包括的経済連携(RCEP)に参加しているが、タイは韓国の大企業やスタートアップを誘致するため、韓国と2国間でのFTAを締結したい意向を示している。また、タイが現在誘致を目指している韓国企業には、 電気自動車メーカー、EV部品メーカー、情報技術企業が含まれる。2023年の両国の貿易額は147億3,000万ドルとなり、うちタイから韓国への輸出額が60億7,000万ドル、韓国からの輸入額が86億6,000万ドルだった。

[米国] ニューヨーク連邦銀行の6月の「消費者期待調査」によると、1年先の期待インフレ率は3.0%となり、5月の3.2%から低下した。3年先の期待インフレ率は2.9%と5月から0.1pt上昇した一方で、5年先の期待インフレ率は2.8%と0.2pt低下した。物価上昇率の縮小とともに、期待インフレ率もコロナ禍前の水準に戻りつつある。また、ガソリンや食品、家賃などの1年先の価格上昇見通しも落ち着きつつある。

[米国] インフレの起点ともなった木材価格が急落している。木材バブルは住宅建設費高騰の原因となったが、いまや単なる昔ばなしになってしまった。ランダム・レングスのフレーミング材複合価格指数によると、スポット材価格は2021年5月の過去最高値である1,514ドル/1,000ボードフィートから75%も急落し、今週はわずか366ドル、パンデミック前の水準とほぼ同等となった。先物市場では過去90日間で特に劇的で、7月には28%下落し、443ドルとなっている。価格上昇で需要が冷え込んだところに、金利低下や住宅販売増に対する楽観的な期待を背景に製材所が稼働率を上げたことで、需給バランスはひどく悪化した。史上最安値まであと少しの「逆ウッドショック」

[米国] 6月27日に行われた第1回大統領候補テレビ討論会でのバイデン大統領の弱々しいパフォーマンスをきっかけとして、民主党内では、バイデン氏ではトランプ前大統領に対して勝利を望めないため、新たな大統領候補を擁立すべきとする意見が浮上してきている。仮にバイデン氏が再出馬を断念して撤退を表明した場合、8月19日からイリノイ州シカゴで開催される民主党全国党大会は新たな大統領候補を指名するオープン・コンベンションとなり、その可能性も指摘され始めている。

[中国/ハンガリー] 7月8日、ハンガリーのオルバン首相は北京で習近平国家主席と会談した。両首脳が会談するのは5月に習氏がハンガリーを訪れて以来で2か月ぶり。中国側の発表では、習氏はハンガリーがEU議長国となったことを祝い、2025年の中国とEUの関係樹立50周年に向け、ハンガリーが両者の健全で安定した発展を促進することを期待すると述べた。また、両首脳は「ウクライナ危機」について深い意見交換を行ったとしており、習氏は早期の停戦を通じて政治的解決を図ることがすべての当事者の利益になると強調した。

[フィリピン/日本] 7月8日、日比両国がマルコス政権下で初となる外務・防衛閣僚協議(2+2)をマニラで開催した。双方は自衛隊とフィリピン軍の相互往来を容易にする「円滑化協定(RAA)」に署名した。日本は米比合同演習「バリカタン」に自衛隊を本格的に参加させる方針。また防衛装備・技術協力や政府安全保障能力強化支援(OSA)を含む能力構築における協力を継続・強化することを確認した。共同文書が発表され、南シナ海でのフィリピン軍に対する中国の行動について「航行の自由や補給線を妨害し、危険かつエスカレートしている」として深刻な懸念を表明した。

[イラン/イスラエル] 7月5日のイランの大統領選決選投票で勝利したペゼシュキアン次期大統領(8月就任予定)は、レバノンのシーア派組織ヒズボラの指導者であるナスラッラー師にあてたメッセージで、今後もイランは「非合法なシオニスト政権(イスラエル)に対する抵抗運動であるヒズボラを力強く支援する」とし、欧米との関係改善を目指す外交方針を表明しているペゼシュキアン次期政権においてもイランの反イスラエル姿勢には変化がないことが再確認された。

[米国] 7月8日、米財務省は、同省が所管する対米外国投資委員会(CFIUS)の監視対象となる米軍関連施設を新たに59か所追加する、と発表した。これによって、CFIUS監視対象となる、米軍や国家安全保障に係る政府施設の数は227か所となり、外国人がこれら軍事拠点近隣の不動産取引を行う場合は、CFIUSによる審査を受けることになる。2018年の法改正により、対米投資審査が厳しくなっており、特定の軍事施設周辺の不動産取得も審査の対象になった。

[インド/ロシア] 7月8日、インドのモディ首相はロシアを訪問し、首都モスクワでプーチン大統領と非公式会談を行った。9日に閣僚らも参加した首脳会談を行う予定。訪問は2019年9月以来で、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始後は初めて。モディ氏3期目首相就任後初の海外公式訪問となり、旧ソ連時代からの友好関係を維持してきたロシアを重視する姿勢を示した。

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