2024年7月1日 (月)
[南アフリカ] 6月30日、シリル・ラマポーザ大統領は国民演説を実施し、新内閣を発表した。同氏は政党間の垣根を超えた「国民統一政府(GNU)」に11の政党が参加したことから、国民の多様な意見を新政権の閣僚人事に反映する必要があり、調整に時間を要したと説明した。第一党のアフリカ民族会議(ANC)所属のポール・マシャティレ副大統領、エノック・ゴドングワナ財相は留任となった一方で、農業相に第二党・民主同盟(DA)のジョン・スティーンハイゼン党首が就任するなど、32の大臣級ポストのうち12がANC以外の政党から選出された。なお、新政権ではエネルギー省と電力省が統合され、公共企業省は廃止となったが、鉱物石油資源省を含む4つの省庁が分離・独立したことにより省庁の数は増加した。
[米国] 6月27日にジョージア州アトランタで行われた第1回米国大統領候補テレビ討論会でバイデン大統領が弱々しく不安定な振る舞いを露呈したことで、有権者は従来から懸念されていた健康問題や判断力に対して疑念を強める結果となった。6月28日と29日の両日でCBS News/YouGovが実施し、6月30日に公表した最新世論調査では、72%の回答者がバイデン氏は再出馬すべきではないと回答し、2024年2月時点の63%から9ptも上昇したことが明らかになった。
[ベトナム] 6月29日、統計総局が発表した第2四半期の実質GDP成長率は、前年同期比+6.93%となり、第1四半期の+5.87%から加速した。輸出が好調だったため製造業が+10.04%となり全体を押し上げた。政府通年目標である+6~6.5%の成長率達成に近づいてきた。ただし、インフレが加速していることが、懸念事項となっている。
[日本] 日本銀行『短観』によると、大企業製造業の業況判断指数(「良い」-「悪い」、%pt)は+13だった。前回3月調査(+11)から2ポイント上昇、2四半期ぶりに改善した。大企業非製造業の業況判断指数は3月の+34から今回の+33へと小幅に低下したものの、引き続き高水準を維持した。また、原材料コストなど仕入価格が上昇しており、それを販売価格に転嫁する動きが継続する見通しだ。物価全般の見通しは全規模・全産業で、1年後2.4%、3年後2.3%、5年後2.2%となり、3年後と5年後はそれぞれ0.1pt上方修正された。
[ミャンマー/中国] 6月28日、ミャンマーのテインセイン元大統領が中国の「平和共存5原則」発表70年の記念大会に出席するために北京を訪問し、主催者の習近平国家主席と握手した。29日には王毅外相と会談した。同記念大会にはルセフ元ブラジル大統領・新開発銀行総裁、ラジャパクサ元スリランカ大統領、鳩山元首相らが出席した。2021年2月のクーデター以降、ミャンマー軍政からはワナマウンルウィン「外相」が訪中しているが、ミンアウンフライン国軍司令官はまだ訪中していない。
[イラン] 6月28日、イランで大統領選挙が実施された。投票率は、イランでイスラム革命以降に実施した選挙の中で過去最低の40%。得票率50%を獲得する候補者がいなかったため、首位だった唯一の改革派候補ペゼシュキアン氏(得票率42.6%)と、次点となった保守強硬派候補のジャリリ氏(同38.8%)の上位2人で、7月5日に決選投票が実施されることになった。決選投票では保守派票が集約されるとみられるが、今回投票しなかった改革派支持層にいかに投票させることができるかが、結果に影響するとみられている。
[米国] 6月28日、米最高裁は、連邦法の規定が曖昧である場合、連邦政府の法解釈が合理的であればその判断を尊重し、それに基づく規制行為を認めるとしてきた従来の判例を覆した。これによって、環境、労働、消費者保護などの分野における連邦規制の多くが、今後は法定闘争に持ち込まれる可能性が高くなった。最高裁は、連邦規制に係る過去の判決に影響を及ぼすものではないと述べている。今回の訴訟は、ニシン漁師が乱獲監視員の費用負担について商務省を提訴したものだったが、判決の影響は広範囲に及ぶと観測されている。
[フランス] 6月30日に行われたフランスの国民議会第1回投票で、極右国民連合の得票率が33.2%で首位の結果となった。2位につけたのは左派連合の新人民戦線の28.1%で、与党アンサンブルは21%にとどまり3位となった。7月7日に決選投票が予定されているが、国民連合が第1党になることが予想される。
[中国] 6月29日、中国国務院は「レアアース管理条例」を公布した。10月1日から施行される。レアアースは国家に帰属すると明言し、採掘や利用の管理を強化する。他にも、レアアースの違法採掘や密輸に対する罰則を強化すること、レアアースの採掘・精錬・販売などを管理するためにトレーサビリティ・データベースを運用すること、レアアースの戦略的備蓄を実施し、国務院の立てた計画に従い県以上の地方政府が管理すること、採掘には中央の承認が必要などと定められている。2021年1月に条例草案が発表され、パブリック・コメントを募集していた。
[ロシア/米国] 6月28日、プーチン大統領は、核兵器を搭載可能な中・短距離ミサイルの生産を再開し、「配備を進めることが必要だ」と述べた。欧州やアジアで同種ミサイルの配備を進める米国への対抗措置だと主張した。米国との中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効後に自制していたが、方針を転換した。米ロの軍拡競争が激化しそうだ。
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