デイリー・アップデート

2024年7月4日 (木)

[アルゼンチン] 4月の経済活動月次推計は前年同月比▲1.7%、1~4月の累計では▲4.2%となった。ミレイ大統領は3月か4月に景気が底を打ち、V字回復すると予想していたが、消費は弱く、その兆しは見えない。不況が長引けば支持率が低下し、社会不満の台頭や、統治能力の低下が懸念される。

[米国/サブサハラ] 7月1日、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は、7月24~26日にワシントンで第21回米国・サブサハラ・アフリカ貿易経済開発フォーラム(通称、AGOAフォーラム)を開催すると発表した。2000年に発効したAGOA(アフリカ成長機会法)は、サブサハラ・アフリカ諸国から米国への輸出にあたり約6,800以上の品目を無税にするもので、現在32の国が受益国の認定を受けている。AGOAは2025年9月に失効を迎える予定だが、バイデン大統領は延長を表明しており、2041年まで有効期間を延長する法案が連邦議会に提出されている。6月28日にUSTRが発表した隔年報告書によると、2023年のAGOAを通じた米国の輸入額は97億ドル(うち42億ドルが原油)で、国別上位ではナイジェリア(38億ドル)、南アフリカ(36億ドル)、ケニア(5億ドル)となった。

[米国] 農務省は2月に発表した年次予測で、米国の農業部門収入は過去最高を記録した2022年以降、2年連続で大きく落ち込むと予想。南米やロシアの大量供給と、輸入業者・食肉加工業者からの需要減少で、トウモロコシ・大豆・小麦などの価格は現在3年半ぶり安値圏で低迷し、干ばつと資材価格や金利の高騰にも圧迫されている。米国経済は全体で見れば好調だが、商務省経済分析局(BEA)が6月末に公表した2024年第1四半期の州別GDP成長率は、全米で年率1.4%のところ、サウスダコタ▲4.2%、ノースダコタ・カンザス▲3.9%、アイオワ▲3.1%、ネブラスカ▲3.1%など農林水産業が成長率を押し下げている州はマイナス成長。7月2日にCMEとパデュー大学が発表した月次の農業センチメント指数も、6月は現況指数・期待指数ともに低下した。

[アイルランド] アイリッシュタイムズが報じているところでは、アイルランド国民の大半は持続可能な製品に高い価格を払うことを望んでいない。アイルランドのファッション企業ペニーズの調査によると、回答者の75%は衣服やアクセサリーの購入時には価格を重視している。消費習慣が地球に与えているダメージを認識はしているが、持続可能な商品にプレミアムを支払うことを望んでいないし、支払ったとしても10%以上多く支払う意思はないとの結果となっている。別の調査によれば、消費者の57%は環境保護のためには不要な製品は買わないようにしているが、54%は持続可能な商品にプレミアムを支払う気はないという。アイルランドでの調査になるが、世界の多くの地域では消費者の意識は同様ではないか。

[バングラデシュ/中国] シェイク・ハシナ首相は、7月8日から11日の中国訪問中に、200億ドルの新たな融資を求める予定である。このうち150億ドルはインフラプロジェクトのため、50億ドルは中国からの輸入支払い円滑化のためとされている。同国は、ドル不足と外貨準備高不足に対処するため、中国を含む諸外国からの融資を求めている。6月末の外貨準備は輸入額の4か月分程度に相当する217億9,000万ドルとなっており、適切とされる6か月分を下回っている。また、訪問中には、自由貿易協定(FTA)交渉開始の発表も行われる可能性がある。

[米国] 労働省によると、6月29日までの1週間の新規失業保険申請件数は23.8万件だった。前週から0.4万件増加。増加は3週ぶりのことだった。また、6月22日までの1週間の継続受給者数は185.8万人となり、前週から+2.6万人と、9週連続で増加した。足元の受給者数は、2013年同時期よりも多い状態が続いており、雇用環境に変化が見られている。

[米国] ニューヨーク・タイムズ/シエナ・カレッジは、6月28日から7月2日までの5日間、全米の登録有権者1,532人を対象とした最新世論調査を実施し、7月3日公表した。バイデン大統領が弱々しいパフォーマンスを示したテレビ討論会直後の最新世論調査結果として非常に注目されていたが、トランプ支持49%、バイデン支持42%との結果が示され、テレビ討論会前の前回調査と比較してトランプ氏の優位は6pt拡大したことが判明した。回答者の74%が、バイデン氏が「高齢すぎる」と回答した。

[ロシア/中国/カザフスタン] 6月3日、上海協力機構(SCO)首脳会議に出席するプーチン大統領は、開催地となっている中央アジア・カザフスタンの首都アスタナを訪問し、中国の習近平国家主席やトルコのエルドアン大統領、カザフスタンのトカエフ大統領などと会談した。プーチン大統領は習国家主席との会談の際、中ロ関係が「史上最良だ」と評価し、対立する米欧をにらんで関係強化を続けると表明した。

[EU/ハンガリー/ウクライナ] 7月2日にハンガリーのオルバン首相がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領らと会談した。親ロシアのオルバン首相は7月1日にEU議長国に就任しており、平和の仲介役としてゼレンスキー大統領に即時停戦を要請した。

[イスラエル/レバノン/米国/フランス] 7月3日、イスラエル軍は、レバノン南部ティーレ近郊でヒズボラの幹部指揮官をドローンによる攻撃で殺害したことを明らかにした。6月に殺害された指揮官と同ランクの人物とみられる。これに対し、同日レバノンからイスラエル北部に向けて100発以上のロケット弾が発射された。2023年1月のイスラエルによるガザ攻撃開始以来、ヒズボラとイスラエルとの間での攻撃の応酬は日常化しているが、特にここ1カ月ほど応酬の激化が見られており、米国やフランスは同地の緊張緩和に向けて外交努力を続けている。

[米国] 7月2日、バイデン大統領と全米民主党知事との会談がホワイトハウスで行われた。全米23名の民主党州知事のうち8名が対面参加し、残りの知事はオンライン形式で臨んだ。大統領は選挙戦継続の意思を改めて表明し、知事からの賛同を得たもよう。6月27日に行われた大統領候補討論会にて、バイデン大統領の心身の衰えが著しいとの認識が広まり、民主党内では大統領候補の差し替え論すら出ている。今回の会談は民主党知事側の求めに応じて実現したもので、7月5日には大統領はテレビ・メディアとの単独インタビューに出演し、さらに民主党議会指導部との会談も行われる予定となっている。

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