デイリー・アップデート

2024年7月8日 (月)

[チリ] 5月の経済活動指数(Imacec)は前月比▲0.4%となり、3か月連続のマイナスとなった。非鉱業部門(前月比▲0.5%)が下落をけん引し、特に製造業が悪化した(前月比▲2.3%)。来週発表されるインフレ率が下振れするようなことがあれば、更なる政策金利の引き下げも考えられる。

[サヘル諸国] 7月6日、ニジェール、マリ、ブルキナファソは「第一回サヘル諸国連合(AES)サミット」を開催し、3か国の政治・経済的協力を強化する同盟条約に調印した。治安の悪化によりクーデターが発生し、軍事政権下にある同3か国は独自に横の連携を強化。1月に西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)から脱退を発表し、旧宗主国であるフランス等、西側諸国への反発姿勢を鮮明にする一方で、ロシアやトルコとの関係を強化している。7月7日にナイジェリアで開催されたECOWAS首脳会議において、3か国との対話を目的としてセネガルのバシル・ファイ大統領が特使に任命された。ECOWASは地域内の緊張の高まりを受け、2月に対ニジェール向け経済制裁を大幅に緩和したが、関係改善の兆しはみられない。

[パキスタン] 7月1日のパキスタン統計局の発表によると、6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+12.6%となり、5月の30か月ぶりの低水準である+11.8%から加速した。燃料と液化石油ガス価格の上昇に伴い電気料金が引き上げられ、CPIの23.6%を占める住宅部門が前年同月比+35.3%と大幅に加速したほか、さまざまなセクターで価格が上昇した。5.9%を占める輸送部門も依然として高水準(+10.4%)だった。1月~6月の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比+18.9%だった。

[米国] 労働省によると、6月の非農業部門雇用者数は前月比+20.6万人となった。一方で、4~5月分は下方修正され、6月までの3か月移動平均は+17.7万人となり、2019年並みの増加ペースになった。また、失業率は4.1%と、5月から0.1pt上昇して、2021年11月以来の高水準になった。6月の平均時給は前年同月比+3.9%となり、4%を下回った。雇用環境の軟化から、市場では利下げ観測がやや強まった。

[米国] 6月27日に行われた第1回米国大統領候補テレビ討論会で弱々しいパフォーマンスを示したバイデン大統領は、7月5日、民主党内から浮上する撤退要求に対してABC Newsの単独取材に応じ、再出馬から撤退しない意向を改めて表明した。だが、同単独取材の翌日7月6日には、ミネソタ州第2区選出のクレイグ下院議員が民主党下院議員としては5人目となるバイデン撤退を訴え、7月9日から米議会の審議が再開される中、党内の動揺はさらに広がるとみられる。

[ミャンマー] 7月1日、米共和党のビル・ハイゼンガ下院議員が超党派の下院議員による「ビルマに関する連邦議会議員連盟」の初集会において、ミャンマー国民の保護と軍政への制裁強化を目的とした法案「BRAVE Burma Act」を発表した。同法案は、毎年、大統領に対し、国軍系企業のミャンマー石油ガス公社(MOGE)、国営ミャンマー経済銀行(MEB)、航空機燃油の供給に関与する外国人に対する制裁を強化するかの決定を求めている。財務長官に対し、軍政の統治が続く限り、IMFにおけるミャンマーの立場を抑制し、議決権や資金調達も制限できるよう求め、国務省に対し、ミャンマーに関する戦略を策定する役目を担う「ビルマ民主化特別調整官」の任命を求めている。ハイゼンガ議員は軍政の主要な資金源を断ち、民間人に対する空爆の能力を低下させるものと説明した。

[イラン] 7月5日、イラン大統領選の決選投票が行われ、改革派のペゼシュキアン候補が得票率53.6%で保守強硬派のジャリリ候補に勝利した。第1回投票時よりも投票率が10%pt上昇し、無効票も約半減したことから、第1回投票で投票しなかった人たちの票を得たことが勝利に貢献した要因とみられる。ペゼシュキアン次期政権は欧米との関係改善や核合意の建て直しなどを目指すが、国内保守勢力との対立や欧米側の対応にも影響を受ける。今後、最高指導者による承認プロセスなどを経て、ペゼシュキアン氏は8月初めに議会で就任宣誓を行い大統領に就任する見込み。

[米国] 7月5日、トランプ前大統領は、政策提言集「プロジェクト2025」は自分とは無関係である、とSNS上で述べた。「プロジェクト2025」は米保守系シンクタンクであるヘリテージ財団が公表したもので、トランプ政権再発足を見据え、保守的な政策アイデアと政策人材をアピールするためのものだった。トランプ陣営は、従来より同プロジェクトとは距離を置いていたが、7月2日にヘリテージ財団所長から、「トランプ政権発足への抵抗があれば、さらなる流血事態すら起きかねない」と示唆する発言があり、各所から批判を浴びていたことも今回のトランプ発言の背景にあると観測される。

[フランス] 7月7日に行われた国民議会選挙の決選投票の出口調査によると、新人民戦線(左派連合)が第1党になるとの見通しが発表された。第1回投票後の獲得議席数予測では、極右の国民連合が第1党となる見込みだったが、アンサンブル(中道連合)と新人民戦線の「共和国戦線」により、200名以上の候補者が選挙から撤退し、極右候補に票が集中することを阻止したとみられる。

[中国] 香港紙SCMPは、内部関係者の話として、中国政府はすべての国営金融機関の年俸上限を300万人民元とする内規を設定する予定で、この措置は遡及的に適用され、過去数年間に300万元以上の収入を得ていた場合は超過分を会社に返還しなければならない可能性があるとしている。また、一部の大手金融会社が経費精算を密かに給与支払いとして使用するケースがあるため、規制当局は監視を強化している。この措置は「共同富裕」に沿ったものであり、地方政府の財政難とも関係がある可能性があるとしている。

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