デイリー・アップデート

2024年7月16日 (火)

[ナイジェリア] 7月15日、国家統計局(NBS)は6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+34.19%と発表した。5月の+33.95%からさらに上昇し、19か月連続の上昇となった。食品インフレ率は前年同月比で+40.87%、食品とエネルギーを除いたコア・インフレ率は同+27.40%といずれも5月より上昇した。7月23日に中銀(CBN)が開催する金融政策委員会(MPC)において、12期連続となる利上げが行われるとの見方が強いが、インフレ率の上昇は今月でピークを迎え、年末に向けて+30%を下回るとの予想が多い。

[中国] 7月15日、中国国家統計局は第2四半期(4~6月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比+4.7%だったと発表した。第1四半期(1~3月)の+5.3%から縮小した。GDPの減速は、消費が勢いに欠けたことが主な要因だった一方、製造業の設備投資の拡大と、2023年弱かった外需が回復し、成長を支えた。所得の増加に対する先行きへの不安が高まっていることに加え、不動産市場の低迷により、消費は抑制されている。今後数か月間、財政刺激策の強化と輸出の強さが、短期的に後押しするとみられる。

[米国] ある調査によれば、GoogleとMicrosoft(MS)は2023年、それぞれ24twhの電力を消費したが、両社の消費電力は、GDP787億ドルのアゼルバイジャンとほぼ同じ水準。なお、Googleの2023年の収益は3,074億ドル。MSは2,119億ドル。アイスランド、ガーナ、ドミニカ、チュニジアは、それぞれ19twhの電力を消費しており、リビア(25twh)やスロバキア(26twh)の電力消費量はGoogleやMSを辛うじて上回った。両社の業務は、これまではデータストレージやクラウドコンピューティングが中心だったが、AI向けサービスが拡充することで、より多くの電力消費が見込まれている。それぞれの企業価値は数兆ドルにも及び、事業規模は国経済にも匹敵することから、一挙手一投足に注目が集まる。

[ウクライナ/ロシア] ウクライナ国内で行われていた最新の世論調査では、回答者の約44%がロシアとの和平交渉の時期にあるとの見方を示し、35%が戦争を継続する必要があると回答した。一方、ロシアのプーチン大統領が提示した和平交渉開始の主な条件については8割以上のウクライナ国民が反対しており、依然として多くの人が領土割譲を支持しない考えを示している。

[NATO/ウクライナ/英国] 7月のNATOサミットで、対ウクライナ支援の継続・強化が合意された。特に注目されたのが、2024年夏ごろが目途とされるオランダとデンマークによるF-16供与だった。一方、7月に政権交代したばかりのイギリスからは、スターマー首相が英国の国際社会復帰とEUとの関係のリセットを宣言した。

[米国/中国] 選挙集会で演説中に銃撃されたトランプ前米大統領に対し、中国外交部は「トランプ前大統領に対する銃撃事件を懸念しており、習近平国家主席は前大統領にお見舞いの意を表明する」というシンプルな文言を発表したのみだが、中国のSNSでは非常に盛り上がっており、”トランプ同志”の強運を讃えたり、銃撃直後に同氏が手を振りかざしている写真のTシャツが売り出されたりした。他方、有識者は銃撃事件が多発する米国社会を批判するコラムを出している。中国政府はトランプ氏当選の確率が高まったとして、政権入りしそうな人々の情報収集を急ぎ、トランプ氏の政策に反感をもつ国々への外交攻勢を強めることが予想される。

[パキスタン] 7月13日、パキスタンの裁判所は、カーン元首相と妻に対し、イスラム法が定めた再婚禁止期間に違反して結婚した罪でそれぞれ禁錮7年と罰金50万パキスタンルピー(約28万円)を科した一審判決を覆し、無罪を言い渡した。これによりカーン元首相は釈放される見込みとなったが、捜査当局は同日、2023年の暴動に関する新たな容疑で同元首相を逮捕した。

[米国] 7月15日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで共和党全国党大会が開幕し、トランプ前大統領が同党の大統領候補に正式指名され、同党大会最終日の7月18日、トランプ氏は指名受諾演説を行う。同日、トランプ氏はともにホワイトハウス奪還を目指す副大統領候補にオハイオ州選出のバンス上院議員を指名した。バンス氏は米国第一主義に基づく経済政策、国境管理の強化、米国の対ウクライナ支援の継続反対を明確にしている親トランプ派であり、中西部の「激戦州」勝利を目指す。

[中国] 6月の消費者物価指数は前年比+0.2%と低かったが、豚肉価格は18.1%上昇、牛肉価格は13.4%下落。今年1~6月期の豚肉生産量は前年同期比▲1.7%の2,981万トンで、価格低迷・養豚業者の赤字拡大⇒減産のサイクルを経て豚肉価格が上向いたとみられる。但し、6月末時点の肥育豚頭数は前期比で増えている。米国農務省は7月12日に発表した「Livestock and Poultry」報告書で、中国国内での価格下落・生産増加で豚肉輸入は減少が続くと予想。2024年の豚肉輸入量は前年比▲21%の150万トンと、2019~2020年のアフリカ豚熱(ASF)流行前の水準に戻り、輸入が消費に占める割合は3%にとどまるとした。ちなみに、マレーシアのオンライン紙「Malay Mail」は、バドミントンのシャトルコックの値上がりは中国の豚肉価格値下がりが遠因で、(豚肉の代替となる)アヒルやガチョウなど家禽の飼育数が減り、羽毛が値上がりしたためだと報じている。

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