デイリー・アップデート

2024年7月12日 (金)

[中東] UAE・アブダビ国営石油会社(ADNOC)は、6月に最終投資決定を行ったRuwais LNGプロジェクトについて、パートナー4社との署名式を行った。本プロジェクトの総容量は年960万トンで、ADNOCのUAEでのLNG生産能力は約1,500万トンに倍増する。中東ではカタールが生産能力を2030年までに現行比+85%の1億4,200万トンとする計画。産油国サウジアラビアも天然ガスの将来性を有望視しており、サウジアラムコ・ADNOCともに国内でのガス増産のほか、米国のLNG輸出業者とも契約を締結。最近はサウジアラムコが豪Santos買収に関心を示しているとBloombergが報じた(アラムコは否定)。今後、世界のガス資産獲得競争が激化する可能性も指摘される。

[ケニア] 7月11日、ルト大統領は副大統領と外相を除く全閣僚の罷免を発表した。約27億ドルの増税案を盛り込んだ「2024年財政法案」の可決に対して若者らを中心とした全国規模の抗議デモが発生。後日、同法案は撤回されたが、国内の混乱と政府への不満が続いていることを受け、ルト大統領は「国民の声に傾け、広範な基盤を持つ政府の樹立が必要だ」と内閣改造の理由を述べた。新閣僚人事は発表されていないが、野党や有識者らの入閣が噂されている。ルト大統領は増税の代わりに歳出削減や新規借り入れを行うと発表しているが、財政赤字の拡大が見込まれており、7月8日、大手格付け会社Moody'sは、ケニア国債の格付けをCaa1に格下げした。

[ニカラグア/米国] ニカラグアの現地紙「ラ・プレンサ」は、中央銀行の統計を引用し、2024年1~5月の海外送金受取りが前年同期比で+12.7%の20億5,200万ドルとなったと報じた。国外在住のニカラグア人から母国の親戚や友人に送られる送金が増加している。急激な増加は主に米国からの送金によるもので、16億8,800万ドルを占めた。ニカラグアでは人権状況の悪化により、2018年以降約80万人がニカラグアから逃れたと同紙は推定している。米国は支援プログラムを実施しており、これによりキューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラ国民が米国への入国を申請できるようになった。このプログラムの受益者は、最長 2 年間の滞在と就労が許可されており、海外送金増加の起点になっている。こうした施策の結果、かえって反米姿勢を強めるニカラグア政府の統治を安定させてしまっているのではないかとの指摘もみられている。

[米国] 労働省によると、6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.0%だった。上昇率は5月(+3.3%)から縮小し、2023年6月(+3.0%)以来の小幅なものだった。食品・エネルギーを除くコア指数は+3.3%、5月(+3.4%)から鈍化した。これも、2021年4月(+3.0%)以来の小さな伸びになった。FRB高官らも物価上昇ペースの鈍化を評価したこともあって、市場では利下げ観測が高まった。

[日本/ロシア] 7月10日、大阪府警は、軍事転用の可能性を想定して輸出が規制されている水上バイクや船舶エンジンなどをロシアに不正輸出したとして、外為法違反(無許可輸出)の疑いで、大阪市中央区の貿易会社「アストレード」社長でロシア国籍のソワ・アンドレイ容疑者(38)を逮捕した。ロシアによるウクライナ侵略に伴う経済制裁以降、不正輸出容疑での逮捕は初めて。

[バングラデシュ/中国] バングラデシュのハシナ首相が7月8日から10日まで中国を訪問し、北京で習近平国家主席、李強首相らと会談した。共同声明が発出され、双方は二国間関係を「戦略的パートナーシップ」から「包括的戦略協力パートナーシップ」に格上げすることで合意した。双方は、貿易、投資、金融、インフラ、デジタル等の分野における協力強化で一致し、FTAの正式交渉をできるだけ早期に開始することで合意した。ハシナ首相は、経済開発に対する中国の支援に謝意を表明し、「一帯一路」に積極的に協力していくと述べた。また、「一つの中国」原則や台湾問題に関する中国の立場を支持し、中国の核心的利益に関わる問題、国家主権と領土保全について中国を支持すると述べた。

[米国] 6月27日にジョージア州アトランタで行われた第1回大統領候補テレビ討論会で、バイデン大統領は言葉に詰まるなど不安定なパフォーマンスを示したことから、トランプ前大統領に勝利することは困難であるとして民主党内の一部からも撤退を求める動きが広がりつつある。そうした中、バイデン再選委員会に近い複数の関係者らは、民主党系の大口政治資金調達者(ドナー)からの政治献金額が大幅に減少しており、7月は前月比半減近くになる可能性を指摘している。

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