デイリー・アップデート

2024年7月5日 (金)

[アジア] 米格付け会社S&Pグローバルが発表した6月の製造業購買担当者景気指数(製造業PMI)は、ミャンマーが50.7(前月52.1)、マレーシアが49.9(同50.2)、インドネシアが50.7(同52.1)、フィリピンが51.3(同51.9)、インドが58.3(同57.5)だった。ミャンマーは景気の節目となる50を上回ったが、6か月ぶりに前月を下回った。マレーシアは前月に21か月ぶりに節目を越えたものの、6月はASEAN主要国の中で唯一節目を下回った。インドネシアは、前月より低下したが、34か月連続で節目を越えた。フィリピンは前月より低下したが生産は引き続き堅調だった。インドは、新規受注と生産高の急増で前月を上回り好調だった。

[日本] 総務省「家計調査」によると、2人以上の世帯の実質消費支出は前年同月比▲1.8%と、2か月ぶりのマイナスになった。内訳をみると、保健医療や交通通信、教育などの支出が増加した一方で、食料や住宅、光熱・水道などが減少した。また、勤労世帯の実質実収入は前年同月比+3.0%だった。プラスは2022年9月(+0.2%)以来、20か月ぶりのことだった。変化率は、直近ボトム(2023年12月▲7.2%)から、マイナス幅を縮小させて、ようやくプラスに転じた。

[コロンビア] コロンビア政府が中期財政計画と債務見通しを発表した。2023年は税収増などもあり、財政赤字は縮小し、政府の債務残高の対GDP比も大きく低下したが、今年は歳出増によりすでに赤字幅が元に戻っている。政府の成長率や歳入の見通しは楽観的すぎるとして、金融資産や為替の売りにつながっている。

[エチオピア] 7月4日、アビィ・アフメド首相は議会演説で、国際通貨基金(IMF)と世界銀行との長期にわたる交渉が成功すれば、今後数年間で105億ドルの支援を受けることになると述べた。280億ドルの対外債務を抱えるエチオピアは、パリクラブ・中国らによる「G20共通枠組み」の下で債務再編を進めており、債務返済繰り延べの条件となっているIMFからの新規融資に関する協議を続けている。パリクラブは7月1日に発表した2023年年次報告書において、2024年中にIMFとの合意を臨むとの意向を示した。エチオピアとIMFとの交渉における最大の難関は、エチオピアが自国通貨ブルの切り下げに踏み切るか否かとみられている。

[インド/中国/SCO] カザフスタンで開催されいてる上海協力機構(SCO)首脳会議に、インドからはモディ首相ではなくジャイシャンカル外相が参加した。インドは昨年(2023年)、SCOサミットの議長国だったが、同会議は対面ではなくオンラインで開催された。インドと関係が悪化している中国がSCOで影響力を拡大していることを厭っているという見方や、西側諸国との関係も重視するモディ政権が中ロに接近しすぎるのを避けているという見方がある。ジャイシャンカル外相は中国の王毅外相と会談を行い、国境問題の早期解決に向けて対話を強化することで合意した。

[イスラエル/パレスチナ] 7月3日にハマス側からの新たな提案があり、イスラエルとハマスの間での停戦・人質解放交渉が再開するもよう。ネタニヤフ首相はバイデン米大統領との電話会談を実施。その後イスラエル政府は新停戦案を協議し、交渉に代表団を派遣することを決めた。イスラエルとハマスの停戦交渉はエジプト、カタール、米国が仲介しているが、ハマスは恒久的停戦とイスラエル軍のガザからの完全撤退を求めているのに対し、イスラエル側はハマスの壊滅まで戦争は終わらないとして、交渉は停止していた。

[米国] ランセット・プラネタリー・ヘルス・ジャーナルに掲載された最近の研究によると、米国成人が加工肉の摂取量を30%減らすと、2型糖尿病、心臓血管疾患や大腸がんの症例が数万件減少する可能性があるという。シミュレーションに利用したデータでは、米国成人は1日平均29.1グラムの加工肉を摂取しており、これを1日あたり8.7グラム減らすと、こうした慢性疾患発症による健康への負担が軽減される。具体的には米国の成人が1週間にベーコンの消費を10枚減らすことで、10年間で糖尿病35万件以上、心血管疾患9万件以上も予防できる可能性があるということだ。肉の消費を減らすことにより、畜産から生じる温暖化効果ガスの減少も期待されることから、人類にとっても地球にとっても利益があることと述べている。この分析では、世帯収入が2.5万ドルから5.5万ドルの層が、最も利益を享受できる可能性があると指摘している。なお、未加工の赤身肉と慢性疾患のリスクについては更なる研究が必要とも述べている。

[中国/タジキスタン] 6月4~6日、中国の習近平国家主席は、中央アジアのタジキスタンを国賓として訪問する。首都ドゥシャンベでラフモン大統領と首脳会談を行い、「中国・タジク関係発展に向けた新計画」について協議する予定となっている。タジキスタンの対外債務は、現在その30%以上を中国が占めており、同国は中国の支援を受け、アフガニスタンとの国境近くに警察特殊部隊の施設を建設する予定。

[英国] 7月4日の総選挙で、労働党が勝利した。保守党は第2党となったが、シャップス国防相など保守党閣僚や閣僚経験者が落選するなど大敗した。一方、自民党はデイビー党首の主導のもと議席数を回復し、第3党となった。

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