デイリー・アップデート

2024年7月18日 (木)

[モザンビーク] 7月12日、国際通貨基金(IMF)は同国の財政再建の継続が必要であり、特に対GDP比で14.8%に上る公務員賃金の支出の抑制や、国営企業(SOE)の情報開示を含む透明性の確保が必要であると指摘した。また、IMFはフランスのトタル・エナジーズを筆頭とする同国北部の液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトは2024年中に再開が見込まれるとし、生産が開始される2028年の実質GDP成長率は+10.0%との予測を示した。IMFが1月に発表した債務持続可能性評価では同プロジェクトによるLNGの生産は2027年に開始され、2028年の成長率は+12.1%との見通しだったが、治安情勢によるプロジェクトの遅延を受けて今回見直された。

[カザフスタン] トカエフ大統領は6月、同国での原子力発電所新設に関する国民投票を2024年秋に実施する方針を明らかにした。詳しい日程はまだ明らかにされていない。政府はまず、原発建設の必要性に関する国民的議論を取り進め、国民の意見を聞いてからそれを投票にかける。エネルギー大臣によると、同国は現在、三つの原子力発電所の新設について検討している。

[タイ] 7月17日、憲法裁判所が前進党の解党を求める訴えについて8月7日に判決を言い渡すと発表した。憲法裁は、前進党が不敬罪の改廃を掲げて2023年5月の選挙に臨んだことは国王を元首とする民主主義体制の転覆を企てたものであり、憲法49条に違反するとの判断をすでに示しており、解党処分となる可能性が高い。

[世界] ガートナーの最新予測によると、世界のIT支出は2024年に5兆2,600億ドルに達し、2023年比で+7.5%と予想されている。これは4月に公表した+8%の成長予測からは若干低下している。生成AIの普及でソフトウェア支出は前年比+12.6%見込まれているが、一部はAIモデルプロバイダーに還元されることもあって、ソフトウェア会社にとっては「税金」のようになっていると指摘している。データセンターシステムへの支出は急増し、前年比+24%となる見込みで、これは主に、生成AI事業の計画強化による旺盛な需要を反映したものとしている。一方、金額ベースで規模の大きいコンサルティングなどのサブセグメントへの支出が想定よりは鈍化し、+7.1%にとどまるとの見通しで、IT支出全体の見通しが引き下げられた主要因となっている。

[アジア太平洋] 7月18日、アジア開発銀行(ADB)は、2024年のアジア太平洋地域(日本など一部の先進国を除く)の経済成長率が+5.0%になる見通しを発表した。前回の4月時点から0.1ポイントの上方修正だった。ハイテク製品や人工知能(AI)関連で世界的に半導体需要が拡大し、輸出が加速した。インフレは、コロナ禍前の水準に戻りつつあるものの、一部の国々で物価上昇圧力が依然として高まっている。2024年の中国の経済成長率は+4.8%の見通し。サービス消費の継続的な回復と予想以上の輸出と産業活動が支えているが、依然として不動産セクターが不安定な状況である。同地域で最も成長が速いインドの2024年度の経済成長率は+7.0%の見通し。同国は、製造業と建設分野での強い需要により力強く成長すると予測されている。

[米国] FRB(連邦準備理事会)の「地区連銀経済報告(ベージュブック)」によると、5月中旬以降の経済活動が「わずか、または緩慢な」成長ペースを維持した。雇用は、大半の地区でわずかに拡大した。熟練労働者には不足感が見られるものの、人手不足は緩和している。物価はおおむね緩慢に上昇した。消費支出額は大きく変化していないものの、価格に敏感な消費者が必需品のみ購入したり、購入する数量を減らしたりする動きが見られていると報告された。

[米国] バイデン陣営は8月19日からイリノイ州シカゴで開幕する民主党全国党大会を待たずに、7月下旬、又は、8月初旬にバーチャル投票を行い、民主党の正副大統領候補にバイデン、ハリス両氏をそれぞれ正式に指名する動きを示している。マコーリフ前バージニア州知事ら全国民主党全国委員会(DNC)委員長経験者3人がDNCの規約委員会の委員らに電子メールを送信し、前倒しで正副大統領候補を指名し、党内のバイデン撤退要求を封じ込める狙いがある。

[英国] 7月17日の「国王の演説」で、スターマー政権の40の法案が発表された。変化を実現するために経済発展と労働者の生活水準向上が盛り込まれ、環境・気候変動に配慮したインフラやクリーン産業への投資を中心とした経済成長計画が中核となる。

[イラン] 7月5日に実施されたイラン大統領選挙の決選投票で勝利したペゼシュキアン氏の大統領就任宣誓式が、7月30日に国会で行われる予定。それに先立ち、7月28日にはハメネイ最高指導者による認証式がイマーム・ホメイニ廟で執り行われる。ペゼシュキアン氏は、次期政権の閣僚候補者を選出する「政権移行戦略評議会」の議長に、ロウハニ政権時代の外相であるザリーフ氏を任命した。若くリベラルな人物を閣僚に入れようとしており、民間機関などに対しても大臣ポストにふさわしい人物を推薦するよう要請している。

[米国] 7月17日、ワシントンにて、「経済的繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)」外相会議が開催された。ブリンケン国務長官は、クリーン経済構築、サプライチェーン強靭化といった分野で着実にパートナーシップの強化が進んでいると述べ、メキシコ、パナマ、コスタリカと共に「西半球半導体イニシアチヴ」を新たに立ち上げることを発表した。半導体製造における、いわゆるフレンドショアリングを進めることが狙い。APEPは、米国を含む米州の12か国が参加する地域協力枠組みだが、アルゼンチン、ブラジルなどは参加していない。

[アルゼンチン] 7月17日、IMF(国際通貨基金)は、2024年の国内総生産(GDP)見通しを▲3.5%と、4月の▲2.8%から下方修正し、年末のインフレ率については、2023年の211%から、140%に低下すると予想した。公共支出を大きく減らしたことでインフレ率を低下させたが、同時に景気後退を深めたと指摘した。

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