デイリー・アップデート

2024年7月29日 (月)

[ブラジル] 7月中旬の消費者物価指数(IPCA-15)は前月比0.30%上昇し、前年同期比では4.45%へと2ヵ月連続で加速した。レアル安や財政懸念も加わり、年内の利下げの再開は遠のいたとみられる。

[米国] 商務省によると、6月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+2.5%となった。上昇率は5月(+2.6%)から縮小し、1~2月(+2.5%)以来の低さだった。前月比の上昇率は+0.1%と5月(+0.0%)から小幅に加速したものの、1~4月(+0.3~+0.4%)から減速している。2024年の始めにやや高まった物価上昇率は、足元にかけて再び落ち着きを取り戻しつつあることを裏付けるような内容だった。これを受けて、市場参加者の多くは、9月の利下げ開始を予想している。

[米国] 米国48州(アラスカ・ハワイ除く)における風力発電量は7月22日に2021年10月以来の最小を記録。7月の風力発電量減少は季節性でもあるが、データセンター・猛暑などで電力需要が高まっていることもあり、報道によれば7月9日にガス火力発電量が過去最高を記録した。風力発電が米国の総発電量に占める割合は2023年平均で10%だったのに対し、先週は4%近くまで低下。ガス火力の割合は2023年平均で41%だったところ、足元46-48%まで上昇。米エネルギー情報局(EIA)は7月月報で、今冬は石炭火力発電も従来予測ほど減らないとの予測に修正している。

[米国] Wall Street Journalは7月23日から25日までの3日間全米の有権者1000人を対象に米国大統領選挙に関する最新世論調査を実施し、7月27日に結果を公表した。バイデン大統領の撤退とハリス副大統領の後継候補指名直後のWSJの最新世論調査結果では、「ハリス対トランプ」の直接対決の場合、トランプ支持49%、ハリス支持47%となり、無所属候補や第3政党候補を含めた場合もハリス支持45%、トランプ支持44%と接戦を展開していることが判明した。

[タイ] 7月26日、財務省は2024年の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを前年比+2.7%とし、前回の見通しの2.4%から上方修正した。上方修正は、主に外国人旅行者数の増加によるサービス輸出とモノの輸出の拡大を反映させた。同見通しでは、第4四半期に予定されている4,500億バーツ(125億ドル)の現金給付措置による経済効果は含まれていない。もし実施されるならば、さらに1.2~1.8%ポイント押し上げられるとした。財務省は、2024年の外国人旅行者数は3,600万人となる見通しを示している。

[ガーナ] 7月26日、中央銀行(BOG)は金融政策委員会を開催し、政策金利を+29.00%で維持すると発表した。据え置きは3会合連続となる。2024年第1四半期の実質GDP成長率は+4.7%で、前年同期の+3.1%を上回る好調ぶりだが、直近6月の消費者物価指数は+22.8%と、中銀の目標値である+6~10%より高い水準にあることから金利の据え置きを決定した。7月23日の財務省の発表によると、石油と金の輸出が好調であることを背景に、2024年通年の成長率は+3.1%で、前回予測の+2.8%から上方修正された。

[ハンガリー] 7月27日に行われた夏季演説でオルバン首相は、世界秩序に500年ぶりの変化が表れており、今後数十年、数席の間に「アジアから始まる変革」によって「アジアが世界の中心になる」との主張を展開した。さらに、西側の弱体化とは対照的にロシアは強いリーダーシップの下にあり、政治的に世界情勢における立場が合理的、予測可能と称賛した。

[米国/中国] インド太平洋地域で米中間の紛争が勃発した場合、米国の資産が凍結されることを懸念し、インディアナ州、フロリダ州、ミズーリ州、オクラホマ州、カンザス州は、昨年、州の年金基金管理会社に対中投資撤退プロセスの開始を指示し、さらに多くの州がその実施を検討していると政治紙ポリティコが報じている。このような措置をとっている週はほとんどが共和党寄りだが、政党を超えて広がる米国での対中認識悪化が影響しており、昨年11月には連邦退職年金基金投資委員会が香港と中国上場株への投資を停止すると発表した。

[ミャンマー] 7月25日、ASEAN外相会議がビエンチャンで開催された。ミャンマーからはアウンチョーモー外務次官が出席した。軍政は、1月の非公式外相会合、3月の国防相会議に続き、「非政治的な代表」を出席させるべきとのASEAN側の要請に応え、政府高官を派遣し、参加が認められた。共同声明では、域内経済のデジタル化、脱炭素化、安全保障等に関する合意が定められた。ミャンマー情勢については、5点のコンセンサスの履行の重要性を強調しているが、具体策はなかった。南シナ海については、フィリピンが中国の威圧的な行動について具体的な記述を求めたが、「一部の外相から人の安全を危険にさらす行為などに懸念が表明された」という表現にとどめられた。26日に日・ASEAN外相会議、27日にASEAN+3外相会議、東アジアサミット(EAS)外相会議、ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合が開催された。

[イスラエル/レバノン] 7月27日、ゴラン高原のシリア側との境界沿いの町にあるサッカー場に、レバノンから発射されたロケット弾が落ち、サッカー場で遊んでいた10~20歳の若者12人が死亡し、30人が負傷した。10月7日の事件以降で、レバノンからの攻撃で最も多くのイスラエル民間人が亡くなった事件となった。同地は1967年の戦争でイスラエルが占領した土地で、イスラム教ドルーズ派のアラブ系の人たちが住む町。イスラエル軍はヒズボラによる攻撃だったと断定し報復を示唆しているが、ヒズボラは一切の関与を否定している。

[米国/中国] 7月27日、アジア歴訪中のブリンケン国務長官は、ラオスにて中国の王毅政治局員と会談を行った。国務長官は、南シナ海における中国の行動、ロシア防衛産業に対する中国の支援に対しては懸念を表明し、特にウクライナをロシア侵攻から守ることが、米国の核心的利益である旨を伝えた模様。さらにチベット、香港における人権問題、北朝鮮情勢なども提起した。ワシントンで実施された米・イスラエル首脳会議の為、国務長官は出発が遅れ、ベトナムのチョン共産党書記長国葬には間に合わなかった。国務長官は日本からフィリピン、シンガポール、モンゴルに向かう予定となっている。

[ロシア] ロシア中央銀行は7月26日、金融政策決定会合を開き、政策金利を2.0%pt引き上げ、年18.0%にすると発表した。中銀は声明で「インフレが目標(の4%)に戻るには、以前に想定されたよりも大幅な金融引き締めが必要だ」と説明し、今後の会合でも追加利上げを検討する方針を明らかにした。

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