デイリー・アップデート

2024年1月5日 (金)

[原油市況] 2023年のブレント原油価格は平均1バレル82.18ドル、終値77.04ドル。年初時点では前年比小幅安の平均90ドル台の予想が多かったが、供給が想定以上に多く、結果は前年平均比▲17%安。ロイターの12月調査ではアナリスト・エコノミスト34人の回答平均で2024年平均価格は82.56ドルと前年並みの予想。需要低下・非OPEC+増産が見込まれる中、OPEC+が減産を緩和しシェア奪回に動くリスクと、地政学的リスクとで強弱感が拮抗している。

[アルゼンチン] 2023年8月、南アフリカで開催されたBRICS首脳会議で加盟国のブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5か国は、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)6か国の、2024年1月からの新規加盟を承認していた。それを受け、中東・アフリカ地域5か国については加盟が実現したが、2023年12月に大統領に就任したアルゼンチンのミレイ大統領は、左派フェルナンデス前政権のBRICS参加決定を覆し、不参加を決断した。

[英国] フィッシュアンドチップス店が絶滅の危機に直面している。漁船の動力になるディーゼル、魚を揚げるためのひまわり油、フライヤーを稼働させるための電力など軒並み高騰している状況下、レストランでは約15英ポンドの価格がつけられ、もはや平日夜に気軽に食べられる料理ではない。魚は安い食材だったが、今はまったくそうではないと多くの庶民が嘆いている。全英フィッシュフライヤー連盟によれば、今後数年間でフィッシュアンドチップス販売店の3分の1が閉店に追い込まれる可能性があるとしており、物価高によるライフスタイルの変化が見られる。

[ベトナム] 2023年12月29日、統計総局は、2023年第4四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比+6.72%だったと発表した。コロナ禍以降で最低水準だった2023年第1四半期以降、3四半期連続で加速した。対米輸出の改善、電子部品や携帯電話、縫製品の在庫調整、および外国人旅行客のインバウンド消費の増加が寄与した。産業別では、工業・建設部門とサービス部門が成長をけん引した。2023年通年の実質GDP成長率は+5.05%と、政府目標である6~6.5%には達しなかった。

[米国] 連邦制度準備理事会(FRB)の二大責務の一つである「雇用の最大化」は、これまでのところ満たされている。労働省によると、12月30日までの1週間の新規失業保険新制件数は20.2万件と、前週から▲1.8万件と減少した。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同時期(23.2万件)を 下回っている。一方、「雇用動態統計(JOLTS)」によると、11月の求人件数は879万件であり、3か月連続で減少して2021年3月以来の低水準になったものの、2019年平均を上回る労働需要があった。

[米国] バイデン大統領は、2024年1月2日まで米領バージン諸島にて年末年始の休暇を過ごした後、職務を再開した。ブリンケン国務長官は、2023年12月27日に国土安全保障長官らとメキシコを訪問し、ロペス・オブラドール大統領と移民問題などについて会談。新年は1月4日よりトルコ、サウジアラビア、イスラエル等、中東・東地中海地域を歴訪し、中東情勢安定化に向けた協議を重ねる。国防総省は、1月4日にイランが支援するイラク民兵組織の指導者を自衛措置として殺害したと発表。上下院は1月8日、9日に審議を再開するが、つなぎ予算が1月19日、2月2日に順次期限を迎えるため、その延長などについて議論する必要がある。

[中国] 1月3日、中国航空工業集団公司の子会社である中航通用飛機が自社開発した電動飛行機AG60Eが、浙江省の建徳千島湖通用空港で初飛行を行った。この飛行機は、Light Sport Aircraft(LSA)と呼ばれる二人乗りの小型飛行機を電動へ改造したもの。中国が独自開発した電動飛行機としての初飛行は、2019年10月にさかのぼり、遼寧通用航空研究院の「RX4E」(4席)が遼寧省瀋陽市の財湖空港で初飛行に成功している。中国が掲げる脱炭素政策の一環として、電動飛行機の実用化に向けた開発が今後も加速していくと思われる。

[ウクライナ/ロシア] ロシア、ウクライナ両国は、2023年末から2024年始にかけて互いにミサイル攻撃を繰り返し、戦闘が激化している。ロシア軍は2023年12月29日からウクライナに最大規模のミサイル攻撃を実施した。ウクライナ当局者によると市民31人が死亡し、160人以上が負傷した。一方、ウクライナ軍は報復として、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州を攻撃し、市民25人が死亡したと、ロシア側が発表している。報復合戦がさらに続く恐れがある。

[中国] 1月4日、中国国家データ局など17の部署が共同で、「データ・エレメントX 三年行動計画(2024-2026)」を発表した。工業製造、農業、商業、輸送、金融サービス、テクノロジー、文化・観光、ヘルスケア、緊急管理、気象サービス、都市統治、グリーンカーボンの12 の産業と分野において、データ要素の相乗効果を促進し、2026年末までにデータ産業の年間成長率を20%以上にすることを目指す。データ活用を進めることで、資源配分を強化し、新たな産業、形態、成長ドライバーの出現を刺激するとしている。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

21人が「いいね!」と言っています。