2024年1月23日 (火)
[ナイジェリア] 1月13日、西アフリカ最大のコングロマリット企業であるダンゴテ・グループは、ナイジェリアの最大都市ラゴス郊外に新設した製油所の操業を開始したと発表した。同製油所は2021年に着工。シングルトレインとしては世界最大となる日量65万バレルの生産が可能となる。OPEC(石油輸出国機構)に加盟するナイジェリアの最大の輸出品は原油である一方、国内の製油所はメンテナンス不足により稼働停止に追い込まれており、石油精製品を輸入に頼る状況が続いていた。ダンゴテの製油所の稼働による貿易収支の改善が期待される。
[イスラエル/パレスチナ] 米アクシオスの報道で、イスラエルがガザに囚われている人質全員の解放を条件に、最大2か月間の戦闘休止をハマス側に提案していることが判明した。交渉の仲介を担っているのはエジプトとカタール。同提案に戦争の終結は含まれていないが、実現すれば10月7日の戦闘開始以来、最長の停戦となる。ガザでは今も130人以上の人質が囚われているが、イスラエル側の情報によると、そのうち既に27人の死亡が確認されている。人質の解放は数段階に分けて行われ、その期間は最長2か月になるもよう。
[米国/アフリカ] 1月22日、アフリカ歴訪中のブリンケン国務長官は、西アフリカのコートジボワールに到着し、1月23日には大統領との会談などを予定している。今回の外遊では、カーボベルデ、コートジボワール、ナイジェリア、アンゴラを訪問し、経済、安全保障分野について各国政府との協議に臨む見込み。バイデン政権は、2022年12月にアフリカ諸国の首脳を招いて特別サミットを主催し、協力関係の深化を約束しており、そのコミットメントをあらためて強調する意図がある。また、2023年7月にニジェールにて軍事政権が誕生していることから、西アフリカ地域の安定化についても地域諸国と協議するものとみられる。
[米国/イスラエル] 2023年10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルに対する大規模攻撃を開始し、ハマス・イスラエル紛争が発生してから100日以上が経過した。パレスチナ人の犠牲者数は2万5,000人以上に達し、多数の子どもや女性らが犠牲になる中、ハマス殲滅(せんめつ)作戦を継続しているイスラエルのネタニヤフ首相への批判が、米議会の親イスラエル派の超党派議員の間にも広がっている。ネタニヤフ政権の支持率が低下する中、停戦に応じれば政権維持が困難になるため、戦争を継続させるという政策に、米議会からも懸念が表明されている。
[マレーシア] 1月19日、統計局は、2023年の実質国内総生産(GDP)が暫定値で前年比+3.8%だったと発表した。これは、政府が目標としていた4%以上の経済成長を若干下回る結果となった。成長をけん引したサービス部門は通年で5.4%増加し、ほかの分野もすべてプラス成長を記録した。建設業が+5.8%、製造業が+0.8%、鉱業・採石業が+1.0%、農業が+0.5%の成長だった。2023年第4四半期(10~12月)の成長率は前年同期比+3.4%だった。今後の見通しとしては、2024年後半の燃料補助金の廃止などの影響で物価上昇率が急上昇する可能性が高く、中央銀行が政策を引き締める可能性があり、企業・家計の支出を圧迫することが懸念される。同国の民間部門の債務比率はアジアで最も高い国の一つであり、追加での金融引き締めの影響を特に受けやすい。
[日本] 内閣府は1月22日、「中長期の経済財政に関する試算」を発表した。ベースラインシナリオで、実質GDP成長率は2024年度から2033年度にかけて+1.3%から+0.4%へ緩やかに減速、消費者物価上昇率は+2.5%から+0.8%へ縮小する。名目長期金利は0.8%から1.2%へと緩やかに上昇する。こうした中、基礎的財政収支GDP比は2023年度の▲5.1%から2025年度に▲0.4%、2026年度に▲0.0%へと緩やかに縮小するものの、黒字には転じないと見通されている。
[米国/台湾] 1月22日、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は、「2024年以降の中国の台湾に対するアプローチに関する米国・台湾の専門家の見方」というレポートを発表した。レポートは、台湾の国防安全研究院との共同調査をもとに作成された。米国の専門家52人と台湾の専門家35人に対するアンケートの結果、両国の専門家の多くが、今後5年間では、中国は台湾に侵攻するよりも、台湾封鎖や隔離を実施する可能性が高いと考えている。また、中国の2027年の軍近代化目標が、台湾への侵攻・封鎖に関する中国政府の意思決定に影響を与えると考えているのは、米国の専門家で13%、台湾の専門家で6%だった。
[韓国] 韓国半導体クラスター計画の発表を受け、OpenAIのSam Altman CEOが、韓国でSKグループの崔泰源会長と面会し、AI用半導体について話し合うもよう。1月15日、尹錫悦大統領は、京畿道南部に建設する世界最大規模の半導体クラスター計画を明らかにし、既存の半導体工場19か所、研究施設2か所に加えて、Samsung ElectronicsやSK hynixなどの民間投資622兆ウォン(約68兆4,200億円)を投じ、2047年までに、回路線幅2nmプロセスやHBM(高帯域幅メモリ)などの最先端製品を中心とした半導体工場13か所、研究施設3か所を新設すると発表していた。
[ウクライナ] ウクライナは、米国や欧州からの援助がなければ、数か月以内に資金を使い果たし、政府は国家運営のため、痛みを伴う経済対策を取らざるを得ないと、エコノミストやウクライナ当局者が予想している。同国は2024年、400億ドル以上の財政不足に直面しており、米国とEUからの資金提供は、そのうち約300億ドルを賄う予定だった。ウクライナ政府は国内の銀行に「棚ぼた税」を導入し、税収の一部を再配分し、国内借入を増やし、2月までの予算支出を賄う予定である。
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